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下りて来る音

中1の頃
部活終わりに友人の家で皆でたむろして遊んでいた時の話

友人の家は二階建ての一軒家で
父親と子供二人の3人暮らしだった
仕事で夜遅くに帰宅する為、父親は不在
一階のリビングには食べ終わったラーメンどんぶりが
そこら辺に置かれたままになっている
父親一人の子育ては大変だよなと子供ながらに思いながら
ソファに座り漫画を読んでいた
リビングの奥の方では友人達がワイワイ騒いでいる
集中して漫画を読んでいると、直ぐ横の2階の子供部屋に続く階段から

ギシッ…ギシッ…ギシッ…ギシッ…

日は落ちているからリビング以外は暗闇
明かりも点けずに暗い階段から誰かが下りてくる音が聞こえる
友人にはすぐキレる兄が居たので、友人等が騒いでいるから怒りに来たんだなと自分は思い
気付かないフリをして再び漫画に視線を向けた

ギシッ…ギシッ…ギシッ…
ギシッ…ギシッ…ギシッ…ギシッ…

随分と長い時間をかけて下りてくるなと思ったが
気付かれない様に忍足で下りて来たんだなと
そのまま漫画に視線を向け続けた

ギシッ…ギシッ…ギシッ… ドンッ…

階段を下り切って、床に足が付く音が聞こえた
さて今日は何を言って来るんだ?と思いながら
漫画に集中したフリをしていると
奥で友人達が騒いでいる声が聞こえるだけで一向にそれから音がしない
どうして立ち止まっているのだろう?と不思議に思い
階段の方に視線を向けるが、誰も居ない
ハッキリと誰かが下りて来る音は聞いているので
自分は立ち上がり、階段を覗きに行った

階段の上は真っ暗に静まり返っている
気持ちが悪いので、友人に今日は上に兄が居るのかと聞いてみた
居ないけど急にどうしたと、友人は自分を不思議がるだけだ
確かに誰かが階段を下りて来て、床に足が付く音まで聞いているので
怖くなって直ぐに友人の家を後にした

それから月日が経ち、そんな事も忘れて過ごしていた時
夕飯時のダイニングで母親が夕飯を準備する中
さあ食べようと椅子に座った瞬間
すぐ横のドアを挟んで二階へと続く階段から

ギシッ…ギシッ…ギシッ…ギシッ…

誰かが階段から下りて来る音が聞こえる
時間帯的に、二階に部屋がある兄弟は家に居ないはずだった
たまたま今日は休みで上に居たのかなと思い
気にせず食事を続けていると

ドタドタドタドドンッ…!!!!

勢い良く階段を下りて来る音が鳴り響き
リビングで寝ていた家の犬がその音に驚いて吠え始めた
階段がある廊下の方は暗闇のまま静まり返っている
後で分かるが兄弟は不在だった
その音は母親には聞こえていない様で
反応したのは自分と犬だけ

元々家の犬は夜中に天井の一点を見ながら突然吠え出したり
それが原因だからか留守番を異様に嫌がったりと
何か霊感らしきものがある犬だったので
その時の自分は霊感のチューニングが合っていて
音を敏感に感じ取る様になっていたのかも知れない

もし仮にその音が怪奇現象だとしたら
見えない何者かが自分の家に来てしまったと、鳥肌が立った

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