見出し画像

書店の棚 本の気配(4-50)

おはようございます。

昨夜夫が仕事の関係でホテルで懇親会があり、そのままそのホテルに泊まっています。

おかげで私はゆっくり自分の時間を満喫し、早くも今月4冊目の本を読み終えました。
今日の本もどなたか忘れてしまいましたが、紹介していただいた本です。

画像1

もう一〇年以上も前になるが、当時、晶文社にいた中川六平さんから本屋についてのエッセイを書くことをすすめられた。(中略)しかし、諸般の事情から、遅れに遅れているうちにわたしが、書店から退いてしまった。それで沙汰やみになった、と思っていたら、中川さんから連絡が入り、出版の目処がついたので追加原稿が必要ということになった。それで出来上がったのが、この本である。(本書後書きより抜粋)

東京堂書店の店長ですから立花隆、荒川洋治、宮城谷昌光、坪内祐三氏らとの交流があって然りですが、菅原文太氏の名前が出てきたときは、少し驚きました。神保町、まして、東京堂書店(しかも改装前)の店頭で抱えるほどの本(もちろん娯楽書じゃない)を注文する菅原さんは、一瞬、想像しにくいではありませんか。

2012年に初版されたこの作品ではありますが、今は亡き文化人も含め、本を挟んでの交流を読ませていただき、本当にうれしいかったですね。

しかしこの作品はそれだけではありません。
これからの本屋の生き残りや本との向かい方について、哲学専攻の著者らしい論理的で鋭い文章が至る所にあって、ハッと気付かされることも多かったのです。

「必要な本を出版するのが出版社なのではなく、出版産業を
維持する必要が本を出版しているというのが現状」(p95)
「一点一点の売上部数は落ちているのに、あるいは落ちているために、出版点数は増える傾向にある。これは読者の多様化などというものとは違う」(p108)
「全集は、書物の分解とは対極にあるもので、著者の作品群の有機的関係が体験できる。その著者の考え方の癖や性格が読み取れて、そうした観点からの問題への対処の仕方が体験できる。それがいつしか自分で考える力にもなってくると思う。・・・ ひとりの人間が一生かけてどのように考え、生きたのかということは、自分が生きていくうえでも支える力になるのではないかと思う」(p182)

一人の本読みとして、ガツンとやられたなと感じる文章もあり、私の今後の読書への戒めにもなると思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。
週末の土曜日です。有意義で、素敵な時間を過ごせますように。

この記事が参加している募集

読書感想文

いつも読んでいただき、ありがとうございます。これからも励みますね。