カクテルレシピの構造

突然ですが
『バーテンダーはアーティストである』
と、耳にしたことある方はいらっしゃいますか

これは私が18歳にバーテンダーを目指し、地元を離れた際に、その地で出会った複数の方々が仰っていた言葉です。

言葉通り捉える事も可能ですが、

当時の私は

『全ての出来事を昇華できる仕事である』

と、捉えておりました。捻くれていたのです。(現在進行)

今回まさにとある想いを消化(昇華)したいが為に、カクテル製作へ

長くなるので最初にレシピを公開します

・グラッパ(何でもok 冷凍冷蔵できるタイプだと素敵)
・ミード(シンプルタイプなら何でok)
・シャルトリューズジョーヌ
・マリブリザーブ パルフェタムール
・リレ ブラン

 A水135ml リレブラン20
 → レモン1/2 梅酒 30 蜂蜜30
  フレッシュレモングラス1束
  ニオイスミレ2tsp
  パルフェタムール シャルトリューズ黄   ミード 少々
・メレンゲ →B塩 上白糖 卵白

以上で

梅ラベンダーレモングラスジェラートを作る

・上記のジェラート1/2カップ
・テンパスフュージット 10〜15
・メラーナーパルフェタムール   5〜10
・ジンスミスオールドトムジン 5〜10
・レモンジュース 適量
ブレンダーにかけ、クラッシュアイスを少量ずつ投入し再度ブレンダー

・レモングラスインフュージョングラッパをストローに吹き付け 完成



カクテルを作るにあたったテーマは
『所詮突き刺して彷徨って』

画像1

※私と同じ世代の方はピンとくる名曲より

そしてメインと決めていたテーマ材料は『蜂蜜』

まずここからレシピの構想

蜂蜜を使用する事を決めましたので、
『蜂蜜で無ければいけない』理由をまず作ります


安直にも蜂蜜レモンを当初思い浮かべましたが、それでは甘味×酸味という黄金レシピの延長であるため、(他の甘味でも良いのでは??)という感情が湧いてしまったためNG


なので今回は蜂蜜の粘度がもたらす作用に注目しジェラートに行きつきました


端的に言えば、上白糖で作るジェラートはトップのインパクトは弱いですが、福材料を残した後味スッキリな、
果糖を使えば一口でガツンとくる甘味はありますが、やや重すぎる。

Bar で提供するフローズンカクテルはシャーベットやスムージーのテクスチャーが殆どですので、蜂蜜を使用することでふわふわとしていながらも、ねっとりというテクスチャーを再現できるわけですね


(この考えに行きつくまでに2週間の期間と多量の試飲で精神はドン底)


ジェラート試作段階では、
蜂蜜レモンジェラート→蜂蜜レモングラスジェラート→蜂蜜ミルクジェラート→蜂蜜ローズマリー→etc....
と、『所詮突き刺して彷徨って』ましたが、

複数の材料を使用していながらも、メニューを見た際に味が想像できる
梅×レモングラス×ラベンダー×蜂蜜 ジェラートに決定


最初のジェラート原液を作るポイントが
①ハーブの蒸気は逃がさない(蒸気は冷えて芳香水として原液に落ちるように工夫)
②アルコールは飛ばし切らないイメージ
③酸味と甘味の調整は全てリキュール類で

色々試行錯誤しましたが、①はハーブティーなどのファイナルドロップや蒸らすの解釈
②③は、レシピは3ピース!を愛する私の営業オペレーションのなか、カクテルへ仕上げの際に調整しやすくする為なので、再現される際は①だけ守って貰えれば問題ありません。(香りと味のキレの透明感に大きく差が出ます)


このジェラートがカクテルの味の肝になるため、この仕込みで味を完成させます。


後は簡単!
このジェラートをフローズンカクテルとして親しめるように、味とアルコール、そして今回は特に『色』の肉付けをイメージしながら、
・アフターの余韻と味の印象を狙うメラーナーのパルフェタムール
・口に含んだフレーバーに華やかさと、梅感を持ち上げるテンパスフュージットのヴァイオレット
・アルコールのボリュームとレモングラスによる爽やかな締まりをブーストさせるグリーフックのオールドトムジン
で調整して完成です。簡単です。


殆どの材料が銘柄指定です。これで無くてはなりません。自分の正気を疑う程に同ジャンルの種類を試しましたが、全く別の物体が出来上がります。

しかしオリジナルカクテルを作るのは殆ど初なのですが、かなりのお金と時間を消費しました。私の経験値に寄るもので不甲斐ないのですが、非常に充実してました。
本来なら自粛期間中、誰もが自宅で試せるようレシピ公開を前提に早目の完成を狙ってましたが、レシピ含めこんな事に、、、。
もしコンテストなら失格です完全に。

カクテルは、飲んでしまえば数分で消え無くなってしまうものですが、
誰かの地続きとなる弱い愛の魔法(ループ&ループ)になれば幸いです

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