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1990~2000年代の思い出の曲【#23】

「寂(じゃく)は無いわ」
焼却炉が呆れた様に俺に言う

時期は20歳の頃
それぞれ地元を離れた生活を送っていたが
成人式で皆、北海道の地元に帰って来ており
自分とレスラー、焼却炉、もう一人の友達は
両親が出かけていて静まり返った焼却炉の家に集っていた

これからDJで皿を回すため、クラブへ行かなくてはいけないという焼却炉を
親父から借りた車で来ていた自分が送迎する事になっていた

間接照明の薄暗いリビングで
DJ KRUSHのアルバムで何が一番好きか
それぞれ4人は熱く語っている
圧倒的人気はやはり「覚醒」だったが
自分だけ「寂(じゃく)」と答えると
DJ焼却炉は何か作業をしながら呆れた様に言った
「...寂は無いわ」
タバコでは無く何故かお香を口に咥えている
意味が分からない
カッコいいと思っているのだろうか
後日、真似して自分もお香を咥えてみた事があるが
別にタバコみたいに吸える訳でも無いし
首をかしげて終わった
やはりただかっこつけているだけなのだろう

その後自分が運転して、港にあるクラブハウスへ焼却炉を送りに行くと
チケットが無いから無理だと俺達3人は入場を断られた
成人式といい、焼却炉だけ市の方の成人式に参加していたのもあり
(ややこしいが地元では市と町で別れて行われている)
自分は焼却炉に頭にきていた
意味が分からない
カッコいいと思っているのだろうか
確かに町の方の成人式は規模が小さく
参加するメンツもどこか垢抜けない奴らばかりだ
思い違いかもしれないが、全員袖にご飯粒が付いていたと思う
鼻水も全員たらしていたし、式中も全員ケツをかいていた
でも小学中学とみんな仲良く育って来たじゃないか
住民票はどこにあるんだ
焼却炉のそういうところが嫌いなんだよ

「着いたから降りて良いよ」
自分はそう言うと焼却炉を見た
しかし少しアクセルを踏んでいたのでゆっくりと車は進んでいる
「あぶね!バナナ、ちゃんとブレーキ踏んで!」
ドアを開けて地面の方を見ながら焼却炉は言った
何とか焼却炉は車から降りて、振り返って御礼を言おうとする
しかし自分は一切ブレーキを踏むことは無い
車は少しずつ進んでいる
すると突然焼却炉が叫んだ
「いてててて!足踏んでる足踏んでる!」
タイヤは焼却炉の足をおもいっきり踏みつけているではないか
自分は慌ててブレーキを踏む
「違う違う!進んで!」
焼却炉は顔を歪めている
再びアクセルを踏む

焼却炉は足をひきずりながらも、DJをやりにいった
それ以降、俺は焼却炉と会っていない

時が経った今、DJ KRUSHのアルバムで一番好きなのは
STRICTLY TURNTABLIZED
中でも「Kemuri」がお気に入りだ

寂は無いわ


1995年に期間限定として発売された曲「奇跡の地球(ほし)」
この曲の存在を知ったのは2002年頃で自分は中学3年生だった

TOP OF THE POPS (桑田佳祐のベストアルバム)が発売されるギリギリ前だったので
その当時この8cmシングルは入手困難となっていたが
どうしても聴きたくなり
ネットで中古販売されている所を探し
苦労して手に入れた記憶がある

当時はネットでも廃盤の物を探すのは本当に大変で
5000円近くで購入したのに
今ではAmazonで400円で買える

1年後、この常識を覆す文明の利器を手に入れるのだが
それは次の#24で

↓↓↓おまけ↓↓↓


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