見出し画像

9. エポキシ樹脂でディジュリドゥの修理 - 実践編

本格的な修理をする場合は彫刻刀の三角刀でクラックのすじがなくなるまで削ります。つぎに三角刀で削ることで荒れてしまった表面をヤスリでならします。この時三角刀でできた溝が鋭角にならないようにすることで、一番奥までエポキシ樹脂が入るようになります。

[三角刀で削る]左がオイル漏れをしたオリジナルの状態。右がタップをして薄い箇所全体を露出させてクラック部分を三角刀で削った状態です。クラックの修理と同時に薄い所の厚みを足すため、大きくペイントをはがしています。

エポキシ樹脂のA液とB液をしっかりと混ぜ合わせます。容器を下にコンコンと叩きつけて液体の中の気泡を抜いたら、原液をクラックの溝に薄くこすりつけます。その後、クラック周辺の木の色に近い木屑を混ぜ合わせます。エポキシと木屑は1:1程度です。

シャバシャバの液体状からヨーグルトくらいの粘りが出たら、クラック周囲に盛り上げるように多めにのせて整形します。硬化がスタートすると表面をならそうとすると引っ張られるようにくっついてきますので、ここでの作業はスピードが求められます。爪で触ってやや硬くなったと感じたらスタンドに立てかけて24時間以上おきます。

[エポキシ塗布・研磨・木工用ボンド]左がエポキシボンド塗布して24時間後にヤスリでけずったラフな状態。そこから番手を変えながらサンドペーパーをかけていきます。右はその後に木工用ボンドを塗って乾燥させた状態です。

カチカチに硬化していればヤスリで荒く削っていきます。きれいに整形してもデコボコができるのでここでのヤスリがけで周囲になじませます。つぎに荒い番手から順にサンドペーパーをかけて仕上げます。最初から紙ヤスリでやる場合は、両面テープをはった木っ端に紙ヤスリを貼付けて作業してください。

木工用ボンドを塗って、乾燥させたらアクリル絵の具でレタッチをします。この事例ではオーカ・ペイントのイダキの修理です。Earth Tubeでは白のみオーカでペイントしています。それ以外の色は色味を合わせるための色合わせをしています。

まずはクロスハッチの下地にどのような色が塗られていたのかを確認して、下地を塗ります。あとはオリジナルの状態の写真を見ながらクロスハッチをしていくだけです。このペインターは小さいセルの中にかなり細いラインでクロスハッチを描いていたため、ペイントの難易度は5段階で4.5くらいに感じました。


[ペイントのレタッチ]左が下地塗り。色合わせのために仮塗りをして乾燥を2-3回繰り返して、太陽光で見てカラーマッチしてから塗っています。右が完成図。アーティストの技量が高いため、まったく同じとはいきませんでしたが、明らかにここが修理跡というような感じの出ない、周囲に馴染んだ仕上がりになりました。

ぼくのnoteの記事を読んで自分で修理をやってみようと思われたら、まず木肌かペイント1色とかクロスハッチがペイントされていない楽器でスタートするのがおすすめです。

ディジュリドゥの修理そのものは難しいものではありませんが、エポキシ樹脂の取り扱いや均一な厚みに整形するには何度か繰り返さないとわかりません。失敗してもまたやり直せばオッケーくらいに思える楽器で試行錯誤するといいでしょう。

ペイントがきれいな楽器、特にオーカ・ペイントの楽器の修理はFacebookInstagramのDMか、EARTH TUBEのウェブサイトからメールにて修理依頼のご連絡をいただければ、お見積りをさせていただきます。きれいに直したい場合はご用命くださいませ。

最後まで読んでいただきありがとうございました!みなさんが無料でできる「スキ」や「シェア」、noteは無料で登録できますので「フォロー」をしていただければうれしいです。 あなたの「スキ」、「シェア」、「フォロー」が、ぼくがnoteで文章を書いていく力になります。