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コロナ時代に考える、「パン屋を開業する」という働き方・生き方

皆さんこんにちは。
今、世間ではコロナウイルスによる影響が物凄いことになっていますよね。
営業禁止・自粛の店舗もどんどん増えてきてます。
街はロックダウンになり、経済は大打撃。
私の事業も研修の予定等は一旦延期にして対応しています。

しかも「いつ終わるかわからない」というところが非常に怖いですよね。

そんな「コロナ時代」を迎えている今日この頃ですが、嘆いていても仕方がないという部分もありますので、こういう時こそ、ここはひとつ前向きに「今改めて人生を考えるチャンス」と捉え、「パン屋として生きる・働く」そんな人生についての話をしていきたいと思います。

1.「このままでいいのか」という思い

私が明確に「パン屋を目指す」と決心したのは今から約13~4年前、27歳の時です。
自己紹介の記事でも書きましたが、あの頃は正直なところビジネス的な欲があったことは否めませんが、そもそも私自身に「独立心」が芽生たきっかけと言いますか、一生サラリーマンとして生きるのではなく、何か自分でやりたいように生きたい、と思うようになったのは、恐らく自身が多感な時期に味わった「バブル崩壊」という社会情勢だったんじゃないかと思います。

今でも覚えているのが、私が高校一年生の時に見た「一ドル=79円」という、史上空前の円高相場(当時の史上最高値)です。
高校生の私でも、「日本=2次産業の輸出国=円高になると不況になる」くらいの構図は理解できました。
そして大学生になる頃には実際に多くの就職活動で路頭に迷う人が出現、「フリーター」という言葉が一般に広まったのもこの頃です。

高校三年生になった春、私はそれまで特に将来なりたいものがあったわけではなかったのですが、進路を決める際に唐突に「よし、俺は社長になろう、なりたい」と漠然と決心し、経済学部に進学することを目指して勉強し始めました。
漠然と、ではありましたが、それまで世間一般に良しとされていた、いわゆる「普通のサラリーマン」という人生を、「はたして本当にそれで良いのか? 少なくともそうじゃない人生を歩めるくらいの準備はしといたほうが良いんじゃないか?」と、当時思っていた記憶はあります。


2.「本当に好きなこと、夢中になれる事」を探す

「社長になる」と決心したものの、では実際に「何をやるのか」ということは、大学生になってからも、社会人になってからも、特にこれといったものは見つからず、結局「普通に働く」人生を私は歩んでいました。

正直私の経験は、明確に計画を立ててビジネスを確立させていく優秀な実業家、なんていう存在とは程遠いと思います。

ただ、高校生の頃から心に悶々と抱えていた「このままでいいのか」という思いだけは持ち続けていた為、「何かやりがいを感じる事、自分の人生をコレと決めることができるような仕事はないかな」という程度にはアンテナを立て続けてはいました。

そんな私が運よく、ご縁を頂いて出会ったのが「パン屋・パン職人」という道だったのだと思います。

食べ物に興味があって、販売の仕事をしてて「自分で作ったものを売るほうが充実感があるだろうな」と思い、且つビジネスとしてもやっていけそうな職業。
当時の私の眼には、「パン屋」という職業はそう映っていました。


3.「パン屋を開業する」人生のメリット・デメリット

では実際にパン屋として開業してみて、感じたことをそのままお伝えしていきたいと思います。

<パン屋開業のメリット>

・何もかも自分で決めて行動できる、という充実感
パン屋に限らず独立開業するということは、当然責任も伴ってはきますが、やはり自分で決めて自分で行動するという充実感は、サラリーマン時代にはなかなか味わえないことだと思います。

・やりたいことを24時間やれる
もちろん睡眠時間はとります(笑)
まず「パンが好き、パン作りが好き」という事が大前提ではありますが、この仕事が好きなら、ある意味それだけで幸せとも言えると思います。

・支えてくれる人たちへの感謝の気持ちが大きくなる
独立するということは、それなりに背負うものが大きくなります。
しかし人間一人で出来ることには限界があります。事業なので本当にやりたいことだけをやって時間を過ごすわけではなく、やらなければいけない業務をこなすためには、多くの人に助けてもらうことが多々あります。
その際に必ず、そして何度も思います。
「この人が居てくれて本当に良かった」と。
そう感じれる時間があることって、とても幸せなことだと、私は思います。

・社会的地位(尊敬)を得られる
当初の私にはこういう気持ちがあったことは否定しません。そして実際に得られるとも思います。
今となっては上記3つと比べると、小さいことです。
マズローの欲求段階説を実感します。

・(頑張れば)小金持ちになれる
立地や生産効率(≒製パン技術)等の条件を一定以上満たしていることが前提にはなりますが、そこそこの小金持ちにはなれる職業だとは思います。
ただし体力もかなり必要にはなってきますので、お金を稼ぎたければ若いうちのほうが有利、とも言えるかと思います。
私の場合、以前は自身が一年間ほぼ休み無く営業日約16時間、定休日約8時間(仕込みの為)のサイクルで仕事をし、人件費削減のため妻(青色専従者)以外は週末に販売アルバイトさんが居るだけでした。


<パン屋開業のデメリット>

・基本的に儲からない
儲かる=オーナーである自分自身が現場店舗の業務に従事せず、経営に専念していて、且つ利益が出ている状態、を指します。
よほどの良い立地や物件(固定費のかからない物件を最初から持っている等)なら儲かりますが、オーナーが完全に店舗に入らないパン屋はかなり少ないというのが現実です。

・自由な時間がない
儲からないので自分が頑張って稼ぐ以外に選択肢がありません。
なので小さいお子さんがいる等ご家庭の事情がある場合は、独立をためらう方が多いのが現実だと思います。
一方で近年は「働き方も多様化」している時代です。
パン屋にも多様化があって良いというのが私の考え方で、現在自分でも模索しながら実践している段階です。

・ハードな労働から体調を崩すことがある
夢の実現に向けていざ開業したものの、これが原因でパン屋を辞めてしまった方が私の周りにもいます。
プロのパン屋(事業主)としてやっていくには、良いパンが作れるかどうかももちろん大事ですが、例えば効率良く(段取り良く)業務をさばけるかどうかも求められますし、そもそも製パン以外の業務能力(対外的な営業力や経理の能力等)も求めらるので激務になりやすいです。


以上が私が考えるパン屋開業のメリット・デメリットです。

今日は「生き方を考える」というテーマなので、メリットを強くお伝えしたいところではありますが、やはりデメリットも黙っておくわけにはいきません。

それでも私は「本当にやりたいこと」に「夢中になれる人生」は、とても幸せなことだと感じています。

コロナによる今の社会情勢を受けて、もし今の自分の仕事や生活を「このままでいいのか」という思いがあるならば、これを機会に是非「本当にやりたいこと」を考えるきっかけにして頂きたいと思います。

そしてもし、「パン屋になりたい」「パン屋になる人生の将来に希望を感じる」と、このデメリットを読んだ上でも思う方がいらっしゃるならば。
私は、同じ志を持つ仲間として、大歓迎です。
お力になれることがあれば、力になりたい。
力になれなくても、一緒に頑張っていきましょう!
共にパン業界の仲間として、人生を豊かにしていければ、と思います。

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