なぜ難病患者が首相として働ける素晴らしい国として捉えられなかったのか。
安倍総理が辞任を表明した。
理由は難病である潰瘍性大腸炎の再発だという。
国のトップという重責を負いながら仕事を継続することは、病気がなくても大きなストレスとの闘いだろう。海外であれば選挙中に健康不安が疑われる候補者に票が入るかどうか疑問だ。
でも安倍総理は以前にも病気の悪化に伴い急遽退陣しているにもかかわらず、また総理として職務に就いた。そして長年その職を継続している。このことを異なる角度からアピールするのであれば、
日本は医療レベルが高く、難病である潰瘍性大腸炎があっても症状を確実にコントロールし、社会もまた難病がある人が国会議員という大事な職に就くことに対して問題にせず、それも国のトップとして国民からも支持を得ている。
ということが言えるかもしれない。
そう考えてみると凄いことなのだ。多くの難病や障がいを持つ人たちが、それを理由に仕事を継続することができず、働きたくても受け入れてもらえる場所が限られており、職業選択の自由の制限があるといっても過言ではない。
そんな中、安倍総理は病気を持ちながら一国の首相となり世界各国へも趣き、多忙なスケジュールをこなして長年仕事をし続けてきたというのだから、もっとアプローチ次第で事の中身は変わったのではないか。
しかし不思議と難病患者としての側面は表に出ないようにされてきたように思うし、今回も急にまた再発してしまったような印象だが、そもそも潰瘍性大腸炎は指定難病であり原因もわかっていなければ、「治癒」という状態になる病気ではない。
人によってその症状は本当に様々だが、「治癒」ではなく「緩解」という症状が出ていないが病気はある。という状態の期間があるというだけにすぎない。
だからこそ配慮が必要な時もあれば、通院時間を割く必要もあっただろう。
そういった点がもっと正直に誠実に前面に出ていたら、社会がもっと難病や障がいのある人たちへの配慮と仕事の在り方について理解が進んだかもしれないのだ。
残念である。どうか同じ病気のある人たちが、その病気ゆえに大事な仕事や役職に就けないという誤解が生じないで欲しいと思う。
同じ病気であっても、「人それぞれ」なのだから。