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銀行の法人営業、やりがいとツラさ|銀行員になるあなたへ

安定して高収入企業の代名詞:銀行。その中でも法人営業(渉外)は長らく花形とされてきました。

国内低金利が続き、銀行代理業のスタートやフィンテック企業台頭により、その仕事の魅力は薄れたのでしょうか?

就職活動や、入行前のご参考にしていただければと思います。

▷銀行の法人営業のやりがい

まずはやりがいから。

銀行の法人営業のやりがい①|仕事相手が社長

社会人2,3年目の若僧が、歴戦の勇士のような中小企業オーナー社長から、雑誌の取材を受けるような新進気鋭のベンチャー社長まで相手にできる仕事が他にあるでしょうか?

人生を賭けて勝負している経営者と、企業の血液たるカネを握る立場で接するわけです。

磨かれます。

もちろん、最初のうちは右も左も分からないと思いますので、怒られることも多いでしょう。しかし、経営者はそれでも食らいついてくる若者が大好きです。

懐に入り、礼を欠かなければ、色々なことを教えてくれるだけでなく、地域の顔のような経営者との縁が一生続きます。

私自身、銀行員時代にご担当させていただき、10年以上に亘りお付き合いある経営者様も複数いらっしゃいます。


銀行の法人営業のやりがい②|ビジネスモデルと財務・金融のプロ

これほど多種多様なビジネスモデルを真剣に紐解かないといけない仕事は、なかなかありません。他には会計事務所さんくらいでしょうか。

決算書の数字をシャワーのように浴び、それとビジネスモデルを照らし合わせて、違和感がないか、強みは何かを考え、しかも考えたことを、その社長にぶつけることができます。

また、数字を通して事業を考えられるというのはトップビジネスマンの必須科目ですし、資金調達に関する実践的な知識も業務を通じて身に付けることができます。

銀行の法人営業のやりがい③|ディールを通した社会貢献

「このビル、パパがお金貸したんだよ」いつか子供にそう言いたいがために銀行員になった方も多いのではないでしょうか?

銀行の扱うお金は、日常的に扱うお金と文字通りケタが違います。

融資を通じて大きなビルや工場が立ったり、企業買収の資金付けをしたりすることができます。

あらゆるものに形を変えられるお金。それを提供することで、自分の目に見える世の中が変わっていく。そんな仕事です。

ちなみに、100,000,000円(いちおくえん)は100Mとたった3ケタで表記するのが銀行員の感覚です。この機会に知っておいてください。

銀行の法人営業のやりがい④|自分次第で仕事の幅が広がる

担当者が変わるだけで、態度がコロっと変わる取引先。よく聞くハナシです。

銀行の財産は、インフラとお金、そして人と情報。プロダクトが目に見えないので人の重要性が際立ちます。

また、取引先のアカウントや情報を持っているのも強み。

取引先と取引先をつないでみることだって出来ます。金属加工のA社と、雑貨屋B社をつなぎ、デザイン会社C社もつなぎ、プライベートブランド商品を作る、なんてことも不可能ではないかも。

人材紹介も出来る銀行が増えています。プロフェッショナル人材と呼ばれる、例えばデジタルマーケティングに強い人材を紹介し、そのPB商品をECで販売しよう。

どうです?わくわくしてきませんか?

そうして新しい事にチャレンジするお手伝いをして、その資金を貸す。

ちなみにこれは『本業支援』という言葉で表現されますが、その可能性は本当にあなた次第です。

銀行の法人営業のやりがい⑤|社会の裏側を見られる

とてつもないお金持ちに会えます。子会社をいくつも持っている大企業も担当できるかもしれません。

新発売の『環境にやさしい洗剤のCM』が流れています。

あなたはどう思いますか?一度使ってみようと思うでしょうか?本当に環境にいいの?と疑ってみるでしょうか?

銀行員なら例えばこう考えます。

どこの会社のCMだろう?聞きなれない社名だな。あ、上場A社の子会社Bが社名変えたのか。IRではSDGs投資を加速すると書いてあるから、その一環かな?そういえば少し前に〇〇社と業務資本提携をしていた。そことのコラボレーション第一段か。こういう分かりやすい実績が大事だからね。失敗できないからCMに力入れてるんだな。女優Cさんの出演料どのくらいなんだろう?・・・・・

良いか悪いか。こうして、ひとつの事象からその背景などを推察するクセがつきます。情弱という言葉の対角にいるようなものですね。

マガジン:1年目のあなたへ

銀行のやりがいを読んで、少し覗いてみるのもいいかも。


▷銀行の法人営業のツラさ

やりがいはいかがでしたか?少し楽しみになりましたか?では、今度はツラさについてもみていきましょう。耐えられそうですか?

銀行の法人営業のツラさ①|とにかく時間がない

色々なやりがいはあるものの、それをやっている時間がない、ということはほとんどの行員が感じているでしょう。

そのくらい忙しいです。

原因は『働き方改革』。仕事は多いのに、それに費やせる時間は減っている。なので余計なことをやっているヒマはない。

緊急かつ重要な仕事ばかりで気も抜けない。

何年目になっても「初めてやる事務」が発生し、時間はかかるしミスもする。

自分のやりたい仕事『緊急ではないが重要な仕事』をやるためにはタイムマネジメントを身に付ける必要があります。

銀行の法人営業のツラさ②|勉強量がハンパない

資格試験ってこんなに種類があるんだ。

そう思うのも無理はありません。

証券・保険の販売員資格はもちろんのこと、簿記にFP、はては銀行業務検定という汎用性ゼロの試験まで。

若手のうちはとにかく勉強です。

また、資格試験以外にも、日経新聞やワールドビジネスサテライト(WBS)、カンブリア宮殿などでの情報収集も必要ですし、相場もみていなければなりません。

取引先は、銀行員に『情報と知見』を求めていることが多いですから、色々なところにアンテナを張り、ある程度説明して自分の意見が言えるよう訓練しておかなければなりません。

銀行の法人営業のツラさ③|転勤が多い

せっかく仲良くなったのに…。

2~5年に1回の転勤は銀行員の宿命です。

大口案件が進んでいたのに、実行は次の担当が。逆に、突然担当になったにも関わらずミスなく実行せよ。

理不尽に感じますか?

しかし、これに対応できなければ一人前の銀行員とは言えません。案件への思い入れは大事ですが、思い入れ過ぎないことも大事かもしれませんね。

チームプレーで仕事をしている。だからボールを奪うのは自分の仕事だけれど、シュートを決めるのは別の人、と割り切っていきましょう。

銀行の法人営業のツラさ④|行内リレーションが面倒

銀行員の悩みの9割は職場の人間関係だという統計がある(かもしれません)

本当にそのくらいの割合である気がします。

✓ パワハラ上司との関係
✓ 同期との出世
✓ 本部とのやり取り
✓ お局事務方への気遣い
✓ 後輩の面倒見
✓ 行内恋愛

このあたりを上手くいなしつつ、自分の職務を滞りなく回していく能力が必要です。

ストレス耐性がない方は身に付けるしかありません。

バランス感覚も身に付けるしかありません。

しかし、世の中見渡すと、どうやらそうした能力はどこにいても重要なようです…。

銀行の法人営業のツラさ⑤|ノルマが激しい

イメージ通りです。

銀行の法人営業のノルマで大変なのは、そのギャップと種類の多さです。10種類前後の項目それぞれに、高い目標が貼られます。

もっとも、銀行によっては最近見直しているところもあるので、よくOB訪問やリクルーターの話を聞いておきましょう。

個人的には、目標自体はビジネスマンとして必要なものだと思います。

しかし、過度に達成可能性が低い目標はマンガの世界だけにしてほしいものです。

ノルマの厳しさとセットなのが、上司からの『詰め』。

彼らも詰められて育ってきたので、呼吸するように詰めてきます。私は、実績を出して見返すしかないかな、と思っていました。


いかがでしょうか?銀行の法人営業はやりがいも大きいですが、ツラいこともあると思います。ご自身のキャリアをしっかり考えて選んでみてください。

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