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#7 【読書】2021年に読んだ本

 2021年初に引越しをし、これまで片道20分程度の自転車通勤が片道50分程度の電車通勤になった。当初は電車内で漫然とYouTubeを見ていたが、通信量がままならないため、ふと思い立って本を読むようになった。その結果、読書と言えば参考書かミュージックスコアを読むことだった私が読書にハマり、現在進行形で続いている。
 通勤途中限定で本を読んでいるため、読了した本は6冊のみ(上下巻等を含めると全16冊)。いわゆる読書家の足元にも及ばないが、私としてはここ数年で最も本を読んだ1年といっても過言ではない。せっかくなので、今年読んだ本を記事にしたためたい。

1冊目

「21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考」;ハラリ著
 読書の習慣がついたきっかけとなった一冊。「サピエンス全史」で有名なハラリの著作(読んだことなかったが)。現代におけるテクノロジーや政治における様々なトピック(例えば、自由、平等、ナショナリズム、宗教)のそれぞれに対して、深い考察を行っている。難しい内容にもかかわらず、議論が明快で読み進めやすかった。新たな気づきや考え方が多くあり、視野が広がったように思う。ITとバイオテクノロジーの双子の革命に関する考察のくだりは、特に興味深かった。昨今の混沌とした世界の諸問題に対して少しでも興味がある人には、おすすめ。

2冊目

「罪と罰」;ドストエフスキー著、江川卓訳
 学生時代に購入したが、内容が難しすぎて上巻の途中で放り投げていた本書を、8年越しに読了。主人公のラスコーリニコフがひねくれた正義感のもと、高利貸しの老婆を殺して金品を奪ったが、のちに罪の意識に苛まれ、最終的には罪を告白する話。8年前に挫折したのは、物語全体の覆う、どんよりした暗さと重さによるものだった(すなわち読んでて楽しくない)が、社会人になってその面白みが分かるようになった気がする。人物の内面描写の緻密さたるや、、!ソーニャへの罪の告白シーンでは、主人公の葛藤にこちらまで心臓がバクバクした。予審判事ボルフィーリィとの対決も手に汗握る展開。本書をきっかけに、ロシア文学の長編小説全般に興味を持つことになった。

3冊目

■「自分を変える小さなコツ」;野澤卓央著
 会社の福利厚生のお金が余って3年前にAmazonで購入したきり、放置していた自己啓発本。筆者が自身の経験をもとに「自分を変えるコツ」がシンプルにまとめられている。論理的というよりも感覚的な内容。前後に読んだ本が重厚すぎたせいで、あまり印象に残らず。(申し訳ない、、、)

4冊目

■「アンナ・カレーニナ」;トルストイ著、望月哲男訳
 この本も3冊目と同様、Amazonで購入したきり放置された本。本筋は人妻アンナ・カレーニナがふとしたきっかけから若いヴロンスキ伯爵と不倫・駆け落ちしたはいいものの、嫉妬から徐々に精神崩壊する話。しかし、小説自体は群集劇であり、個人的にはリョーヴィンとキティのサイドストーリーの方が気楽に読めた。「罪と罰」とは打って変わって、上流階級の華やかな世界が舞台であり、全体を通して明るい気分で読み進められた。トルストイは写実主義の巨匠と言われるように、情景描写が極めて緻密であり、特に狩猟や耕作のシーンは脳裏に情景がまざまざと浮かんだ。ドストエフスキーよりはとっつきやすかった印象(長いけど)。また、光文社古典新訳文庫は訳語が優しい&文字が大きく、読みやすかった。

5冊目

「サピエンス全史」;ハラリ著
 1冊目の流れから、ハラリの代表作を読了。我々ホモ・サピエンスがいかにしてアフリカの片隅に住む猿から地球を支配するようになったかを述べた本。前評判から本書に対する期待値がかなり上がっていたが、期待を上回る面白さだった。虚構を信じる能力により人類が協力するようになった話、科学が帝国主義とともに世界中に広まっていった話は新しい視点で、とても勉強になった。価値観が変わった一冊。

6冊目

■「カラマーゾフの兄弟」;ドストエフスキー著、亀山郁夫訳
 ロシア文学耐性が付いた勢いそのままに、光文社古典新訳文庫版で読了。カラマーゾフ家の父親殺しに関する話。一言、すごかった。宗教小説、社会派小説、恋愛小説、推理小説、等様々な側面があり、これでもかというくらい濃密・重厚であった。また、カラマーゾフ三兄弟をはじめ、人物描写がとても魅力的だった。第二巻の大審問官とゾシマ長老の説教の内容が重すぎて挫折しそうになった一方、第三巻以降はミステリー要素が強く、一気に読み進められた。今はその気が起きないが、読み直すと新しい発見がたくさんありそう。作者の死去でついに書かれなかった続編の内容が気になる。

最後に

以上、ほぼハラリとロシア文学という、著しくジャンルの偏った本を読んだ一年だった。心なしか文章を読む苦手意識がなくなり、少しばかり教養が身についた気がする。来年は光文社古典新訳文庫から短編・中編小説もピックアップして読んでみたい。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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