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孤独と芸術

 本当の前置き
 これはわたしの高校時代の卒業論文を一部改変し、文章にしたものです。

背景・動機・前置き

 美術、音楽、文学...分野に関わらず、歴史に名を残す芸術家たちの生い立ちや生前をみるとき、彼らの描く華やかで麗しい幻想的な世界とは裏腹に、作家自身は凄惨な最期を迎える者が多い。酒・薬漬け、精神疾患、他の人間を信頼できない又は依存する、等。
 現代においても創造的な人間は“闇”を抱えている人間が多いように見受けられ、社会全体でもうつ病・あらゆる人格障礙など"病み”という言葉をよく聞くようになった。その多くは幼少期の家庭環境やトラウマに大きく影響を受けており、特に人格障礙に関係するものは“正常な自己形成あるいは自己愛の育成”ができなかったことによって生じるものがほとんどである。そして、実際にもその患者数は年々増加している。しかも、その問題の根底にある原因は患者一人ひとり異なり、患者のケースも複雑化・多様化する中で、もはや医者は匙を投げ、原因も解明されないままただ症状を抑える薬を飲ませて死期を待つ以外に今は解決方法を持ち合わせていないのが現状である。

 私は、今のこのような社会問題の裏には、人間相互、あるいは何かしらの快楽を得られる対象への“依存”が原因となっていると考えている。特に、スマホ・インターネットの普及からなる「つながり依存」による“自己を冷静に見つめる時間の喪失”は、 現代人の“病み”を一層深刻化させている。
 なぜ芸術家は自己を見失う人間が多いのか?人と人が繋がるとはどのようなことか?幸福に生きるとは?感動とは?そもそもなぜ生きているのか?
 現代社会、そして人生でも最も大きな課題の一つに芸術という切り口から探る。 また、本来論文というものは色々な条件や前提をもとに理論を組み立てるものであるが、人間にとって普遍的なテーマである所以、ケースバイケースな部分の方が圧倒的多いため、条件などで限定はせず、些か抽象的な表現を多く用いるつもりである。
 何が根拠かをはっきり示せ、と言われるかもしれないが、科学的な論説でさえもその ほとんどは実験結果の辻褄を合わせるための仮説がたまたま今日まで上手く通ってきているというだけであるから、今回の私の論文についても、様々な事象や、日常生活で多くの人が感じているであろうことを、私がひたすら思い耽り、繋ぎ合わせて生まれた、人間、又人間の営みについての仮説だと思って読んで頂きたい。

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