【フードエッセイ】はじめて作ったまかないは麻婆豆腐でした
初めて自分で作った料理というのは何だったのだろう。
子供の頃、妹と一緒に作った『目玉焼き』だろうか。定かでない。
余談だが、目玉焼きは料理と呼べるのかという言説をたまに聞くけど、私は立派な料理だと思っている。
それ以来、料理を作るのが好きになったかと言えば全くそんなことはない。
高校を卒業してなんとなく始めた居酒屋のアルバイトまで料理に興味はなかった。
そんな、なんとなく始めた料理が長年自分の生業となり、好きで始めた趣味のギターは放置してしまっているのだから人生分からないものだ。
そんな何となく始めた料理の仕事だったが、初めて作った賄い料理というのは鮮明に覚えている。
それは『麻婆豆腐』だった。
お店で出す料理というのは、当然レシピも作り方も決まっている。
その点、まかないは自分の料理と言える。
従業員のための料理だが、自分をアピール出来る場でもあるのだ。
まかないについては以前こんな記事も書いた。
そんなはじめてのまかない料理、私は張り切っていた。
気負っていたとも言えるし、慎重にもなっていた。
結果から書くと、うまくいかなかった。
・挽き肉を炒めるのに焦がしてはいけないと弱火で炒めた
(しっかりと焼き目をつけた方が香りが立つが、慎重さというより臆病さの表れか)
・味見をしても味がぼんやりしている気がして調味料をちょこちょこと足す
(自信のなさが迷いを生んでいる)
・なにより作るのに時間をかけすぎた
(手際の悪さが露呈した)
それでも初めての自分の料理、感想を聞きたかった。
「給食の麻婆豆腐みたい」
これは誉め言葉として受けとってもよかったのだが、意訳すると「甘かった」ということだった。
それ以来、折を見て色々なレシピで麻婆豆腐を作った。
料理本やテレビ番組など、目についたらメモをとった。
今ではスマホひとつで色々なレシピが簡単に検索できる。
本当に便利な時代だ。
そんな思い出のつまった麻婆豆腐。
今回はふたつほどレシピを紹介したい。
ひとつめは、料理本からのレシピを自分なりに改良したもの。
自分のメモ帳からなので出典元は忘れてしまったが、作ってみて本格的なものに近い感じがした。
ふたつめは、少し変わり種のひきわり納豆をいれたもの。
豆鼓に近い感じが出て、これはこれで面白いです。
スタンダード麻婆豆腐
① 油で豚肉と長ネギを炒め、酒、甜麵醬、醤油を加えて火が通ったら取り出す。
② 豆腐を4~5分下茹でする。
③ にんにく、生姜、豆板醤、一味、豆鼓を油で炒め、赤くなり香りが出たらスープ、酒、醤油、豆腐を加えて3分煮込む。
④ 味見をして水溶き片栗粉でとろみをつけ、お好みでラー油を加える。
⑤ 皿に盛り付け万ネギを散らす。お好みで花椒粉を添える。
納豆入り麻婆豆腐
【作り方】
上記と同様に、豆鼓の変わりに納豆を使う。
おわりに
カレーと同様に麻婆豆腐も様々な好みがあると思います。
辛いものが好きな人、子供でも食べられるそれこそ給食のような麻婆豆腐が好きな人(私はどちらかと言うと後者のほうが好みだったりするのです)
麻婆豆腐を見ると今でも初めて作ったまかないのことを思い出したりします。
出来の良さはさておき、あれほど一生懸命に料理を作ることは無くなったなと。
続けてきた甲斐はあって、昔より手際の良さは成長したとは思っていますが、同時に初心を忘れてはいけないとそんな気持ちになりました。
最後まで読んでくださりありがとうございます。サポートいただいたお気持ちは、今後の創作活動の糧にさせていただきます。