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山の視点/微生物と動物と...

遠野での協力隊の活動が始まってそろそろ一ヶ月経ちますが、10回以上山に訪れてきました。自分は街中で育ってきたので、山や森に行くと毎回新しい発見や驚きばかりで、自然から多くの事を感じ、学ばせてもらっています。
 これからnoteでは、山での活動で学んだ自然の仕組みについて色々書いていきたいと思います。今回は山で活動されている先輩方に聞いた、トイレの話とそれにまつわる微生物や動物のはなしを書いています。

画像1https://uniques-magazine.com/2021/02/07/interview-31/

□山でのトイレ
山仕事や自然観察、登山といった山での活動を半日以上続けていると、どうしても催してしまいます。普段は綺麗なトイレで用を足すことが当たり前ですが、山にはトイレはほぼありません。
素朴な疑問だが、山に行ったらどこでトイレをしたらいいのだろう。多くの場合、人の見えないところまで行ってしやすい場所を選んで用を足すことになると思います。どんなことに気を使ってあげたらいいのだろう。

□自然への影響
小便の場合、川の水質を汚染しないためになるべく水源から離れた場所で行う。川の水は人も動物も飲み水として利用することがあるので、川の水に影響の少ない場所を選びすることを意識したい。

大の場合、用を足した後土の表層2~30cm掘って埋めてあげるといいそう。微生物が排泄物を時間をかけて分解してくれて、土の栄養へと変えてくれる。
 排泄物を埋めないとどうなるだろう。鹿や猪、熊などの大きな動物が食べてしまう。人間の排泄物は食品添加物や塩分濃度が多く含まれている。自然界には無い味であり、普段鹿などが覚えなくていい食べ物である。そのため動物の食生活を大きく変えてしまう可能性があり、自然や生態系への影響・インパクトが大きい行為である事を認識しないとならない。
 
トイレットペーパーは水に溶けると言われているが、その常識も山では通用しない。排泄物を包んで埋めれば分解されるように感じるが、ティッシュやトイレットペーパーなど人工的な紙は微生物に分解に時間がかかってしまい、数年単位で紙が残り続けてしまう可能性がある。排泄物は紙で包んで山に捨ててはいけない。

□微生物の分解
微生物が住むのは土の中です。微生物の力にも限界があって、地表や空気中ではその力が十分発揮されない。もし分解されるもの(食べかすや排泄物など)でも土の上に置いたり、草の上に置いたりすると、長い期間分解はされずに地表に残ってしまう。ものは地表に出ている状態では、分解は進まず土に還らないということは理解しておきたいですね。これはコンポストを利用されている方なら似たような経験があるかもしれません。もし分解させたい、土に還したいものがあるのなら、2~30cm土を掘って埋めるように心がけるようにしたい。

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□人への配慮
登山をするような山では、人は排泄しやすい場所を求めるため場所が重なることが多いらしく、用を足す時に掘ってみると出てきてしまうことが多々あるそう。登山者内では合図があり、木の枝を3本持ってきて三角形に置いておいたり、木の枝を立てて目印を作ってあげたりするといいそう。人が多く入る山では、人への配慮も大事だということを知りました。

□最後に...
山に入ると、動物や木々、川や土、虫や菌類や微生物、そして人間と本当に多くの生き物達が関わり合って生きていることを体感できます。普段暮らしていると自然との繋がりや関係性は見えないですが、私達はもう少し自然の事を理解して生活していく必要があるのではないかなと感じています。今後も活動を通じて自然について学び、発信していきたいと思います。

森林コーディネーターとして「人の暮らしと山・森林の関係を繋げること」をミッションに掲げ活動しています。毎日のように山に入り活動をしながら、自然の営みを知り、人の行為が自然に与える影響を肌身に触れて取材しています。
また、先人の生き方や自然との関わり方といった自然観や死生観についての研究も行っています。山での仕事的側面と文化的側面、両面の注目を行いながら山での営み方について考えていきます。


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