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今、インド株式市場が超熱いIndia’s Stock Market Is Red Hot. These Funds Will Get You In.新興市場の成功の好例

絶好調のインド株式市場

インドの株式市場は絶好調で、MSCIインド・インデックスは4月5日までの過去12カ月間で40%上昇した。これはS&P500指数の29%上昇、MSCIワールド・インデックスの25%上昇を大きく上回っている。米国のファンド投資家は注目しているが、数年にわたる上昇で割高になったインドの株式市場へのエクスポージャーを増やすには注意が必要だ。

とはいえ、投資家がインドを選好する要素はたくさんある。モディ首相は今春、再選される見込みだ(4月19日から総選挙開始)。複数の新興国市場ファンドのマネジャーが本誌に、インドはモディ首相のリーダーシップの下で実施された、デジタル化の促進、税制優遇措置の創設、インフラ投資、外国投資の誘致などの経済政策イニシアチブの恩恵を受けていると語っている。

カレン・エマージング・マーケッツ・ハイ・ディビデンド・ファンド<CEMFX>のポートフォリオマネジャー、ラフル・シャルマ氏は「インドは、新興国市場で何がうまくいくかを示す本当に良い例だ」と言う。このファンドにおけるインドのウエートは約16%だ。シャルマ氏は、モディ首相と政府が「非常に健全な経済成長政策をまとめている」と評価する。

インドは、米国や日本、欧州の先進諸国とは異なり、人口動態においても追い風が吹いている。シャルマ氏によれば、インドには教育を受けた比較的若い労働人口が多く、英語を話す人も多いため、情報技術(IT)や医薬品のアウトソーシング先として有利な環境になっているという。

ブラックロックの米州iシェアーズ投資戦略責任者を務めるクリスティ・アクリアン氏は、「インドに特化したエクスポージャーを模索しているファイナンシャルアドバイザーからの質問の多さに驚いている」と言う。ヘッジファンドを含む機関投資家からの関心も高く、上場投資信託(ETF)のiシェアーズMSCIインドETF<INDA>の運用資産残高は96億ドルで、そうした投資家の間で特に人気があるという。2月までの過去12カ月間、同ファンドの純資金流入は26億ドルで、モーニングスターが追跡している米国上場のインドファンドの中では突出した多さだった。

インドに特化したファンドに注目


インドに関心のある米国のファンド投資家にはさまざまな選択肢があるが、どの程度のエクスポージャーをどのようなタイプのファンドに求めるか、例えばアクティブかパッシブか、インド特化型ファンドか幅広い新興国市場ファンドか、などを検討する必要がある。インド特化型ファンドの購入が必ずしも最良の選択とは限らない。

モーニングスターのシニアアナリスト、ビル・ロッコ氏は、「リスクを認識しておくべきだと思う」と言う。モーニングスターは最近、米国上場のインドに特化したファンドのリストを本誌に提供したが、大半がETFだ。ブルームバーグとマークイットによると、これらのETFの2024年1~3月の純資金流入は25億ドルで、海外では日本ETFの35億ドルに次ぐ水準だ。

ETFにはコスト面での優位性がある。iシェアーズMSCIインドETFの経費率は0.65%だ。モーニングスターのリストにある四つのアクティブ運用のインドファンドは1~1.54%である。しかし、アクティブ運用ファンドは、ETFのようにインデックスに従うのではなく、保有銘柄を選んで運用することができる。

これらのアクティブ運用ファンドの中では、マシューズ・インディア<MINDX>が最大で、運用資産は約8億3000万ドルだ。このファンドの最近の3年間の年間リターンは10.7%だった。これは、年間リターン7.5%のワサッチ新興インドファンド<WAINX>より良い。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資のアルプス・コタック・インドESGファンド<INDIX>の過去3年間の年間リターンは7.9%だった。イートン・バンス・グレーター・インディア・ファンド<ETGIX>は、過去3年間の年間リターン9.6%を記録した。iシェアーズMSCIインドETFの年間リターンは9.8%で、上記の四つのアクティブ・ファンドを上回っているが、イートン・バンス・ファンドのパフォーマンスとは僅差だ。

インドへの投資に関するもう一つの懸念は、投資家によるこうしたファンドへの投資の増加に伴い、株式バリュエーションが高くなりすぎていることだ。MSCIインド・インデックスの2024年予想株価収益率(PER)は23.2倍だ。これに対して、S&P500指数は21.4倍、MSCIワールド・インデックスは19倍だ。

インドのウエートが約50%であるバロン・ニュー・アジア・ファンド<BNAFX>の共同マネジャー、アヌジ・アッガーワル氏は、「インドの株式市場は割高ではない。インド経済の成長サイクルと市場としての位置づけを考えれば、他国比でプレミアムが加えられるのは妥当で、利益の一貫性と耐久性は評価に値する」と語る。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によると、インドの実質国内総生産(GDP)の成長率は2023年の7%に対し、2024年は7.5%、2025年は6.6%と見込まれている。

しかし、シャルマ氏は、インドを「最も割高な新興国市場の一つ」と呼び、ポートフォリオにおけるインドのウエートを約16%に引き下げた。ただ、シャルマ氏はインドの全体的な見通しは問題ないと考えており、送電会社のパワー・グリッド・コーポレーション・オブ・インディア<PWGR.インド>やインドステイト銀行<SBIN.インド>のような予想PERが20倍を大きく下回る企業に注目している。

投資前に保有ファンドを確認せよ

モーニングスターのロッコ氏は、ファンド投資家にとってもう一つ考慮すべき点として、「インドにエクスポージャーを持つ新興国市場ファンドを既に保有しているかどうかをチェックすべきだ」と言う。例えば、運用資産770億ドルのバンガードFTSEエマージング・マーケッツETF<VWO>の12月31日現在のインドのウエートはポートフォリオ全体の21%で、中国の28.3%に次ぐ。インドに投資する方法として検討すべき新興国市場ファンドが幾つかあるが、その中にこのバンガードのETFも含まれる。経費率が0.08%と非常に低いことが特筆される。

もう一つはアクティブ運用のGQGパートナーズ・エマージングマーケッツ・エクイティ・ファンド<GQGPX>だ。このファンドのリードマネジャーがラジブ・ジェイン氏で、モーニングスターは特に実績があるマネジャーと評価している。このファンドは12月31日現在、インドに大きく賭けており、インドのウエートは35%とベンチマークの2倍超となっている。ファンドの過去3年間の年間リターンは3.4%で、同種のファンドグループの上位10%に入る。また過去5年間の年間リターンは9.8%で、モーニングスターが評価するファンドのうち、上位2%に入る。

この記事は「バロンズ・ダイジェスト」で公開されている無料記事を転載したものです。