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時間さえとびこえて

7/3、BUMP OF CHICKENの26周年記念ライヴ「Silver Jubilee」に行ってきた。
もう1ヶ月経ってしまった。
1ヶ月どころかもうすぐ2ヶ月だ。
翻って、まだ2ヶ月も経ってないとも言えるのだけれども、泣いて笑って、とても幸せな時間だったということ以外、見事に記憶が欠落している。覚えているのはMCがほとんどで、あとセットリストもおおかたは思い出せる。昔の曲から新しい曲まで、色々織り交ぜてやってくださって、こんなのまでやるの!?とびっくりした。……正直にいうと、イントロを聴いて「えーーーこれ聴けるの!?」とテンション上がったものの、一緒にいった友人と二人タイトルがすぐ出てこなかった曲があったくらいだ。まあ、そういうこともあるよね。終わってからちゃんと思い出しましたよ。

ありがたいことに今回のSilver Jubileeは、Huluでアンコールまでをほぼ完全配信してくださって、空いた時間に見逃し配信を少しずつ見ながら、そのすっぽり抜けている記憶を埋めている。
正確には、自分の中に残っている大変にいとおしい感情の残りかすを頼りに、もう一回体験し直している。
これはもうライヴ映像に関してはずーっとそうだ。自分の両目で見たものと、沢山のカメラで撮った光景は当然違うので、自分の体では知りえなかったことを見せてもらっている、と思っている。
今回私は座席が後方だったので(それでも中に入れただけでありがたい)、ステージの様子はモニタで確認するしかなかったから、とにかくメンバー4人がすごく楽しそうだったことが知れて嬉しかった。

長い前置きをしたが、そんななのでライヴレポートというより、配信映像で見直して、ひしひしと感じたことを書き出してみようと思う。
前述の通り今回のライヴは、特に新旧織り交ぜた曲構成になっていた。
例えば「ギルド」は2003年、「才悩人応援歌」は2007年に出来た曲だそうだ。メンバー4人はみなさん1979年生まれだそうなので、どちらも20代の時に作られた曲ということになる。
オリジナル音源を聴くと、ああ確かに若い時に作られた音楽だなーと納得する(藤原さんのお声が若いのもある)のだけども、今回初めてライヴで聴いて、結構な衝撃を受けた。今の、40代になった4人が演奏するそれらの曲が、ものすごい説得力みたいなものを持って、私の中に飛び込んで来たからだ。
なんというか、当時の彼らは確かに「若者」だっただろうし、今の彼らはどちらかといえば、年齢的にも立場的にも「大人」だと言えると思う。同じ音楽を同じ言葉で歌っているのに、目線が少し違う。にも関わらず、「わかるぜ」という姿勢が変わらない。大人である分、暖かさというか、包容力みたいなものが増し増しているように思う。
うまれたときには出会えなかった音楽に、今こうやって触れて、どうしてわかるんだろうとすくわれる。それも、その歌がうまれた当時の作り手の年齢に近いわけでもないのに。
でも、そうだとするならば、彼らの音楽のリスナー年齢層が幅広いのにもとても納得する。今の、積み重ねてきた大人である彼らの音楽が若い人達に響くという、ある意味私が今回経験したのとは逆向きのことが起きているんじゃないかなぁと、勝手にそう思っている。
ありがとうBUMP OF CHICKEN。
26年、続けてきてくれて、届けてくれてありがとう。

そうそうもう一つ、これは絶対に言及しておかねばならないことだけれども、当日会場では、発声等に関するルールを本当に本当に各々がしっかり守っていた。
藤原さんをはじめお話がちょいちょい本当に面白いものだから、つい笑ってしまう場面もあったけれど、それ以外は、普段リスナーが歌うパートも歌わず、曲の終わりとかお話の最後には、土砂降りのような大きな拍手で応えていた。
声が出せないことについて、藤原さんがとてもあたたかい、肯定的なお話をしてくださったことも、歌わない私たちをいつものように嬉しそうに見ていてくれたチャマさん増川さん升さんも、それに応えたリスナーも、ありがたくて素晴らしいことだったと思う。
そういうところにこられて、隅っこのほうにでも混ぜてもらっていることが、私はとても、とても誇らしいのだ。

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