社員の育て方を考えてみた

優秀な社員が育たない。労力とお金をかけても辞めていってしまう。

仕事が遅かったり、ミスが立て続いたり、成果が出なかったり、仕事の質が低かったり。いっそ自分が全部した方がいい。

こう考えている経営者の方も多いのではないだろうか。
私の好きな宮崎駿のジブリスタジオでさえ、創立40年近く経つが後継者が育たず、宮崎氏自身が部下を潰してしまい、組織化に成功していないようだ。

なぜこのような事が起こるのだろうかを分析してみた。

つい、細かく技術指導をしてしまう

一つは、創業者はその業界では腕利きの実務家や技術者であることが多い。ただ、必ずしも優秀な経営者ではないのだ。

どういうことか?

創業者はすでに高い専門技術や知識を持ち合わせ、日々の課題に取り組んでいる。そうすると、従業員細かい稚拙さが気になって、いちいち口出ししてしまうのだ。


「なぜこうなんだ。こうした方がいいだろ」こんなことを、毎日聞かされると嫌気がさしてくる。


創業者自身も、何年もかけて細かい部分での精度が上がってきたのに、それを入って数年の社員に求めても、すぐには上がってこない。

従業員自身が長い年月をかけて、自身で掴み取っていくよう導いていかなければならない。

そうは言っても、目で見て学べというような、昔ながらの職人が親方から学ぶという事も、従業員からすると不親切に感じるだろう。

したがって、以下の方策が良いと考える。

①仕事の場(役割や場所や道具)を与える。
②定期的に勉強会を開く。
③聞いてきた時だけ応える。

①については、まず信頼して、手取り足取り教えず、好きにさせる。大まかななすべき役割とその最低の目標を定める。過程は見ないで、結果だけを見るようにするというものだ。

続いて②や③で気を付けなければならない事は、過程に関して気になっている事をダラダラしゃべってしまう事だ。

ついしゃべってしまう場合は、大幅に短くした制限時間を設ける、書面やテスト形式にて対面は避けるなど工夫が必要だ。

対面では、コミュニケーションを良くするという場を意識しなければならない。もし万一、感情的な指導をした場合は、いくら本人が悪くてもフォローすべきだ。

これは、その従業員に向けたフォローというよりも、より巨視的な見方として、良質な職場雰囲気を作り直す事も経営者の仕事だと考えなければならないからだ。

もちろん自由にさせるとはいっても、違法な事や重大事故につながる事、大幅な売上減になる事などは許されない。

こういったことは、厳密に絞り込んで3つほどルール化して、雇用契約書に記載したり、掲示したり意識付けは必要だ。

サッカーの名門、国見の監督が先日亡くなられたが、教え子の大久保嘉人選手は、「技術面の指導はなかった。それよりも人としてのあり方を教わった」と述べていた。

人も子供も、器があって、親や教育者がいなくとも、そのまま育つものだ。

大事なのは、従業員へ無理に技術を詰め込むより、本人が気付き、本人自身で自らの器を満たしていく機会や場や姿勢をどれくらい育むかなんだと思う。


経営者と同じレベルはムリということ

もう一つは、大手上場企業でない限り、早々優秀な社員が来てくれるわけではない。

どこかしら①能力②やる気③真面目さに欠ける部分がある。

したがって、何年経とうが、自分と同じ役割のものを全て丸投げをすることはしてはならないし、できないケースが多い。

自分の役割の切り抜きの中の切り抜き、言わば分業を図って単純労働にまでミニマイズして、任せていく事が必要だと考える。

特に先程挙げた中で、③真面目さ、言い換えるとモラルや会社に対する姿勢に関しては、入社時によくよく考え方を把握していかなければならない。

ただ、ほとんどの日本人は真面目なタイプだ。不真面目になったりモラルが低くなるのは、指導側に原因があることが多いと考える。

したがって、採用時での採否、入社後の接し方をよくよく注意して、会社への敵対姿勢や違法行為、重大ミスの秘匿行為に及ばないよう、健康的な職場作りの取り組みは欠かせない。


《まとめ》
◾️基本スタンスは、信じて仕事場を与えた後は、自由にさせるということ。
️◾️成長や気付きの機会を与えるための定期的な学習会をさせること。

◾️経営者の仕事の切り抜きを与えるのみで、全部を任せることはしないしできないこと。

◾️経営者と従業員の個人同士の感情のもつれはあったとしても、良質で健康的な職場作りは毎日欠かさないこと。

◾️絶対に破ってはいけないルールだけは、大きく目に入れるか社訓にするなど、意識を徹底させること。

◾️過程は見ない、口出ししないこと。結果だけを見る事。結果責任も段階的に従業員に課して、自覚を芽生えさせること。

◾️最終的には親と同様、経営者自身も仕事への姿勢を見られている事は忘れないこと。

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