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忘れられたカクテル「メルバ」に迫る 前編

1861年に、当時イギリス領であったオーストラリア出身のオペラ歌手、ネリー・メルバ。声楽を習っていたメルボルンにちなんで、メルバと名乗った彼女のために作られた料理は、今でも私たちの舌を楽しませています。一番有名なものといえば、ピーチメルバでしょうか。

ピーチメルバ

料理ばかり有名なのですが、実は彼女にちなんで名付けられたカクテルがあったのです。私もしりませんでしたし、レシピにアブサンを使うカクテルだったので、これは作らずにはおけません。

バカルディ・ラム・・・・・・30ml
スウェディッシュ・パンチ・・30ml
レモン・ジュース・・・・・・1/4個分
グレナデン・シロップ・・・・2dash
アブサン・・・・・・・・・・2dash

見るからに美味しそうですね。ですが困ったレシピが1つだけありまして、スウェディッシュパンチと言うやつです。

パンチの歴史と言うのは非常に古く、これを書くだけで1つの記事になってしまいますので、今回は残念ながら割愛します。ですがこれらは日本で言うフルーツポンチの語源にもなっていて、元はインドからイギリス東インド会社の船員によってヨーロッパにもたらされ、その後アメリカに渡りブームとなり、それが太平洋を経て日本に入ってきたと言う、ロマンあふれる経路をたどり現在の私たちのフルーツポンチとなっていったのです。

スウェーデンではパンチではなく、プンシュと呼ぶのが正しい発音に近く、当時のヨーロッパに幅広く浸透していたことがわかります。

1891年スウェディッシュ・パンチの広告

さて、今日ではこのスウェディッシュパンチをどう用意するかなのですが、こんなマニアックなお酒を、輸入業者さんに用意させるのは忍びないので、いつものごとく自分で作ることにします。

2 c Rum, Appleton V/X
1 c Arrack, Batavia Arrack von Oosten
2 c Spiced tea, extra strong (4 tsp Peet’s Yunnan Fancy Tea, 6 crushed cardamom pods, brewed in 2 c water)
2 c Sugar, raw or natural
2 Sorrento lemons sliced thinly, seeds removed

アプルトンのラム、バタビアのアラック。なるほど。雲南ファンシーは紅茶屋さんに頼みましょう。ソレントって久々に聞きましたね。イタリア民謡「帰れソレントへ」で有名なソレントです。中学校の時の先生がイタリア民謡好きで教えてくれたのを覚えています。残念ながらソレントのレモンはないので、無農薬の瀬戸内産にしましょう。

2cなどと書いてあるのは、あの悪名高きヤードポンド法における容量の単位です。2カップと呼びますが、日本のお料理番組で出てくるカップとは単位が違い、8オンス(約240ミリリットル)のことを指します。アメリカが世界の覇権争いから陥落したら、まず手が付けられるのかこのヤードポンド法である事は疑いの余地がありません。

長くなりそうなので今日はこの辺で。次回は材料を揃えて実際にスウェディッシュパンチを作っていきます。

では後ほど。

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