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詩だけを抜き出したマガジン

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創作を雑多に入れていたマガジンから「詩」を抜き出して読みやすいようにします。
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#詩

死者の呪縛

親は子に 我知らず呪いをかける 特に逆縁では 遺された兄弟姉妹に 兄は賢かった 姉は美しかっ…

入り江わに
6か月前
8

青に眩む(ぬまづ文芸2023入選)

雲ひとつない青空は 誰の目にも同じ色 ではない 名前のある青 名前のない青 打ちのめされて…

入り江わに
8か月前
3

実るもの

春は一面のれんげの花 こどもたちは花冠をつくり 首飾りをつくり 遠くへ もっと遠くへと あっ…

6

ネクタイを買う

ネクタイを買った 最初は父に 父の日のネクタイ 派手好きな父が 好みそうな配色を ネクタイの…

1

実るもの

春は一面のれんげの花 こどもたちは花冠をつくり 首飾りをつくり 遠くへ もっと遠くへと あっ…

4

愚者~タロットより~

若者は愚かなのではない 経験が足りないだけ 晴れた空を仰ぐことができる 小鳥と話すことがで…

4

ひこうき雲

私たちの権利は しあわせになること 権利は容易に剥奪される 焼け野原 爆撃 日本の老人が涙を流す かつて空襲を生き延びたから 死体 拷問の跡 南京の老人が涙を流す かつて虐殺を生き延びたから 爆風が掘り起こした地面に 地雷が埋められている カンボジアの青年が涙を流す それは今も誰かの足を命を奪う かつて大切なものを失ったから その時 みんなこどもだった しあわせは こどもの権利なのに 報じられる ウクライナの惨劇に 世界の古傷が痛む 癒えぬ生傷が痛む あの時死んだ

それ演歌じゃないか

歌を聞いて泣くお前が また泣き出して 泣きながら言うには アタシ死なないから アンタより先…

終末まで何光年

私は空に星を飾る 見えないのは光が弱いから そこにある ただそこにある 星は残る きっと 誰…

1

無限階段

降りることを許されたものだけが 階段を降りることができる 一段ずつ 上って上って 踊り場で…

2

事故で死ぬということ

赤信号 自転車で 止まっていた従兄はなぜ 追突されなければならなかったのか ICU 管につ…

3

葬送曲

従兄が死んだ 葬儀があった 年をとるほど 死に近くなる けれど母は 死から離れる 生きている…

3

いまどうしてる?

いまどうしてる? 車椅子の生徒 進学クラスの理系で 情報処理系の学部を目指してた 数学を友人…

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五行詩「父」

走れなくなるまで走り続けた 無名のランナー 父よ 棺に入れたランニングシューズ 走っていますか?太陽を追いかけて