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もやもや無視

やらなきゃいけないことを後回しにしてしまう癖がある。

朝起きなきゃいけないのに起きずに寝続けてしまう。それで結局いつも自己嫌悪になる。どうしたらいいかは分からずにいた。そういうものだと半ばあきらめていた。

でも、ひょっとして。分かったもしれない。気付いた気がする。

旅を始めた最初のころに耳にした魔法かもしれない。古くからある黒い魔法「もやもや無視」かもしれない。僕は子どもの頃、腹にもやもやするものを感じながらもずっと耐えるしかなかった。そのうちもやもやを無視する方法を覚えた。

昨日のうちに絶対やらなきゃいけなかったことをしなかったからだと思う。今朝「起きたくない病」を発症した。いつものように寝続けようと思った。時計を見ずにそのまま寝続ける。休みの日なら寝続けることに飽き、寝続けている理由が分からなくなり、とうとう寝続けることができなくなるまで寝る。「寝逃げ」だ。でも、今日は仕事の日だから、どうせ仕事に行くためにギリッギリになれば嫌でも起きる。だから「寝よう」と思った。

でも、今朝、もしかしてこれって黒魔法の「もやもや無視」か?と思って、試しに「もやもや」をちゃんと感じてみることにした。意識を集中して、やらなきゃいけないのにやっていないことを思い浮かべると、胃のあたりがドヨ~ンと重い。

普段なら一瞬で注意をそらすところだ。でも、注意をまたやらなきゃいけないことをやってないことに戻し、胃のあたりのドヨ~ンを感じてみた。

滅茶苦茶嫌な感じだった。気持ち悪いぐらい。これを続ければ貧血になるか吐くかする前兆のような気持ち悪さだった。この時、自分が自分の中に起こるモヤモヤした不快感を無視する達人であることに気付いた。

「気付いて対処する」。昨夜会った上級魔法使いの言葉を思い出した。自分を大事にするとか、自分に責任を持つというのはそういうことだ。

僕は起きて、まずこの事をここに書いた。これは1つ目の対処なのか。逃げの気もする。でも書いておきたい。嫌な感じにちゃんと気付いて感じてあげる。「嫌な感じ」も自分の中の大事な「感じ」だ。感じて「あげる」なんて書くと気持ち悪い感じがする。自己愛的に思える。でも止めない。逃げない。ちゃんと大事に嫌な感じをじっくりと感じてあげる。子どもの頃、生きるために無視しなければならなかった「もやもや」を感じてあげる。記憶の中の小さかった自分と重なる。

あー気持ち悪い。この気持ち悪さを感じない方が楽といえば楽だ。

とにかく、この「もやもや」を減らすためにできることをするのだ。それは、読まずにいる資料を読むこと。これは明らかだった。そのためにまず起きて顔を洗った。OKだ。

でも、「気が重いよー、考えたくないよー、逃げたいよー」という感じがする。こんな時はスモールステップ。略して「スモステ」の魔法を試してみる。やらなきゃいけない事を、超軽いステップに分けてみる。やりにくさ5/100ぐらいの負担感の行動を考えてみる。それでも「もやもや」は反抗する。それならばと、1/100ぐらいの負担感の行動を考えてみる。たとえば「資料をバッグから取り出して机の上に置く」だ。これを思い浮かべてみても、それほどもやもやは反抗しない。よし。

バッグから資料の入ったフォルダを取り出して机の上に置いてみた。ほんの1mぐらい資料が移動しただけだ。でも、もやもやが少し弱くなるのを感じた。少し嬉しい感じもしている。

そして今、この記事を書いていることでもやもやから逃げていることに気付いた(笑)。間違いなく脱線している。もやもやへの対処に戻るべきだ。でも、ひとつだけ自分のために書いておこう。

この「もやもや無視」は、あらゆる場面で起きている。難しい仕事を安い料金で頼まれた時。キャパを超えてるのに仕事を受ける時。「もやもや無視」を使っている。家の中がごちゃごちゃしてきた時もそうだ。「もやもや無視」の能力がある意味高い僕はもやもやを無視し続ける。僕が「もやもや無視」をして家の中のゴチャゴチャに反応しないと、パートナーのオッサンはそんな僕にイラついてくる。僕はそんなオッサンにイラつく。そしてオッサンとの関係が悪化する。何が起きてるのかわからないワンコは、不機嫌なパパ2人の間で途方に暮れる。

いろんなところでこの「モヤモヤ無視」の黒魔法を使っていたことに気付いた朝だった。

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