極右、左翼、選挙政治の罠
原文:https://freedomnews.org.uk/2024/10/07/the-far-right-the-left-and-the-trap-of-electoral-politics/
原文掲載日:2024年10月7日
著者:ブレードランナー
資本主義と選挙至上主義に縛られ、国家主義左翼は危機と再編の時期に何も提供できず、ファシストに勝ちを譲っている。
過去10年間、お馴染みの歴史的パターンが復活している。労働者階級と貧困層コミュニティの一部がトランプやルペンのような極右の人物にますます傾倒しているのだ。オーストリアではつい最近、右傾化が急激に進んだ。先週日曜日の選挙で、80%という驚異的な投票率の中、反移民・親ロシアのオーストリア自由党が勝利の座を確保したのである。これは、イタリア・ハンガリー・ポーランド・ブラジル・フランスといった国々で最近見られる傾向の高まりを裏付けている。
主流派の左翼は大抵この変化を、労働者階級の関心事への対応に「失敗」した結果だと解釈している。一般に、高学歴の新自由主義エリートに左翼政党が取り込まれ、「階級逆転」が起きたと論じられている。また、左翼が経済分析を放棄し、アイデンティティ゠ポリティックスを支持するようになったと主張する者もいる。
しかし、根本的な問題は、選挙民主主義制度そのものの失敗にある。選挙政治は、いかなる犠牲を払っても階級制度を維持する役目を果たす。裏切りと幻滅の感情は、国家主義左翼が選挙政治というスペクタクルに異議を唱えなかった歴史的失敗から生じている。逆に、21世紀初頭の経済危機で社会民主主義理念が崩壊する中、左翼政党は反乱と騒乱の時期を利用したのだ。そうすることで、左翼(今日、グリーン゠ニューディール・アイデンティティ・人権に焦点を当てている)は、自身を覇権的政治の二本柱の1つだと位置付ける。もう一方の柱が右翼(気候変動の拒否・ナショナリズム・宗教に焦点を当てている)なのだ。
現代の国家主義左翼は根本的悲劇に直面している。選挙至上主義に縛られ、新自由主義的統治の網に絡め取られ、危機と再編の時期に、真の代替案を提示することも、資本主義体制に効果的に挑戦することもできない。この時代は、新たな途の舵取りをする絶好の機会であるはずなのに。一方、エリートは、労働者を直接行動から逸らし、選挙での極右の選択肢や画策された排外主義暴動に誘導することで、支配を維持している。このように注意を逸らすことで、支配階級は生産体制・政治体制を再編する時間稼ぎをし、気候崩壊とエコサイドという厳しい現実に順応しようとしているのである。
皮肉なことに、偽りの約束で成長するのは左翼ではなく、右翼だ。極右指導者は、反体制的レトリックを身に纏い、自らを「忘れられた」労働者階級の擁護者だと位置付ける。「大いなる交代」や西洋文明の衰退といった神話を利用し、労働者階級の怒りをナショナリズムと外国人嫌悪に誘導する。彼等のアジェンダは労働者階級を再びバラバラにする。人種・民族・国籍のラインに沿って分断するのである。権力を握れば、極右は、当初台頭の原動力になった経済的絶望を利用し、緊縮政策と反労働者政策を押し付け、不平等をさらに深刻にする。
このようにして、彼等は排除された「他者」から城塞内の特権者を守る物質的・イデオロギー的障壁を強化し、双方の恐怖と憎しみを広めている。排除された側は、欧州要塞内の繁栄ゾーンへの立ち入りを拒否され、国家は「繁栄している」人々を統制し、鬱屈した資本主義リアリズムの枠からはみ出る人々を容赦しない。
解決策は、左翼選挙政党を改革して、現在進行中の資本主義体制崩壊に歩調を合わせるようにすることではない。解決策は運動構築である。選挙政治の枠組み全てを拒否する運動だ。答えは、極右の排外主義も左翼の空虚な約束も拒絶する直接行動・相互扶助・地域に根差した組織作りにある。私達を裏切り続ける資本主義・国家構造を解体できるのは、急進的階級意識と反権威主義組織だけだ。