SIerがユーザー企業に提案するDXとは?

近況

所謂SIerのアカウント営業として、仕事の進め方がある程度わかってきました。担当顧客の経営方針、相対する担当者の業務を理解し、年間の投資スケジュールに沿って想定課題とソリューションをぶつけていく。言葉にすると簡単なのですが、裏では顧客の業界知識、業務知識、ベースとなるIT知識、自社のケイパビリティを常に学んでいくことが大事だと実感しています。

そんな営業活動の中で感じる、『DX』について

DXという言葉、もはや聞かない日はないですよね。何かとDX。経理業務効率化のソリューションは経理DX。SFAは営業DX。コロナ前の2019年くらいからやたらとバズワード化している印象です。(その前は、『攻めのIT』『守りのIT』とか言ってたような・・・。)
DXについて、改めて学ぶ必要もあると思い、何冊が本を読み漁ってみました。ちなみに、おすすめはこちらです。

さらに、経産省の定義なんかを見てみると、こんな風に定義されています。



DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競 争上の優位性を確立すること。」

ようは、アナログな業務をデジタル化しただけではDXではなくて、業務をデジタル化したことで得られるようになったデータを使って、新しい製品やサービスを作ったり、ビジネスモデルを変えていくのがDXだ!ということですね。

整理していくと、デジタル技術への理解はもちろん、自社の業務やビジネスのこともしっかり分かっていないと、DXの実現は難しいということになります。

上記を踏まえると、我々SIerが顧客のDXを実現するには、より顧客の業務や企業文化を理解した上での提案が必要だと理解できます。
ただ、それってかなり難しいのではないかと思います。「顧客の業務を理解する」言葉にするのは簡単ですが、我々が相対しているのは基本的に情報システム部。顧客の営業部、生産部、資材部、物流部、店舗販売員・・・etc。業務を知るためにはこういった現場部門の方とつながる必要があるはずです。(実態は、なかなかチャネル構築ができないことのほうが多いかと思います。)

ただ、最近のユーザー企業のトレンドは、DX社内教育、内製化。SIerの力を借りるという考え方から、自社のユーザー部門のITリテラシーを向上させることで、DXを実現しようとしています。当たり前のことなのですが、自社の社員であれば自社業務や文化、ビジネスモデルについてはよ~く熟知していますから、デジタル技術の知識をつけてもらうだけで、理論上はDXが実現できる、と考えるわけです。

前置きが長くなりましたが、このような状況下で、顧客の言われた通りのシステムを開発するビジネスモデルである我々SIerも、いよいよDXを自分事に するタイミングが来ているような気がします。

現実として、『SIerの力を借りずに、IT技術を自社で活用していくこと』がユーザー企業のDXの実現に繋がっていくような気がします。このような中で、SIerができることって何でしょうか。1社員として、真剣に考えていかないといけない気がします。
直近では、データ活用のための既存システムのクラウド化、モダナイゼーション等でSI大手各社の業績は好調な印象です。
しかし、5年、10年の未来を見据えると、顧客の内製化を推進するための、kintoneのような開発基盤や、データ活用クラウドサービス、IT教育サービス等を、月額モデルで提供していくビジネスモデルへ変わっていくのかなーと漠然と思います。(もう変わっていっている企業や挑戦している企業もたくさんある。)
そうなってくると、競合になってくるのはSaaS企業になってくるのでしょうか。とはいえSaaS企業は特定領域のプロ。名刺管理SaaSの会社は名刺交換や営業業務について徹底的に分析しているでしょうし、医療系SaaSは医療業界を熟知しています。その中で、我々SIerはどこの領域でこの先ご飯を食べていくのか。顧客のシステム全体をコーディネートできるようなコンサル力なのか、特定のユーザー企業とタッグを組んでサービスを開発するアライアンスビジネスなのか、あるいは顧客業務を理解するための常駐ビジネスなのか・・・。答えはまだ分かりません。

なんだかダラダラと書いてしまいましたが、まとめると言いたいことは・・・。

・大手SIerでも一生安泰って思わないほうが良い気がする
・とはいえ、IT知識やリテラシーはこの先のキャリアの武器になるはず
・ユーザー企業が変わっていく中で、SIerも変わっていく必要がある
・答えは仕事の中にしかないはずなので、毎日仕事と自己研鑽頑張ります

本日もこのような駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました。