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ベンチャーキャピタルってなに?熟練のキャピタリストに根掘り葉掘り聞いてみる会

BAMBOO INCUBATORは、スタートアップ起業家の情報格差解消を目指し、起業家、エンジェル投資家、弁護士、弁理士、会計士、税理士、司法書士及び社労士で運営されている任意団体です。

このnoteでは、当会が開催している無料ウェビナーのレポートを投稿していきます。

今回は、2021.7.15に開催された「ベンチャーキャピタルってなに?熟練のキャピタリストに根掘り葉掘り聞いてみる会」のレポートです。
https://peatix.com/event/1903387/view

・ベンチャーキャピタルって何?
・VCってどこからお金を集めるの??
・起業家はベンチャーキャピタルってどう付き合えばいいの?
・会社の企業価値ってどう計算するの?
・借りたお金は返さないといけないの?
・起業家はどんなVCを選ぶべき?

こんな悩みをお抱えの起業家の皆さん、ぜひご一読ください。
今回は、ジャフコ株式会社のベンチャーキャピタリストである高原瑞紀様にお話しして頂きました。

登壇者紹介(50音順)

米崎直人(公認会計士):監査法人にて上場支援業務に従事。
高原瑞紀(ベンチャーキャピタリスト、ゲスト):ジャフコグループ株式会社関西支社支社長。
千葉直愛(弁護士):シード、アーリー段階の起業家・スタートアップ支援を得意とする。法律文書ジェネレーター KIYAC 代表。
廣瀬智一(起業家):大企業やスタートアップで様々な経営企画や事業開発を経験。とくにメディカル/ヘルスケア領域を得意とする。

VCってどこからお金を集めてくるのか?

機関投資家や事業会社から集めてきます。VCは潤沢な資金をもっているわけではないため、機関投資家や事業会社から資金を預かり、ファンドを運営します。また、場合によっては自己資金を出す場合もあり、自身のファンドの利益創出や外部機関から信頼を得る目的で行われます。

機関投資家や事業会社への営業方法は?

事業会社や機関投資家へ営業を行います。営業方法は、ちゃんと投資パフォーマンスを見せることが大切です。一般的なファンドの満期である10年間でどのくらいのリターンが返ってくるかの説明、ファンドのコンセプト、他社との違いなどを説明します。

集めたお金は返済しないといけないの?

投資ファンドですので、返済する必要はありません(VCが機関投資家から借金をするわけではありません)。投資が上手く行かず、元本を棄損するリスクもあり得ます。

VCが巨大ファンドをつくる目的は管理報酬獲得の可能性があるから?

VCの収益構造は管理報酬と成功報酬があります。管理報酬はファンド総額から受けとるため、たしかにファンド総額が大きければ大きいほど収益を得ることができます。

しかしながら、それに伴い企業へ出資しなければなりません。過去にリーマンショックなどの外的環境に左右され、思うように出資できないなどもありえることから、ケイパビリティに合わせてファンドの組成額を決定しています。

VCから出資を受ける=IPOを目指す必要があるのか?

基本的にはIPOを目指す必要がある、というのがお答えになります。VCは機関投資家や事業会社からお金を集めているため、時限的に有限的な資金を、市場や企業などに換金する必要があります。現状の日本はIPOが最も効率的と考えられているため、出資を受けた場合はIPOを目指す方がいいでしょう。

だだし、最近は始めからバイアウト(M&A)によるExitを見越して出資を受ける企業もあります。

VCのソーシングってどうやってやるんですか?

なんとも地道な作業ですが(笑)每日大量のプレスリリースや企業求人などを見ています。なので、VCにアプローチするにあたっては、こういった基本的な広報をきちっと出すのも意外に重要です。

VCに接触する方法として適切なのは?

これが正解、NGというものは基本的にありません。SNSにDMをもらう形でも問題ありません。また継続的に資金を調達をする場合、既存の投資家が他のVCを紹介してくれることもあります。

VCに会う時に用意しておくもの、考えておくことは?

会社の概要やサービスの内容が分かる簡単な資料があれば十分です。事業計画書などは出資を検討する段階になってから二人三脚で一緒に作っていくこともよくあります。

また、早く出資を受けたいスタートアップ企業は、DD(デューデリジェンス)が始まる際に一般的に必要な書類を先立って準備しておくのがよいでしょう。

ひと目見ただけで鼻血が出そうになる(笑)スタートアップってどんな会社ですか?

きわめて個人的な見解になりますが、やはり大きな課題に取り組んでいる企業には惹かれます。せっかくのリスクマネーですから、それでもたらされる社会的なインパクトが大きくなると投資する側もやる気が出ます。

テンションがあがる事業計画?ゲンナリする事業計画は?

事業計画でテンションの上げ下げはありません(笑)。スタートアップは不確実性の高い組織で、事業計画が初期段階から修正されることはざらです。ただし、どれくらい会社を伸ばしたいのか(WILL)や、そこに至るまでの過程が単なるExcelのお絵かきでなく、会社を大きくする説明があれば納得感がでます。

出資を受ける前から事業のブラッシュアップの相談をしてもいいですか?

もちろん構いません。出資する前の時期から相談に乗ることはよくあります。

VCの選びかた?

日本には100以上のVCがあります。いろいろな観点がありますが以下のようなポイントがあると思います。

①当該ビジネスについてVC側にも土地勘がありそうか。
②バリエーションの目線が大きくハズレていないか。
③VCや担当者と、人として相性があうか(長いお付き合いになるため)。

VCは事業か起業家はどちらを見ているのか?

どちらかというと起業家を見ます。なぜなら、不確実性に投資をするスタートアップの世界では多少事業概要が変わっても、その変化に起業家が対応できるかどうかが重要になってくるためです。

バリエーションって起業家から示す必要あるんですか?

別に起業家から絶対に提示しなければならないわけではありません。基本的に諸条件やラウンドはリードインベスターと企業が話し合って決めます。リードインベスターと密接にコミュニケーションを取ることが重要です。なおVCには2種類あり、リードインベスターとフォロワーがいます。起業家はリードインベスターとの相性が重要になるので、慎重に考えて行動しましょう。

リードインベスター:資金調達のラウンドを金額で引っ張り、会社全体のVCの筆頭格となるVC。
フォロワー:リードインベスターに紐づいて出資するVC。

実際の所、どうやってVC内部でバリュエーションしてるんですか?

ずばり上場時にいくらで売却できるか、からの逆算になります。これはVCという事業の性質上そういうものだと思います。

シード段階のバリュエーションってどうやってるんですか?

事業価値がつけられないシード段階の企業は、大体の相場である約10%の株式の放出を基準にバリュエーションを決定します。とはいいつつ、これからプロダクトを創るシード段階の企業のバリュエーションは本当に難しいので、類似企業の事例なども勘案します。


売上があがっていなくてもバリュエーションで評価できるポイントは何でしょう?

VCが見ているのは事業計画の再現性になります。
売上が上がっていると、売上の立ち方から計算できますが、売上が上がっていない場合は、売上を上げる仮説の粒度が高ければバリュエーションが高くなる傾向にあります。

担当者が出資したくても出資ができないことってあるの?

出資したくてもできない場合もあります。VCは担当者だけでなく、一つの組織であるため、1人1人のリスクの捉え方や考え方が違うため、担当者が出資したくてもVCとして出資できない場合があります。

投資委員会で引っかかることが多いポイントは?

出資を受けるかをどうか決める投資委員会では、何を主に議論されているのでしょうか。良く議論することは以下の3点です。

市場規模が適切なのか:市場が想定よりも小いさい場合があるため、市場規模が適切かどうかを議論します。
市場規模がわからない場合:「宇宙」など現段階で市場規模がよく分からない場合には、市場規模の定義から議論が始まります。
事業戦略:事業計画通りに売上を出す事ができるのかを議論します。
競争優位性:市場の中で強いポジションを築くことができるのかについて議論します。

まとめ

起業家と伴走するVC選びは非常に重要な存在になってきます。
一度出資を受けると、長〜いおつきあいになるので、VCの属性や強みなどしっかり理解した上で、Win&Winの関係性を構築していきましょう。

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執筆協力
billage OSAKA
https://billage.space/osakaekimaedaiichi
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