〇の波

泣きながらバスに乗り込む子ども達
腐ったシュークリームを舐める犬
3度大きな音がして赤く腫れた空
曲がったレール
曲がった手足

自分を信じられなくなったら
息を殺して地下室に篭っていた
部屋の隅の蛍を目で追っていたが
それすらも存在していなかった

知らない人が不幸になっている
それを栄養にして沢山笑う人がいる
馬鹿が承認欲求を裸で満たしている
年齢だけ重ねた子供ばかり生き残る

天地無用の光が爆ぜて
探しても見つからなかったものが一瞬
失うことばかりさせて
神様なんてタイミングの権化
ドレスで着飾った祖父はかつて
虫歯を自分で抜いたり簡単に指を失くした
もうみんな生きるのが下手で
文句を並べてはミディアムかレアで悩む

曲がった性格
曲がった骨格
曲がった見識
曲がった未来

奢りたくない人ほど奢られ慣れている
保険会社の営業が海底で笑う
全ての料理に半熟卵を乗せる醜女
叫び過ぎて声を失った家畜
それが貴方の住む世界
私も苦しんでいる

大きな振動の後
ゼロの波が地表を撫ぜる
貴方のアイドルは骨に皮を付けた生き物
ゼリー状の魂がその中に満ちる
ゼロの波が地表を撫ぜ