54日目 買い物日記「大雨」

今日は晴れると思って買い物の予定をしていたのに、突然辺りが真っ暗になっておそろしいほどの雨が降ってきた。

雷も鳴っている。

隣家の洗濯物が救いようもないほど濡れて、ぺたんこに、重力を増して、まるでそこに意志を持った人間が立っているかのように、地面に引っ張られるようにして真っ直ぐ、微動だにせずぶら下がっている。

瓦屋根の軒に沿わせてある雨どいのところどころから、打たせ湯のように水が流れ落ちる様を眺めるのはなんとなく気持ちがいい。

動きの速い水、ぶつかる水は白く、遠くの方を見やると空全体が白い。

買い物はどうしようか、とぼんやり考える。

雨が降り出した時、二羽の鳥が並んでこちらに尻を向け飛びながらどこかの木へと帰って行くのが見えた。

雨の音はぶつかる音だ。次第に水たまりが出来て、水の中に水が飛び込む音の分量が増してゆく。

100円均一の小さな片手持ちのフライパンを買ってきて、その中に色とりどりの蝋を溶かし、どろどろに溶けた蝋の入ったフライパンを大急ぎで雨の中に放り出して、雨垂れをかたどった蝋燭を作った日のことを思い出す。

雨垂れの蝋燭に灯をともす。

ものを作ることに意味はない。

さて、買い物をどうしようか。

一人の予定はすべて気分で決めるが、連れ合いがいると少しだけ迷う。

ずぶ濡れで帰ってくるであろう連れ合いと、もう一度雨の中、出掛けるのか。

さっき見た鳥たちはどうしているのだろう。今日はもうねぐらから動かないのだろうか。

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