2日目 少年 Y
父はアルバムをめくりながら、子供の頃に無くした帽子の話をした。
祖母が父のために手作りした帽子。額のところに、大きく「 Y 」と父のイニシャルが入っている。
「なくして帰った時、ずいぶんおふくろが残念がってね。普段はきっぷのいいさっぱりした人なのに、帽子のことだけは思い出す度に言われてね。子供心に自分は取り返しのつかないことをしてしまったんだと思ったよ。」
私はその話を聞きながら、もうすぐ無くなる帽子をかぶって笑っている、写真の中の少年の顔をもう一度そっと見た。
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この物語はヤヤナギさんが企画されている #100日間連続投稿マラソン に参加しています。
毎日ひとつずつ、少しずつずれながらどこか重なっているような物語を綴っていこうと思います。
企画の詳しい内容は、ヤヤナギさんのnoteのこちらの記事 に掲載されています。
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