戦後のドイツ・日本の戦争責任や外交を勉強する理由

最近ロシア関係の本ばかりなので、なぜ急に日独の戦後思想、具体的には敗戦をどう捉えたかというテーマは変に思われるかもしれない。

しかし、今回のウクライナ戦争でロシアが「敗北」し、プーチン一味が失脚して、「まとも」な政権が誕生し、ウクライナ政府が求める賠償などの議論になってくると、ブチャなどでの虐殺という問題にロシア人は直面しなければならなくなるかもしれない。これは、特にユダヤ人を虐殺したナチス・ドイツと状況が似ているが、さらに辛いのはそれまで「同胞」と見なしていた同じ東スラブ系のウクライナ人、あるいは民族的には同じロシア系の人まで虐殺していたという点だ。

そして、ロシア人がドイツ人の様に真剣に歴史問題とその責任について真剣に考えるならば、戦後のロシアという国の行動や在り方も大きく変わってくるかもしれない。逆にいえば、西側がウクライナ側についてロシアの「ジェノサイド」で盛り上がり、国際的な非難が高まれば、戦後ロシアを「マシ」な国にできるかもしれない。

特にロシアはその歴史が基本的に侵略の歴史なので、本気で歴史を反省しはじめるとかなり暗いことになるかもしれない。また、ロシアは「思想の国」であり、ちゃらんぽらんな日本などと違って、少なくとも知識人は真摯に受け止めざるをえないだろう。

もちろん、戦後に東西冷戦下で現実の政治体制が西側に組み込まれ、その中でやっていかなければならなかった西ドイツと、中国、中央南アジア、中東などしょうもない国の方に擦り寄る余地のあるロシアでは客観的な状況が大きく違うので、こう上手くはいかないかもしれない。

逆にいえば、ロシアの戦争責任に関する情報戦と、客観的な政治・経済状況をうまくコントロールすれば、都合の良いロシアを作ることができるかもしれない。これは十分に検討に価すると思う。

疑問に思われるだろう1点目は、お前は誰や? 誰視点で考えてるの? という点だろう。具体的な実行主体は国としてはアメリカ・欧州中心ということになるだろう。ただ、日本政府も少しは関与できるだろう。

2点目は、何が目的かという点だが、これは長期的な中国抑止のためにロシアを西側に引っ張り込みたいということである。将来的に中国が暴走を始める際に、そのエネルギーの元を握っているロシアは大きな影響力を持ちうる。中国がドンパチしようにも、ロシアが元栓を閉めてしまえば動けない。

ここでも、ロシアが「真摯に」ウクライナ戦争の責任を捉えていれば、同じ過ちを繰り返そうとする中国を抑制するように動く可能性が高くなる。



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