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建築の仕事で見えない人々

こんにちは。

今回は建築の仕事について、一部紹介したいと思います。
前提として、建築の仕事にも複数職種があり、今回紹介するのは私が普段関わりのある部分となります。
また、どの職種であっても複合的であったり多様な業務をこなすこともあり得る昨今、今回紹介する内容が必ずしも正しいというわけではありませんので、ご了承ください。

建築と聞くとおそらく多くの方が、建築デザインを想像するかと思います。
もしくは大工のような職人を思い浮かべる方といるでしょう。
実際には施工管理という工事の請負業者、いわゆる工務店やゼネコンと言われる立場の三者がが揃って仕事が実施出来ます。
それぞれの契約上の関係としては、

クライアントー設計
クライアントー施工管理(工事請負)
施工管理ー職人

となります。
実際には工事監理という仕事もあり、契約上はクライアントとのみ結ぶこととなり、多くの場合設計事務所が設計契約と合わせて行うことが多くなります。
少し説明しますと、工事監理とはクライアントの代理人のような立場であり、工事が設計図の通りに実施されているかやその他の工事に関わる整合性を監督するような立場となります。
わかりづらいかもしれませんが設計業務というのは、あくまでクライアントに対して建築計画を提示するまでが業務であり、実施するかはクライアント次第です。
さらに実施する際にはクライアントが施工管理事業者と契約をするのであり、最終決定者は当然クライアントとなります。
しかし、専門的な内容を含む工事についてちゃんと実施されているかを判断するのは難しくなります。
そのために工事監理を置くことで、施工管理に対して指示を行えたり、変更の必要があれば設計事務所に対して意見を求めることが可能になります。
今回は工事監理についての設計事務所と合わせた形で説明を続けさせてもらいます。

設計は先にも述べましたが、建築計画をクライアントに対して提示する業務となります。
施工管理は工事を円滑に進めるための業務を行います。
そして職人が実際に工事を行い、造り上げることとなります。
例えて立場を言い換えれば、設計・施工・職人は
監督・コーチ・プレイヤーのような立ち位置になります。
別の例えですと、プロデューサー・ディレクター・演者と言っても良いかもしれません。
試合に勝つための戦略を設計が行い、実行するための連携や技能を施工管理が職人に指示し、それを職人が技術を駆使して実行するという構図です。
もしくは、作品の演出や構成を設計が行い、そのために必要な装置や舞台を施工が用意し、職人がそれを表現するというもの概ね当てはまります。
ただし、これらの例えと建築では異なる店もあります。
それは実行する職人が表舞台に出てこないところです。
実行するどの立場も個人の能力をその瞬間に出すことに違いはありません。
しかし、建築の場合表舞台に立つのは設計、もしくは設計と施工となります。
もちろん絶対そうだということではありませんが、多くの場合そのようになっているのが現実です。
例えの場合であれば、結果が実行する人によって大きく左右されることは分かりやすく、建築であってもそこに変わりはありませんが、誰が実行しているかは見えにくくなっています。
また建築においては、実行する人の采配について施工が大きな権限を持っています。
一点ものの成果物を造り上げるという点において、どこのポジションに誰が配置されているかわかってもらうことは何も不都合があるわけではありません。
映画のエンドロールなんかには、関係者の氏名や会社名を表示します。
しかし、建築図書には一部記載はありますが、関係者全てが記載されているわけではありません。

建築の仕事は、今やあまり人気がないかもしれませんが、一端には表に出てこない見えない人々の仕事が注目されない構図を作ってしまった業界の責任もあるかもしれません。
さらに人手不足とは言え、古くからある仕事ゆえに価格競争も激しく、安値で実施をするために多くの仕事をこなさなければ状況に自らしている側面もあります。

これから建築の仕事を志そうという方は、どこの仕事を目指したいでしょうか?
どこポジションに就こうと、建築を成り立たせるためには大切な仕事となります。
今後も必要な人材を確保する、そして技術を継承していくためにも仕事に光が当たるように目指していくことがこれからは必要かと思います。

では、また。

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