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『これから「正義」の話をしよう』冒頭まとめ

先日、『これから「正義」の話をしよう』という本を読んだ。

この本は、いわゆる道徳や倫理について述べた本である。


日頃、私が生活する中で「モラルとして、ちょっとおかしいと思う」が、何がどうおかしいか上手く説明できず、何気に引っかかっていたことを、とても明快に分析された名著だと思う。

災害時に必要とされる物を高値で売るのは正義か?

以前の大阪台風でも屋根の補修価格を釣り上げるということがあった。この本でも、ハリケーン到来時に、べらぼうに高い物品を売り付けるという事例を引き合いに出し、これが人間社会にとって善なのか、冒頭議論されていた。

純粋に需要と供給で決められ、必要とする人が多いのであれば、価格は上がるのは必然であり、むしろ高く売れるため災害地により多くの業者が供給する意欲につながるので、良いという側面もある。

ただ、必要物資の価格が、極度に釣り上げられれば、低所得者が市場から排除されてしまい(買えない)、非常時に劣悪な状況に立たされることになりかねない。

需要と供給の良い悪い面だけでなく、著者は人間性について論を進める。

こういった災害時の便乗値上げは、他人の窮状を食い物にするという強欲さが正義にかなっていないのではないか。

困難な時に手を取り合うのではなく、他人の苦しみが目に入らないという状況に、自由市場経済がむしろ拍車をかけているのではないか、と著者は考える。

何が悪で規制をかけるか

ただ、何が人として善いかという考えに基づき、罰則や制限を設けていくと、

現代社会が保証する思想信条や行動の自由を、ある特定の考え=美徳から抑圧することになりかねないと著書は述べている。

需要と供給によって自由に物品を交換することで、人々の自由と経済的繁栄が促されるのに対し、
人間の美徳というのは、自由さや経済成長を阻害することにならないのか、ということが冒頭部分で述べられていたのだ。

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