big design award について
bigの活動として、big design awardを開催する。これはファッションデザイナー向けのコンペティションで、LVMHプライズやイエール国際フェスティバル、ITSなどといった、若手デザイナー向けの世界的な登竜門を意識している。ヨーロッパを中心にファッションは発展してきた経緯があり、若手デザイナーへのサポートの仕組みもヨーロッパに偏る。そのような状況に対してアジアからも世界で活躍できるデザイナーを育める環境をつくっていく足がかりにしたいと思っている。
したがって、応募者の対象は全世界にした。日本やアジアだけで固執してやるのではなく、コンペティションへの参加自体がそもそもグローバルになっていて、その段階から世界中のデザイナーと切磋琢磨できるような場になることを意図している。結果としてアジアからも羽ばたく人材が登場すれば嬉しい。今回、そう言った心意気をアントワープやラ・カンブル、セントマやRCAといった海外のスクールにも伝えたところとても協力的な回答をいただき、世界もアジアのことを意識していると感じた。実際に海外からも多数応募いただいた。
前提として、ポスト・プレタポルテは意識するがハイファッションを特別に復権させたいというわけではない。意識しているのはクリエイションの復権である。既存のファッションシステムは変わるべきだと思うが、もちろん全てを否定しているわけではない。あまりにも、売れることを目的としたモノがあふれる時代に、売れる理由のある(支持される)クリエイションを復権させたい。そう考えた時に、従来の閉じたファッションではなく、オープンなファッションにしていきたいという想いがある。ファッションの世界だけで評価されるのではなく、異分野からもそのクリエイティビティやプロダクション能力、根底にある思想、などの可能性がどう評価されるかを見たいし、つながりができていければと思っている。
上述したような点を考慮し、今回の選抜されたファイナリストは以下の審査員チームによって評価されることになる。
Walter Van Beirendonck
アントワープファッションアカデミーの学部長、ドリス・ヴァン・ノッテンなどとともにアントワープ6と言われるうちの1人
Naomi Martin
写真家Nick Knightが立ち上げたSHOWstudioでコンテンツプロデューサーを務める
池上高志
東京大学大学院情報学環教授。複雑系、人工生命などが専門。身体性の知覚、進化ロボットなど。アート関連の活動も多数
タカノ綾
現代美術家。Kaikai Kikiメンバー。漫画家、エッセイストとしての活動も
Karchun Leung
Numéro China編集長。中国における様々なブランドのリテールコンサルティングも行う
家入一真
連続起業家。CAMPFIRE代表。以前には、paperboy&co.を創業し、最年少でJASDAQ上場。シェアハウスやカフェなど、活動は多岐に
まもなく1次審査を終え、ファイナリストを発表する。8月9日には東京で一同に会した審査会が行われる。こちらも、ショーを行う形ではなく、コレクション及びコンセプトムービーの展示、プレゼンテーションで行う。この辺りも、オープンに様々な人・分野につながっていくことを前提にした時、今回選択した形になった。また、ファイナリストにならない場合でも、今回の応募がデザイナーにとってよいきっかけとなるプログラムも運営していく予定である。コンペティションもあくまで道筋の一つであるため。これからより意図がしっかりと伝わるように丁寧に場をつくりあげていきたい。