雪が落ちる速さ
雪はゆっくりと舞い落ちるものだと思っていたけれど、やけに速かった。
なぜだろうと思い、勢いよく落ちる雪を凝視していると、ひとつぶひとつぶが大きいことに気づいた。一センチほどもありそうだった。
その大きな粒にたっぷりと水を含んでいるせいで重たく、落ちていくあいだに速さを増したのだろう。
窓の外に見える景色がすべて白い線で塗りつぶされており、騒がしい。
情緒もなにもない。
引き続き目をこらして見つめていると、白い線はだんだんと速度を落とし、点となり、それらは、ひとつぶごとに異なる形をした結晶であることがわかった。
何億という数の、花や太陽や水晶のような形をした透明な結晶が、回転しながら落ちていく光景が見えた。
もちろん私の目はそこまでの性能をもちあわせていない。幻視だった。