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会社員からコーヒー焙煎⼠へ。焙煎を始めてたった1 年。強い想いが原動⼒に。

今回は、会社員から焙煎⼠となった三由さんにお話を伺いました。
焙煎⼠を⽬指すきっかけや想い、前職の活かし⽅、悩みなどをご紹介します。


1994 年⽣まれ、⽯川県出⾝の三由晃⼤さん。
現在は⾃⾝のコーヒーブランド「catea(キャティ)」を⽴ち上げ、焙煎⼠として⾖の販売やイベントの出店など精⼒的に活動をしています。

⽯川県の⼤学を卒業後は、東京で税務関係の会社に勤めていました。

コーヒー業界への転職をしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

「去年、病気を患ったのがきっかけです。何年か資格の勉強をしながら会社員を続けてきたのですが、仕事の疲れとストレスが溜まりすぎてしまい腎臓の病気を患いました。」

「1か⽉の⼊院⽣活の中で、今までは仕事や勉強を「使命」としてやってきていましたが、これからは「⾃分がやりたいこと」を仕事にできたらいいなと。」

病気になるまでは、コーヒー業界で働くなんてことは思ってもみなかった三由さん。

昔から好きだったコーヒーを仕事にしようと決めたそうですが、コーヒー屋で働いたりバリスタを⽬指すのではなく、なぜ焙煎という業種を選んだのでしょうか?

「コーヒーは元より好きだったのですが、飲むよりも淹れる⽅が好きになり、淹れるよりも焙煎の⽅に興味を持ったからです。」

もともとカフェ巡りや家でコーヒーを飲むことが趣味だった三由さん。病気になったことをきっかけに焙煎を始めたのだが、通常はコーヒー⾖の焙煎は電動の焙煎機で⾏うところを、あえて⼿回し焙煎機ユニオンサンプルロースターを使っています。

ユニオンサンプルロースター

⽳が開いている直⽕式と⽳が開いてない半熱⾵式があり、三由さんは後者だそう。

「⼊院⽣活はとてもヒマだったので、ずっと⼿回し焙煎機を探したり、いろんな焙煎の本を読んだり、動画を⾒たりして調べました。気になった焙煎機を使っている⼈にSNS でメッセージを送って使い⽅などを聞いたり。退院する⽇には家に焙煎機が届くようにしました(笑)」

「表参道で何⼗年も⼿回しの焙煎機でコーヒーを出されている⽅がいらして、⾃分と同じ半熱⾵式を使っているのですが、その⽅は深煎りのコーヒーを出しているので、⾃分は浅煎りでいこうと考えました。」

「やるなら⼈がやっていないことをやりたい。」

「多くの⼈が使っているブラジルなどはあまり使いたくなかったので、いきなりエチオピアのゲイシャから始めました。ゲイシャとブラジル、ゲイシャとコロンビアなど常にゲイシャを⼊れつつ、最初はいろんな⾖で焙煎を試しました。」

⼈がやらないような路線に踏み出すのはとても勇気がいること。しかも、ゲイシャは超⾼級といわれるコーヒー⾖。やり続けるには、相当な根気が必要だったでしょう。

試⾏錯誤を続けていると、半⽉ほどで迷⾛期に。

そのときに愛媛旅⾏をした際に出会った深煎りのコーヒー屋さんのコーヒーが、とても美味しくて感動したそう。

今の⾃分の状況や悩みをマスターに相談し、その返答に感銘を受けた。

「⾃分がこれと決めた⾖を1か⽉続けなさい。半年くらい続けたら、その⾖の顔がちょっと⾒えてくる。そこまで続けなさい。」

「騙されたかなと思いつつ、ゲイシャの焙煎だけを半年間続けました。そしたら本当に結果が⾒えてきて、ゲイシャとの距離が近くなったと思いました。」

「焙煎はいろんな⾖を試す傾向にありますが、1つの⾖を決めて、その⾖に愛着を持って、特性を知って、⾖との距離感を縮めていくのが⼤事だと思いました。遠回りしているようで、近道だったと感じました。」

本格的に焙煎を始めてまだ1年ですが、精⼒的にコーヒーイベントに出店したり、⻄荻窪のことカフェで間借りカフェを経営している三由さん。⼼掛けていることはありますか?

「イベントや間借りカフェをする時に意識していることは、地域のお客様、場所を提供してくださる方、catea、の3者にとってwinwinであり かつ、持続可能な状態になっているかどうかですね。どれが欠けてもいけないと思ってますし、それが難しいと判断すれば、固執せずにその拠点は撤退するようにしています。」

⻄荻窪のことカフェは、もう1年ほど働いていると聞きました。焙煎を始めてすぐの時期に、すごい⾏動⼒ですね!今後、⾃⾝の店舗を構えることは考えていますか?

「今後は必要に応じて考えていますが、無理に店舗を持つことを目的にはしないようにしています。より多くの方が、コーヒーの世界に楽しみながら迷い込んでいく世界観を作りたいので、狙いもなく無理に店舗を持つとそれを維持することが目的になって、本来の目的を見失っている状態になりかねません。」

自分は雑多な性格だと話す三由さん。しかし店舗経営については慎重に考えているようで、目的意識をもって取り組むことが大切なのですね。

本格的に焙煎を始めて1年。その⾏動⼒と熱い想いによって、少しずつcatea の名前が広がっています。cateaの名前の由来はなんですか?

「紅茶やお茶のような、飲みやすいコーヒーを届けたいという想いで付けました。私自身、コーヒーはたくさん飲むと疲れるという印象がありました。とくに浅煎りは。」

「どんなに美味しいコーヒーでも、最初の⼀⼝を飲んだら満⾜してしまう印象があったので、ごくごく飲めるような浅煎りがあればいいなと思っていました。」

「正直、私自身コーヒーをたくさん飲むことが得意じゃないんです。ちょっとでいいんです、50ml くらい。最初の50ml くらいを飲んで、味や⾹りや余韻を楽しみたい感じです。」

世の中の⼈にコーヒーを⾝近に感じてほしい。美味しさを伝えたい。そう考えたときに、コーヒー⾃体を変えるのではなく、「紅茶やお茶のようにコーヒーを飲んでほしい」という視点はとても斬新で、新しい発想だ。


cateaとして、三由さんとして、今後の展望を教えてください。

「焙煎がより⾝近になって、コーヒー業界がもっと盛り上がるようなことができたらなと思います。cateaをどんと盛り上げたいというよりは、世の中の⼈がもっと焙煎の楽しさを感じてほしいです。そのための焙煎の体験であったり、イベントであったり、施設ができたらいいなと思います。」

その想いが、catea のロゴにも込められてるんですね。

「ぐるぐるしている模様は、知れば知るほど深みにはまっていくコーヒーの⾯⽩さを意味しています。そのコーヒーの世界から抜けられない状態の「迷路」でもあります。また、迷路って共有する楽しさもあるじゃないですか。遊んだり⾃分で作ったり。コーヒーも同じで、美味しさを⼈と共有したくなる。」

「⼀番⼤事だと思うのは、⾃分の商品に⾃信をもつことだと思います。⾃信を持って「絶対に美味しいので飲んでください」と言えるかどうか。」

「それが私にとってはゲイシャです。このゲイシャだったら感動させられると確信して、100%の⼒と想いで日々営業しています。」

「想いが強いので、行動力ができる。想いが原動力になってる。」

普段はゆるやかな⼝調で話す三由さん。
コーヒーや焙煎の話になると、やはり⾃分のコーヒーや想いに確信と⾃信があるのでしょうか、とても楽しそうで、うきうきしていて、饒⾆で、早⼝になります。今回の取材を通して、三由さんの内側に秘めた熱い想いを感じました。

いつの⽇か、三由さんとcateaによって、世の中に焙煎の波がやってくるかもしれません。


catea  公式Instagram:


2024年3月4日取材
ライター 古川

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