見出し画像

夫婦で田舎移住して3年「なぜ幸福度が上がったのか」 理由を整理すると意外な結果に

私たち夫婦は2020年に脱サラをして、住環境と仕事について大きく見直しました。私たち夫婦にとってちょうど30歳という節目だったため、環境を大きく変える最後のチャンスだと思って踏み切りました。
(今考えると、30歳なんて何の節目でもない気はしますが…笑)

暮らしの環境については、兵庫県の神戸市から丹波篠山市に引っ越しました。夫婦ともに田舎の出身であること、妻が隣の丹波市の出身であることから、ほどよい田舎で京阪神からも妻の実家からもアクセスが良い丹波篠山市を選びました。

丹波篠山で購入した家 DIYリノベーションしました

田舎を選んだ理由
・スローライフを楽しみたい
・貯金の中で購入できる中古物件と出会った
・田舎で子育てをしたい

仕事についてはその後半年くらいかけて考えた末、フリーランスとして記事を書いたり動画コンテンツをつくったりすることから始めることに。

こうして2020年は、4〜6月で移住先探し、7〜12月で今後の仕事について計画、みたいな過ごし方をしました。

移住して3年が経過

おかげさまで3年経った現在も変わらず丹波篠山市で暮らして、思い描いていたスローライフを楽しむことができています。

庭でくつろげるようにしてみました

仕事についても、変わらずWebコンテンツの制作をやっています。
現在はレンタルスペースの経営や自家焙煎コーヒー豆の販売なんかもやっています。

丹波篠山市で運営しているスペース

夫婦でよく口にするのは「幸福度が上がったよね」ということです。

暮らしも仕事も、無理のない範囲で取り組み、その結果ストレスが溜まることがほとんどなく過ごすことができています。

ストレスのない環境がよかったのか子宝にも恵まれ、現在は一児の子育て中でもあります。

2023年 家族でぶどう狩り

やってきたこと(時系列)

やってきたことを時系列でまとめるとこんな感じ

①田舎に引っ越した
②しばらくゆったりと過ごした
③少しずつ周りに知り合いが増えていった
④本やSNSで勉強して仕事になりそうなアイデアを考えた
⑤自分たちにできそうなことを仮設を立ててチャレンジした
⑥上手く進んでマネタイズできたことを仕事として取り組んだ

まず暮らしの環境を整えたことで、それが心身の健康につながり、健全な状態で物事に取り組んだおかげで自分たちに合った働き方を選ぶことができたと考えています。

自家焙煎コーヒー豆

また、特に最初の方は稼ぎが安定しないこともありましたが、田舎暮らしによって生活費がグッと下がったので、「まあ、生活はしていけるよね」という謎の安心感がありました。

なぜ幸福度があがったのか

暮らしの環境と仕事のやり方を同時期に見直したので、「なんとなく幸せになれたけど、何が一番の要因だったんだろう・・・」というのが今まで整理できていませんでした。

最近になって少し考えるようになったのですが、寄与度としては田舎移住が2割、働き方を変えたのが6割、その他2割くらいなんじゃないかと思います。

今から東京で暮らすとか、海外で暮らすとかなっても、「それはそれで楽しいかも」と思える気がします。

一方で、もう一度サラリーマンをするとか、全く違う分野の仕事をするとなると大きな困難を抱えるだろうな、と想像します。

ステップを踏んで色んな経験をしましたが、どうやらストレスの少ない働き方ができているというのが、自分たちの幸福度が上げた主な要因らしいという考えに行きつきました。

2022年 近所の公園にて

私たちにとってのストレスがない働き方とは?
・仕事の内容と働く時間を自分で決められる
・働くのは平日の日中のみ(平均すると7時間程度)
・子どもが熱を出したり急な用事の際は仕事を後回しにできる
・3割くらい余白を残す(常に挑戦代を持っておく)

時間を決めて仕事をやって、朝や夕方以降は子どもとの時間を大切にして、突発的な何かあっても最優先は家族で、次にやってみたいことがあればいつでも飛びつける…という状況がすごく心地よく、仕事を無理なく&最大限の効率でまわすことが結局は暮らし全体の幸福につながってる気がします。

働き方と幸福度

話が急にマクロになってしまいますが、先進国の中で日本の労働基準法は最もブラックだと言われています。

働き方改革が叫ばれていますが、世界基準で見ると未だにブラックな状況から脱却しきれてないというのが実情のようです。

日本のブラック労働基準法

中田敦彦さんのYouTube動画が要点を絞って本当に上手く解説されています。

日本のブラック労働基準法
・労働時間上限がないに等しい
・時間外割増(残業代)が安い
・勤務間のインターバルがない

つまり安い賃金で働かせ放題の国になってしまっているのが実情なのだと思います。

結果として、過労死の問題がでてきたり、女性が社会に進出しても長時間労働を課せられたり、男性の育児休暇が取りづらく女性が1人で抱えて産後うつが深刻化(自殺)するなど、日本人の不幸の根本原因は働き方にあると言えます。

いかに生活の中に「余白」をつくれるか

ブラック労働から抜け出さないと、幸せを感じにくく、家庭を築きにくく、子どもを持ちにくいのでみんな不幸せ。

じゃあ世論を動かして、「労働基準法を改善していくんだ!」となってもすごく遠回りな気がします。

今いる環境を動かすよりも、自分がより良い環境に移る方が早いし、労力もかからないと思います。

私たち夫婦はサラリーマンを辞めて、フリーランスで複業するというスタイルを選びみました。

自宅の仕事環境(PCを触ってみたい息子)

仕事の内容と働く時間を自分で決めて働くことを選び、常に少しだけ余白を持っておくことを心がけています。
そして、仕事も家事も子育ても完全に2人3脚体制をとっています。

収入面ではサラリーマンの時の方が稼げていたかもしれません。今の働き方は立場的にも弱く不安定です。
それでも、少しでも余白があることで心身が穏やかになり、突発的なことも受け入れられ、パートナーのサポートにもまわることができます。

私たちが幸福を感じられる根底には「働き方」が適切な状態にあり、その上で余白をつくれているからだと考えられます。

地方移住と幸福度

私たちは幸福を感じられている要因の一部は田舎に移住したことにあると感じています。色んな要素がある中で2割くらいは移住のおかげかなーという感じ。

スイカのお裾分け

一方で、地方移住者や地域おこし協力隊が地域住民と揉めるみたいな問題は度々目にしますし、SNSでバズったりもしています。

田舎移住の当事者としても地方には潜在的な問題や分断があるというのは感じていて、「私たちはたまたま満足してるけど、みんなが地方移住で幸せになれるとは限らない。というか…結構失敗するんじゃない?」と思えてしまったり。

さらに、近年は地方創生・活性化の動きが強まってきてるように思います。

幸福度という尺度で都会と地方など比較をするのは難しいと思うので、地方創生を切り口に、田舎への人の流れは人を幸せにするのかについて考察したいと思います。

そもそも地方創生って何?っていう話に戻ると、2014年の第2次安倍内閣発足時に、人口減少と東京一極集中に歯止めをかけ、地方を活性化させることを目的に政府が「地域創生」というスローガンを掲げたことに始まります。

4つの基本目標
①地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする
②地方への新しいひとの流れをつくる
③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
④時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

2023年 子どもとキャンプ場にて

東京は出生率が低い=子どもが少ない は嘘

特に女性の東京一極集中が顕著であり、これを是正することが少子高齢化に歯止めをかけるきっかけになるのではと考えられてきました。

その背景には、東京の出生率は47都道府県で最下位という事実がありました。であれば、地方にも投資して雇用をつくることができれば、地方でも安心して働いて結婚・出産・子育てができるよねというのが地方創生の大前提にあります。

しかし、この大前提の解釈が間違っているのでは?と指摘する専門家は多いです。

出生率 = 1年間の出生数 ÷ 15歳から49歳の女子人口
東京は全国から就職などで上京してくる未婚の女性が圧倒的に多いため、分母が大きくなり、東京の出生率が低くなるのは当然なのです。

むしろ、東京は47都道府県で唯一出生数をキープしているという見方もできます。

全国の出生数と東京都の出生数(人口受動調査結果より作成)

全国でみると子供の数は年々減っていますが、東京は子どもの数を維持しています。今となっては日本の子どもの9人に1人は東京っ子です。
東京はめちゃくちゃ子どもの数が多いんですね。

「田舎の方が出生率が高いし豊かなのかな?」は幻想のようです。
東京以外は出生数が劇的に減っていて、全国的にみてもひどい状況です。

東京以外でチャレンジができる土壌がない

特許庁 我が国におけるスタートアップをとりまく現状と課題より抜粋

都道府県別にスタートアップの現状を見てみると、東京に本社を構える会社が7割という結果になっています。
10,000社を超えるスタートアップが東京に一極集中し、2位は大阪の800社となっています。大阪ですら東京の足元に及ばないというのが実情です。

出資者とのつながりや切磋琢磨できる横のつながりを考えると、チャレンジしたければ東京にいくべきであり、それ以外の地にはまだまだ土壌がないという答えを示している結果なのだと思います。

実は地方創生だといって地方への人の流れをつくることは、間違った前提を信じて負け戦に戦士を送っているのかもしれないと私は疑っています。

そして、キラキラした言葉を並べて地方に呼び込んだり、コミュニティをつくっている連中は要注意だと思っています。なかなか地方で結果が出ず、承認欲求が満たされないので欲求を外に求めているだけの場合が多いです。「対外的にキラキラしている人ほど実態はヤバい」

地方創生・活性化分野にいる人は、第一線の方であってもネガティブな発信が多いことを考えると…そういうことです。

上手くいく事例の方が少ない中、今更になって政府も「地方創生は間違いだった」とは言いにくい状況ですが、どこかで方向修正やリブランディングがされると予想しています。

他人とは比べないオリジナルの幸せ

話をまとめると、私たちにとって働き方を見直したことが幸せに大きく影響したし、再現性も高そうだと考えています。
一方で田舎移住したことについては、たまたま上手くいっただけと捉えてます。

とは言え、私たちにとってはどちらも切り離せない要素だとも考えています。

不安定な働き方をしても田舎でお金がかからないからやれてるし、田舎に住んでいながら地元の人と仕事で関わらず一定の距離を置いてるから平和に暮らせてる気もします。

2つが互いに補うようにして今の生活を支えてくれてる気がします。
完全オリジナルの幸せの形だと思ってます。

キャンプ場にて

スティーブ・ジョブズは講演の中でこんなことを言ったそうです。

You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.
将来を見据えて、点(出来事)と点(出来事)を結びつけることはできません。後で振り返って見たときにしか、点と点を結びつけることはできないのです。

So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
だから、あなたが方は、とにかく点と点が将来、結びつくことを信じなくてはなりません。

「Connecting the dots」
いろんなものに触れて点を持っておくことで、どこかのタイミングで結びついてハッとすることってありますよね。

思っているよりも人生は長くない。
不幸せなのに我慢したり、誰かと何かを比べて一喜一憂するのは勿体ないです。

まだ見たこともない点に触れることを楽みつつ、私たちもここからまた急展開、なんてこともあるかもしれません 笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?