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夫らしく生ききった日々 ~始まり~①
夫が白血病で亡くなりました。彼らしく生きてきた軌跡と、私が彼の伴走者として必死に過ごした日々を残したいと思い、書いています。
2021年10月1日(金)夜7時半を過ぎた頃に電話が鳴った。
近所にある、夫のかかりつけのクリニックからで
『すぐに診察したいから明日来て欲しい』との内容だった。
夫は元々糖尿病があり、3ヶ月毎に採血をしている。
その結果を1週間前に聞きにいったばかりだった。
その時は血糖が高いため運動をして下さい、と言われて散歩をするようになった矢先のことで、先週行ったのになぜまた呼ばれたのか、何か悪いことが起きているのではないかと不安になった。
夫は2ヶ月前に兄を亡くしており、明日は丁度納骨でお墓に行く事になっていた。
「いや、明日は用事があります。義兄の納骨なんで家にはいないです」
『どうしてもすぐ来て欲しいと先生が言っています。来られませんか?』
そう繰り返す相手の必死な様子にただ事ではない様子を感じて夫と相談。
丁度夕飯も終わったところでクリニックも21時まで開いている。
「明日は無理だけど、今からなら行けます」と返答。
『では、待たせるかもしれませんがすぐに来て下さい』
2人で用意をしてクリニックに着くと、先生が待っており
『白血球で異所性細胞があるとコメントに書いてあります。すぐに血液内科に行って下さい。紹介状を書きます。明日診察が開いているのはこの病院です』
「いやいや、明日は大事な用事があって・・・」
まだこの時は事の重大さが分らず、夫も納骨に行く気でいた。白血球数は8000と正常範囲内に治まっているし、もう週末だから来週の平日に行くと返答していた。
『死んだ人より今生きている人の方が大事ではありませんか?明日、必ず行って欲しいんです』
その言葉や声、表情にも緊迫感が込められていた。
先生はたまたま先週の検査結果を見直していて、気が付いてすぐに連絡をくれたとのことだった。
鬼気迫る様子に、その瞬間2人で顔を見合わせた。
これはただ事じゃない、病院に行った方が良いだろう。
血液内科って・・・嫌な予感がする。
夫は言葉もなく、目に見えて落ち込んでいる。
「きっと大丈夫だよ」そういう私の声も震えている。
ここから、2年2ヶ月に渡る闘いが始まることになった。
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