人事異動で離職率を減らす逆転の発想の株式会社武蔵野の取り組み

先日のニュースで、育児休暇を取得した男性社員に人事異動をしたとして世間を巻き込む大炎上がありました。このニュースからも人事異動はネガティブにとらえている人は多いのではないでしょうか?私もその一人でした。

そんな時に以下の記事を見て衝撃を受けました。

株式会社武蔵野という会社では社員移動を頻繁に行っているのですが、それは離職防止の為だというのです。半信半疑で記事を読んだのですが、概ね納得しました。人事異動を繰り返すことが離職防止になる理由が6つあります。

<6つの理由>
①新しい経験をすることで、成長を実感できる
②「モンスターパート」や「派閥」がなくなる
③上司のことが嫌いでも我慢できる
④社員の「不正」がなくなり、犯罪者を出さない
⑤新卒社員の「入社1年以内の離職率」が下がる
⑥「仕事ができる人」のモチベーションが下がらない

特に②の派閥問題と④の不正問題は目からうろこでした。

転職理由の上位に来るのが人間関係です。仕事は好きだけど人間関係が嫌で辞めるパターンです。人間関係が理由の場合、辞める本当の理由は言えないので、適当に理由をつけるわけですね。だから人間関係の問題は表に出にくいので非常に難しいのです。でも頻繁に移動があればみんながフラットに接することができるし、マウンティングする必要もありません。移動にこんなメリットがあるなんて驚きですね。

もうひとつ、「不正がなくなる」というのもその通りですよね。人は長く同じ場所にとどまると、ズルをしたり、ルールの抜け穴を見つけたりします。一度不正をしてばれなければだんだんとエスカレートしていきます。経理担当が会社のお金を横領したというニュースはまさにこれが原因です。

いままでは人事異動にはネガティブなイメージしかありませんでしたが、今回の武蔵野の取り組みを知って考え直す機会になりました。素晴らしい会社だと思います。

ただ、この取り組みを他の会社が実践できるかというと、簡単ではないと思います。実践するにはいくつかの条件をクリアしないといけないからです。

転勤がない

人事異動がネガティブに感じるのは転勤セットで考えているからです。子供のいる共働き夫婦は簡単に転勤できませんよね。でも武蔵野さんは東京の会社なので人事異動で転勤することはありません。しかし、全国展開している企業では転勤で人をまわしている状況があるので難しいように感じます。

複数事業を持っている

また、武蔵野は複数の事業を経営しています。だから人事異動の選択肢がたくさん用意できるのは良いことだと思います。ただ、それぞれが魅力的な事業でなければ、移動に不満が生まれることになるので経営者の手腕が問われるところですね。

リスクを受け入れる

頻繁に人事異動をすることは、「リスクを受け入れる」ことです。移動するとゼロからのスタートになるので、短期的にはパフォーマンスが下がります。これを受け入れる度量がないといけないのです。長期的に見れば社員のレベルも上がりますし、会社全体のパワーも上がるのですが、短期的な損失を受け入れるには強いリーダーシップが必要になります。

ということで、武蔵野さんの取り組みは素晴らしいと感じました。ただ、世の中には変わりたくない人が多いので、向き不向きはあると思います。


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