お金を配っても少子化は止まらない社会の真相を読み解く

先日、小池百合子東京都知事は、0歳から18歳の子供を抱える都民の家族へ月5000円支給する方針を打ち出した。

教育費が他地域と比べ、東京都は平均5000円ほど高いことを根拠として金額を決定したようだ。

岸田総理も出産一時金を42万円から50万円に引き上げる政策を打ち出している。この金額で平均かかる出産費用をまかなえるという計算になるのだそうだ。

このようにお金を支給することで、少子化を図ろうとしているが、ホントにそれで少子化が解消されるのだろうか?

もっと複雑で深い原因があると思うし、そこに手が届く少子化の政策方針を打ち出す国や自治体が現れないかぎり、ますます深刻な状況になることが予想される。

少子化の原因を要因分析する

◾️自律した個人

まず女性の社会進出が一つの要因として挙げられる。夫に養ってもらわないと食べていけないような時代ではなくなった。

これは男性でも言える。最近はスーパーでも以前と違い出来合の惣菜が陳列されている。奥さんがいなくても美味しいご飯がいつでも食べられるのだ。

こうして双方がもたれ合いながらでないと、生きていけないような依存関係が失われているのが現代なのだ。

◾️彼・彼女や赤ちゃん以上に、カワイイかったり魅力がある財サービスで満足

現在は、エンターテイメントのサービス産業はすぐれて高度化している。1人で趣味に没頭できる、異性以外の楽しみはたくさん見つけられるわけだ。

むしろ恋愛のような回りくどいことより、1人で自由な時間を満喫していたいという風潮も高まっている。

また何もない田舎でも、恋愛以外の楽しみもたくさん見出せる。スマホの普及によりNetflixの映像配信サービスや、Amazon楽天などの通信販売で美味しいものや興味あるものを取り寄せられるし、ゲームなどで交流できるSNSも普通になりつつある。

こうなると何がなんでも恋愛を優先したいというより、恋愛やその先の結婚などは後回しにしてしまいがちだ。

◾️過激さを増すネットメディアの弊害

韓流アイドルなどスマホをひらけば、インスタやYouTubeでも美男美女が盛りだくさんだ。
しかも映像加工技術が発達しているため、より美しさに拍車がかかって目の前に迫ってくる。

つまり男女問わず、相手に求める容姿はハイパーインフレのごとく高騰してしまっているのだ。1クラスでソコソコの女子やまあまあいい男子など歯牙にも掛らない。

余談だが、健保の財政難、高額な医療機器、都市部の過度な競争にさらされる医師は、自由診療の美容整形の方に活路を見出す傾向が強くなっている。

そんな美容整形の売り広告に釣られて、容姿の改編=整形を求める若い女性はうなぎのぼりに増えてきている。

もうひとつは性的コンテンツの氾濫だろう。実際の話、男の強い欲求が女性に向かうことが、恋愛の原動力になっている。今は過激化、多様化する性的コンテンツが男性の欲動を吸い取っているとも言える。

さらに恋愛ドラマが数多く普及しているため、男女が実利や慣わしで結婚することが結婚の悪いパターンという価値観が身に付いてしまい、

良い結婚とは至上の恋愛によって結ばれてるものだと理想を思い描くことが強くなっている。相手に求めるものがステキな恋愛関係という過大なものになりがちなのだ。

もうひとつはTwitterなどで、結婚後や恋愛中での相手に対する不平不満が溢れかえっていたりする。

Twitterとは世の中のうっぷんを呟く溜まり場という側面もあるため、悪い情報が目に止まり、より未婚者を結婚から遠ざける風潮が高まっている。

また女性にアタックするのも勇気や気力が必要だが、逆にハラスメントやストーカー事件もニュースで喧伝されているため、見ず知らずの男女間がつながる確率は低く、むしろリスクをはらむものとなっている。

◾️個人主義による社会規範の消失

昔あったお見合いというヌルゲーが衰退し、美男子美女に史上の恋愛を求めるムリゲーを経てからでないと、結婚に結びつかない。本来、奥ゆかしさが特徴の日本人にとって、率直に気持ちを伝えて関係を結ぶのは、昔から困難であったしその解消のために、お見合いという制度が発達していた。

また聞くところによるとお見合いだけでなく、昔は職場や近所におせっかいおばさんのいう人がいて、縁談の話を持ちかけてきたりしていた。こういったおせっかいおばさんも、人の人情を煙たがる風潮からか、どこかしら消えてなくなってしまった。

また、最近の状況というとコロナパンデミックで、人々が接触する機会が減ったし、それ以前からもスマホの普及やそのゲームにより、人々が直接会う機会が減ってしまっている。

そこで言われるのは、やはり1人の方が気楽でいい。旦那の世話などしたくない。成果主義の仕事で気力体力を使い果たし、それ以外で他人に気をつかう余裕などない、というから救いようがない。

結婚後の環境を見ても、近所付き合いの相互扶助のコミュニティは遠い過去のものであるし、実家の田舎から出て都会の夫婦だけの核家族化が進み、共働きも進んだこともあり、皆がバラバラで子育てしにくい環境になっている。

◾️慣習より消費としての結婚観

「長男として家系を継ぐためにも結婚しなければならない」
「周りの目や世間体もあるからそろそろ結婚しようか」
「縁談と言われるからにはこれも何かのご縁だ」

現代ではこのような風習・集団意識・神がかった考えは持たない。あくまで結婚をメリットデメリットの天秤にかけて計算するわけだ。

色んなネットSNSニュースなどでの話も考え合わせて結婚に踏み切るため、変に賢くなってしまったのが現代人だと思う。

◾️高年齢にならないと「大人」になれない

もうひとつは大学進出も増えているため、昔は高卒中卒でも働きに出ていた人々は少なくなっている。したがって晩婚化が進む結果、生まれる子も限られることになる。

一人前にならないといけない自立しなければならない状況は、昔はもっと早かったと思う。今は30を過ぎてようやく一人前になれるかどうか。もしかするとアニメのカワイイ文化も相まって人が幼いまま30才40才を迎えているようにも思える。

また今後、社会が発展していくことと、自身の収入が増えることを信じて、結婚つまり妻を養ったり、子供に養育費をかける見通しを立てられていたが、

今は社会の移り変わりが激しく、政治不信にはしまり年金不安や社会不安が大きく、将来どうなるか分からない。

実際、給与は30年間変わらず、社会保険や税金は増える一方だし、近年は物価高もあり可処分所得は減っている。子供の教育費も、今は大卒が普通だし、30年前に比べ大学の年間学費も600万円ほどから1000万円を超えている。

結婚(=養育費、マイホーム、マイカー)という大きなコストをかける一歩が踏み出せないということもあるだろう。

江戸時代や今の途上国では、子供を増やせば増やすほど働き手が増えて、直接に親夫婦への将来の豊かさが約束されるということが動機で、子沢山が多くあった。

今は、高齢になってもそれこそ年金もあるし、少ないお金でも楽しめる財サービスは約束されている。
自分を養う子供を育てなければ、生死に関わるはど困ることは想定できないし身近に感じられないのも問題を大きくしている。

◾️中国のグレーゾーン戦略

中国の軍部では、具体的な武力に頼らず、サイバー空間や世論誘導や政治操作によって、いかに相手国を弱体化させるか画策している。

これは今年の防衛白書にも記載されていたグレーゾーン戦略と銘打たれるものである。したがって国力を削ぐためのひとつとして、少子化へ拍車をかけるような誘導を多方面から介入している可能性は高い。

例えば、婚活アプリなどで嘘のデマやサクラの男女を複数登録しておき、活動を阻害する。1人の方が気楽で良い、というコメントを多数書き込み、そういった風潮に世論誘導する。

その他さまざまな中国に利する誘導をメディア本体や政治家やネット空間を買収して行っていることは想定されうる。

こういった要因分析から単にお金を給付すれば事足りるのではなく、かなり根が深い状況となっている。
引き続き、これらに対応する対策を考えたい。

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