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コウジカビ

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失敗しない豆麹作りのために

失敗しない豆麹作りのために

 素人の作業というものは、いかに複雑な工程を省略し、技量を必要としない形に落とし込めるか次第に思う。
 豆麹作りで肝要なのは「品温を上げない」という点であり、ある意味一番楽ですらある。

工程 前提として、室温25〜30℃に保った部屋を用意すること(工程④以降)。
 この温度を越えていても形にはなるが、品温が過度に上昇した場合、質的な劣化は避けられない。

 ①浸漬

 ②蒸煮

 ③種切り

 

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野生コウジカビからの種麹生産

野生コウジカビからの種麹生産

 野生麹菌あるいは天然麹菌、検索をかければやたらとオカルティックな文言が並んでいたりするが、その実A.oryzaeというのは私達の身の周りに存在する、普遍的な雑菌Aでしかない。
 戦前の技術書を見てみれば、種麹を用いない製麹というのも別に珍しい話ではなく、科学以前の時代から東アジアで広く利用されてきたものである。

 一応付記しておくと、別に当法を推奨するものではない。
 安全面は勿論のこと、種麹

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発酵食品の系譜を辿る - 斎民要術

発酵食品の系譜を辿る - 斎民要術

参考図書:現存する最古の料理書『斉民要術』

 前提となる地理的条件について。

 中国山東省の内陸部、いわゆる秦嶺・淮河線の北方に位置し、年平均降水量は700mm台、そのうち半分超が7-8月に集中している夏雨型の気候。
 6世紀時点の主食としてはアワが主たるもので、次いでオオムギの粒食が増加傾向にあった。
 コムギも利用されてはいるものの、粒状での利用が主であって製粉は限定的、コメは気候的にあま

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種麴利用に関するメモ

種麴利用に関するメモ

 日本の酒造に用いられる麴は、室町時代の頃から専業のもやし屋が種麴を生産し、それを用いて製麴を行ってきたと言う。
 しかしながら味噌や醤油に関しては、どうにもそういうわけでは無かったようだ。

明治31年「農産製造学」種麴の一般的説明

「糟麴」という語は書によって異なる意味で用いられるが、ここでは以前の製麴時に出たカス
おおむね友麴法と言ってよい

自然接種

大麦、種麴を使用

味噌玉への自然

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