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シナプスの出る食事 ~sioに行ってきた

緊急事態宣言中、このnote内でも話題になったsio(代々木上原)へ行ってきた。

オーナーシェフである鳥羽氏の料理はもちろん、その料理のペアリングを行うソムリエ、亀井氏の発想にとても興味があった。
特にノンアルコール。
同期間中、ここにも書いたけど僕はノンアルコール・カクテル(モクテル)の製作で唸っていたからだ。
独立した、ノンアルコール・ドリンクとしてのモクテルとペアリングとしてのノンアルコール・ドリンク。
コンセプトが違う以上、アプローチも発想も変わってくるのは承知の上。それでもその着想や思考はやはり作る者として気になる。

ペアリング・コンセプトとして掲げている「味わいを際立たせる・広げる・切る」とはどういうものを出してくるのか。
また、ノンアルコールとアルコールのペアリングでどういう世界を見せてくれるのか。
幸いにもいっしょに行ってくれる友人がいたおかげでアルコールとノンアルコールのペアリング、両方とも試してみることができた。多謝。

振り返って全体の印象からすると「出来るだけ同じ世界を見せる」という感じを受けました。
アルコールからもノンアルコールからもフォーカスしている部分は同じ。
つまり飲める人も飲めない人もある程度同じ視線で料理とドリンクのペアリングを楽しめる・語り合える。誤差はあれども視界がそれなりに共有できることは同じテーブルで食べるにはとても良い。なにより楽しい(…まあ考えてみればコースで料理は同じなんだからフォーカスする部分がズレることはないんですよね)。

もちろんアルコールの有無によってアプローチする角度やニュアンスは異なるのだけど、それを最小限に抑えたいのではないのかなあ。合っているかは知らない。

そしてなんとなくだけど基調はアルコール・ペアリングをベースにしてノンアルコールのアプローチを考えていっているような気がした。
供されるものは思ったよりベーシック。もっとトリッキーなものが出てくるかと想像していたのだけど。
もちろん、これをアナタがゼロベースで考えなさいと言われたら相当悩むのは火を見るより明らか。そういう意味で考え抜かれて一周まわった感がとてもある。
個人的にはこの過程でボツになったものがどういうものだったのかを知りたいです。

酒が人並み程度に飲める人間の結論はと言うと…やはりアルコールのそれに軍配が上がる。
ノンアルコールだと骨格が細過ぎるというか重心があまりに上の方に行ってしまっていて安定感がないのだ。
音楽で言うならバンドサウンドのはずなのにベースとドラムがいないような感覚になり、美味しいのだけど、どうしてもフィニッシュに物足りなさが目立ってしまう。
ノンアルコールと料理というのはやはり難しいかなあ。
しかしシナプスはよく出る。これはアルコールペアリングもオーダーできたおかげだ。
アルコールとノンアルコールの共通項。違う箇所。どこを肝としているかをとても考えさせられた。
答えなど個人に拠るので正解など無いのだけど、自分なりの答えを考えながら、探しながらする食事はとても楽しいものであった。

次また行く機会があれば全く飲めない人と行ってみてその人の感想を聞きたいですね(友人もそんなに量が飲めるわけではないけど飲める人だったので)。間違いなく僕とは違った、飲めない人にしか見えない世界と答えが出てくるはずだから。


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