コンサータや抗不安薬(ベンゾジアゼピン)を飲んでる人が海外旅行へ行くときの準備

海外へ行く際、持って行くとマズイ薬があります。何も準備せずにあなたが渡航した場合、最悪処刑されるようなものもあります。あなたは大丈夫ですか?


そのお薬大丈夫?

はじめに、薬局で売っている大衆薬は大抵大丈夫です。ただし、精神疾患を患っている人や疼痛でお薬を服用している方は注意です。
本記事のタイトルにあるような、精神刺激薬(コンサータ、イニチュアブ等)、ベンゾジアゼピン系薬剤(抗不安剤、抗けいれん薬、睡眠導入剤等)、強力な鎮痛剤(モルヒネ等)については、日本で向精神薬や麻薬に分類されたりしてます。これらは日本にいる際だと、処方箋によって医師からのお墨付きを得て処方してもらうものです。国内であれば、万が一その所持について、捜査機関(警察等)に確認されたとしても、処方された病院の医師に照会することで正当性を確認できるものですが、海外だとそうはいきません。
そのため、これらの薬を海外渡航の際持って行く場合(処方薬携行)は、正当な手順を経て準備する必要があります。

海外渡航時に必要となるお薬関係の準備

大使館へ問い合わせよう!

外国との最初の窓口は、いつの時代も大使館です。ドイツなら駐日ドイツ大使館、韓国であれば駐日大韓民国大使館といったように、訪問する国の駐日大使館へ電話やメールで以下の内容を添えて問い合わせてみましょう。
申請が必要となった場合、手続き完了まで時間が掛かるため、遅くても2ヶ月前には問い合わせ始めましょう。

  • 訪問する期間

  • 入出国地(実際に入出国する予定の空港や港の場所)

  • 持ち込もうとしている薬名(成分名がベスト)と量
    例)コンサータ(Methylphenidate Hydrochloride) 27mg/day

  • 上記内容で持ち込む際に必要な手続きがあるのかどうか

メールの場合は、3営業日くらいで返事が返ってくると思います。
その内容はたいていの場合、本国の省庁(日本の厚生労働省相当)の該当内容が表示されているURLを教えてくれたり、最初から必要な書類を送るよう、リストや申請書のファイルを送ってくれるはずです。リストや、申請書を送ってもらえた場合は、その通りに必要な書類を返信するだけでよいですが、ここの記載内容を見てね!とURLを送ってきた場合は、自分で調べて申請する必要があるので次のようにします。

本国サイトで申請について調べよう!

URLをクリックすると、薬を持って行く際に申請が必要となる薬のリスト(大抵成分名で記載)や、申請が必要となる場合について、申請方法が記載してあるはずです。なのでこれらを一つ一つ確認していきます。
申請が元々不要な薬もありますし、申請が必要な薬でも、滞在期間中、または旅行中に飲む分量であれば申請が不要であることもあります。必要と書いてあった場合は、サイトに記載されている手順で「処方薬携行許可」申請をしましょう。
例)イギリス、ドイツはコンサータ、サインバルタ等の薬について、旅行中必要な量、または3ヶ月以内の服用量であれば、申請不要。

また、逆に持ち込むこと自体が違法となる薬も存在しますので、しっかりと確認しましょう。
例)イギリスはデパス(抗不安薬、睡眠導入剤)の持ち込みが禁止されています。

書類を集めよう!

薬を持って行く際、ほぼ必ず必要となるのが英文で書かれた処方箋です。場合によっては、英文の診断書も必要となるかもしれませんが、基本的には英文の処方箋があれば大丈夫です。これについては、かかりつけの病院で発行してもらってください。1通1,000円程で発行してもらえると思います(ただし発行まで時間が掛かりますから余裕を持って依頼しましょう)。
この時「どんな内容書いておけばよいか?」と、英文の処方箋を書き慣れていない主治医の先生が聞いてくることがあります。その場合は、以下のような内容を書いてもらいましょう。

  • 病院名

  • 病院の住所

  • 主治医名

  • 主治医のサイン

  • 主治医の押印

  • 処方箋の発行日

  • 病名

  • 処方している薬のリストと1日当たりの処方量(一日に何mgを何錠という具合に)

英文の処方箋は、薬の携行許可を申請するとき以外にも、処方箋自体がその薬を持ち歩くことへの正当性を示すものであるため、海外渡航の際は、常に持ち歩くことを推奨します。

英文の処方箋の例

また英文の処方箋以外にも、パスポートの写し、航空券(eチケット控え)、薬の添付文書が必要となる場合があります。指示がありましたら、これらも準備しましょう。

薬の携行許可を申請しよう!

必要な書類や申請書を準備したら、次は申請です。
申請のやり方は、国によりまちまちです。

韓国の場合
揃えた申請書を食品医薬品安全処 医薬品安全局麻薬対策課のメールアドレス宛に送付します。1~2週間程すると、そこから「自己治療用麻薬類持ち込み承認事項」というPDFファイルが添付されたメールが届きますので、このPDFファイルを印刷して、渡航時に英文の処方箋とともに持って行きます。

台湾の場合
揃えた申請書を台湾衛生福利部食品藥物管理署のサイトにアップロードして申請します。完了したら、1週間程で許可文書がダウンロードできるよというメールが来ますので、サイトからダウンロードして、揃えた申請書一式と一緒にを印刷し、渡航時に英文の処方箋とともに持って行きます。

インドネシアの場合
申請書に記入をして、これを渡航時に英文の処方箋とともに持って行きます。

入国時に必要なこと

申請をしただけではまだ足りません。実際に入国時にも必要なことがあります。皆さんが大抵素通りする税関でそれは発生します。(申請が不要な国では何もしなくていいです)

韓国の場合
税関の「申告あり」の方へ進み「自己治療用麻薬類持ち込み承認事項」「英文の処方箋」「薬」を税関職員へ見せます。たいていリストに載っているものが申告数以下であることを確認されるだけですぐ終わります。

台湾の場合
税関の「申告あり」の方へ進み「申告書類一式」「英文の処方箋」「薬」を税関職員へ見せます。こちらもリストに載っているものが申告数以下であることを確認されるだけですぐ終わります。

インドネシアの場合
インドネシアは事前にネット上で税関申告ができるので、やっておきましょう。その際に発行されたQRコードを印刷して、税関前受付のリーダーにかざします。
すると普通は税関の「申告あり」に進むはずなのですが、2023年11月に私が渡航した際は、なぜか免税(素通り)の方へ案内されました。謎

まとめ

お薬は必要な人には無くてはならないものですが、国によってその扱いが異なります。そのため、ちゃんと申告しないで持ち込んで「違法だよ!没収!」となったり、場合によっては「違法薬物の運び屋」扱いされて逮捕!ということもあり得ますので、皆さん面倒でもちゃんと調べて必要な対応を行いましょう!
Have a nice trip!


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