2023/2/16 日記、ネタ、行進、漫才、ライブ、台本

今日は10:00に起きて日記を書いた。そこから集中して、夜のライブ用のネタを作った。我ながら90分ほどで書いたにしてはよくできたと思う。たぶんもうどこかでやることはない。と、思うので今回はこの日記の最後に台本をのっけてしまおうと思う。どうせ誰も見てないのでいいやー。
15:00~漫才大行進。19:00~新宿でウーデンガーデンさん主催のライブだった。

15:00~漫才大行進。出番終わりに楽屋に笑組のゆたさんから漫才についてのお話をいくつかいただいた。
もしかするとゆたさんが読まれる可能性もあるのでおべっかも含めて書いておく。多少、ゆたさんのことを書いても、とてもやさしい方なので怒らないはずだ(こうやって書いておくと仮にお怒りになっても声を荒げて怒りにくいだろうという打算があるということは書かないようにしておく)。

ここでいただいた言葉を「アドバイス」や「コツ」、「神髄」と言わないほうがいいと私は思っている。そんな軽い言葉で扱えるような代物ではない。

漫才は究極を言えば正解がないものだ。場所やお客さん、季節、気温、前後に誰が出るのか、その他すべてが複雑に組み合わさって正解が変わる。5年やそこらで手に取ることはできない。ただ、笑組さんは長く寄席の舞台に立っている。我々とは比べ物にならないほど正解に近いものを持っている方々だ。
ゆたさんからはとても納得のいく言葉をいただいた。ただ、最後に「嘘を教えてやった」という。当然、本心ではないだろう。良いと思うことを「嘘」と言ってしまう。これが漫才と向き合う人の正しい姿勢ではないかと私は考える。漫才には絶対的な正解はなく、自分の思う良いと思うことが数秒後に変わる可能性があり、そういったときでも変に立ち向かうではなく、ただただそこに自分を順応させる。順応しなくてもただ流れに身を任せるのだ。これだけでは十分に言語化できていないが、あくまでも日記なのだからこれくらいにしておこう。

と、このようにどう読み取ったのかをつらつらと書くのも野暮なもんである。こんな偉そうにわかった風に語る文章が鼻につく。ちょっとおどけて見せようと思う。

カントリーズの福田さんは「絶対に基礎が重要」とおっしゃった。漫才に絶対があるという悪い姿勢だ。ダメダメである。
こんな風に書いても福田さんは優しい方なので笑って許してくれるはずだ。絶対に。

そのあと、東洋館の屋上で夜のライブのネタを少し練習した。さすがに一切練習せずに舞台でかけるというのはお客様に失礼である。結果的にお客様はいらっしゃらなかったが。

東洋館まで乗ってきていたバイクを家に停め、すぐに新宿へ向かう。18:20に新宿Fu-+に集合だ。東洋館でいろんな芸人さんと話していたらギリギリになってしまった。
今回のライブは数組の漫才師が集まり、主催の方が決めたテーマに沿ったネタを作って持ってきて見せあうというものだ。今回のお題のテーマは「もも太郎」だった。

お客さんは0人だったが、そのおかげもあって全組のネタを拝見した。正直、テーマはどうでもよくて(いいのか?)どんな人たちがどんなしゃべり方でどんな漫才をするのかを見るのが楽しい。広く人間を好きになることができればどんな漫才も面白くなってしまう。

その人の話し方で何となくその人となりが見える。真面目な人、プライドを(いい意味で)高く持っている、シャイな人と言った性格もさることながら、今の自分に満足してなさそう、や ひとまず出してしまってあとから手直ししようといった雰囲気などなんとなくわかる。わかるというかそんな感じに伝わる。
今日のメンバーは1年目の若手や何年目かは聞けなかったが中堅くらいの方、同期くらいの若手といった芸歴も普段出ている舞台も違うといった変わった面々でおこなった。

その内、漫才協会のコンビが3組いた。漫才協会のメンバーとそのほかのメンバーでは漫才中の所作に明らかに違う点があった。それは失敗した時の対応の仕方だ。今回はお客さんもおらず、芸人に見られながらのネタ披露でなんともみんなフワフワしていた。全組等しくミスをしていたと思う。
漫才協会以外のメンバーでは失敗をしてしまったとき、いったん漫才を止めてやり直したり、あからさまに「あ!」という変な間がありそのままなんとか元のテンポに戻そうとする。それはそれでいいことだと思う。M-1などの賞レースでは1回でもミスをしてしまえば優勝はなくなる。常に完璧なものをお出しすることこそがプロという考え方もある。

一方、漫才協会メンバーはそれぞれに乗り越え方を持っている。「あ!」となっても、そこを含めて笑いにできないものかと考えを巡らせる。結果、それがうまくウケなくても何とか取り繕おうとしていた。これはやはり寄席という場所が、より漫才と生活を同一線上にとらえる場所だからではないかと考える。寄席は毎日行われている。正直、そんなところで徹底的に練習した新ネタをまったくのミスなくこなすなんてことは不可能に近いだろう。失敗をしたあとに、反省し次はどうすればいいのかと考えるのが浅草のお笑いじゃないかと思う。お笑いは人間がやっているものだから失敗をする。芸人とお客様の意思疎通がうまくいかないこともある。
今日の例を見れば、失敗も含めて自分たちの漫才で、この失敗をみんなに笑ってもらおうという感じだろうか。ちょっと良く書きすぎだと思う。読者諸君は騙されぬように注意すべし。

繰り返すが、ミスも笑いにしてやろうとする姿勢が絶対に正しいというわけではない。ミスがない漫才のほうがいい場合がほとんどだ。
ただし、ウーデンガーデンは失敗をしたところで再度、挨拶から仕切りなおしていた。これいかに。

さて、気づけば話が長くなっていた。
ライブ終演後に あさかぜ の古川くんと喫煙所に行って今日の漫才の出来を話す。一点気になっていたことがあったのでそこの話をした。なんとなく話してしまったが、変に古川くんは納得してしまった。なんだか怖くなった私は彼に言った「嘘を教えてやった」。

今日の面白いと思ったことは「もう90分で簡単なネタを書けるようになった。気づかぬうちに成長しているものだ」という気づきだ。


今日のライブは数組の漫才師が「もも太郎」をテーマにネタを作って持ち寄ったものを見せあうというものだ。我々のやった「もも太郎」をご覧ください。以下、今日のネタ台本のコピペだ。

20230216 ウーデンガーデン桃太郎ライブ

どーもーお願いします。

藤崎「今日はね、新しい昔話を考えてきたんだよね。」

田川「新しい昔話っていうのは変な言葉だけどね。    
   考えてきたんだ。」

藤崎「とても面白いものができた。」

田川「そう。昔話っていうことは、桃太郎とか浦島太郎みたいな?」

藤崎「あ、まさしくそれっぽい口ゆがみ太郎って話。」

田川「口ゆがみ太郎へぇー聞かせてよ。」

藤崎「むかーしむかし、福岡県に口ゆがみ太郎という男がいた」

田川「福岡県なのね。あるところじゃなくて。」

藤崎「すくすく育った口ゆがみ太郎は、学習院に進学しました。
   その後、政治家になった口ゆがみ太郎は総理大臣になりましたとさ
   めでたしめでたし。」

田川「うーん。面白くないし、麻生太郎の話だよね。」

藤崎「おー、みぞゆうな洞察力。」

田川「未曾有(みぞう)ね。麻生さんが読み間違えた漢字。
   麻生さんのこと口ゆがみ太郎って失礼すぎるだろ。」

藤崎「そうか、そうしたら他にもあってTwitter政治家太郎。」

田川「河野太郎さんね。政治家はもう良いのよ。」

藤崎「芸人から漫画家になった太郎」

田川「カラテカ矢部太郎さんね。いいのよ。太郎って名前の人並べなくて。  
やっぱりね、昔話に新しいものはいらないのよ。桃太郎でもう昔話は完成してるから。」

藤崎「そうかなあ。桃太郎はボケが多いのに誰も突っ込んでないから 
集中できないのよ。」

田川「どういうことよ。ボケなんかないからね。」

藤崎「鬼退治に行くメンバーが、犬猿キジでしょ」

田川「そうだよ。」

藤崎「弱すぎない?ゴリゴリマッチョな鬼が大群よ。弱いだろって突っ込まないと。」

田川「まあ、わからんでもないね。」

藤崎「これボケじゃないならメンバー変えないと。」

田川「どんなメンバー?」

藤崎「桃太郎とプーチン、シュウキンペイ、ドゥテルテ」

田川「強すぎるだろ!」

藤崎「まずはプーチンの核弾頭」

田川「初手で勝ちが決まるな。だめよ。昔話なんだから、もっとポップなキャラクターを出さないと」

藤崎「じゃあ、ほりえもん、成田ゆうすけ、ひろゆき」

田川「ポップじゃねえな。あと、鬼を精神的に殺そうとしてる?」

藤崎「この3人が来たら、お金を返すから帰ってくれ!ってなる」

田川「なるだろうけど、鬼が島に向かう途中に桃太郎が逃げ出しちゃうよ。」

藤崎「じゃあ、文春、新潮、フライデー」

田川「週刊誌記者が集まっちゃったよ。」

藤崎「スキャンダルで社会的な死を」

田川「そんなの見たくないよ。」

藤崎「桃太郎、きび団子業者と癒着」

田川「桃太郎がくらってんじゃねえか。」

藤崎「桃太郎以外にきび団子を持ってる人聞いたことない。」

田川「ないけどね。癒着とかじゃないから。」

藤崎「じゃあ、うに、いくら、マグロ」

田川「海鮮丼きちゃったよ。海鮮丼じゃあいよいよ勝ち目ないだろ。」

藤崎「ウニのチクチクは痛いぞ。」

田川「海鮮丼だからチクチクはないのよ。」

藤崎「じゃあ、カレー、ラーメン、ピザ」

田川「デブが集まっちゃうよ。」

藤崎「フィジカルが強いからデブなら勝てそう。」

田川「負けるよ。鬼は金棒持ってるから、いくらフィジカルが強くても厳しい」

藤崎「じゃあ、チビ、デブ、メガネ」

田川「俺一人じゃねか。桃太郎と俺じゃあ、絶対勝てねえよ。」

藤崎「ほら、あなたの得意技の眼鏡ビームとかさ」

田川「そんなのねえよ。なんだよ眼鏡ビーム。」

藤崎「うるせえな。文句ばっかりじゃねえか。そんなにいうなら、何か良い案出せよ。」

田川「強い動物を連れてくんだから
オオカミ、ゴリラ、タカとかじゃない。」

藤崎「・・・つまんねえな」

田川「つまんねえよ。強いから面白くなくていいんだよ。」

藤崎「じゃあ、やっぱり連れてくなら、麻生、河野、矢部だな」

田川「一番弱いよ。いい加減にしろ。」

こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。