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ただ何となく生きても、人々を観察している(6-50)

土曜日以降何となく頭が思い日が続いていて、借りている本が期限内に読めそうもない不安から何とか逃げようとこの本を読み終えました。

ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。会心の短篇集!(「BOOK」データベースより)

単行本は2016年10月に、文庫本が今年の1月に発刊されました。

収録作品をAmazonの内容紹介を転記しておきます。

「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。
「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。
「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?
「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…
「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。

単行本の帯にも書かれているように「給水塔と亀」は2013年の第13回川端康成賞を受賞、さらに「浮遊霊ブラジル」は2017年第27回紫式部文学賞を受賞しています。

次々と文学賞を受賞している芥川賞作家の著者ですが、私は「この世にたやすい仕事はない」とか「とにかくうちに帰ります」などの仕事に関する著作が浮かぶ作家です。

お仕事小説がTV化し、話題となった朱野帰子氏の「わたし定時で帰ります」が発表された時も、津村記久子氏を思い浮かべました。

やはり自身の会社員生活の経験を元に、働く人々や女性を描いた作品が多いからではないかと思います。
今回読んだ文学賞を受賞している「給水塔と亀」、「浮遊霊ブラジル」共に主人公は男性ですが、視点は女性である著者です。

芥川賞作家の中では、読みやすい作品の多い作家さんです。未読の方は是非1度手に取ってみてください。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

有意義な1日をお過ごしください。

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