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【医療考察 第1回 人材不足】


日本はこれから超高齢化社会に突入する。
あるデータによると医療機関を利用していると答えた割合は、50代後半では65.1%だが80歳以上では88.6%となっている。高齢になるにつれ、医療の需要が高まる(当たり前の話だが)。
つまり、日本は今後ますます医療機関を利用する人が増えるのだ。

1982年、1997年の閣議決定により医学部の入学定員が抑制された。これは将来、医師が増えすぎないようにということらしい。それにより、医学部の入学定員は7,625人まで抑制された。
2000年代に入ると地方での医師不足が顕著になり、2008年以降、医学部の入学定員を増員し、さらに地域枠の数・割合も増加したことによって医師数自体は増加している一方、需要に追いついていないのが現状である。

これは2008年頃のニュースだが、妊婦が救急車で運ばれ、病院に受け入れてもらえず、たらい回しにされ、後日死亡したという事件があった。
何故このような事件が起きたのか。
たらい回しにされたからである。何故病院から受け入れられなかったのか。医師が不足しているからである。

今後の日本にはより多くの医師が必要であるにもかかわらず、医師が不足している。

最近美容外科のCMや広告をよく目にする。これは美容外科の需要が高まってきたことも影響しているだろうが、一方で美容外科が潤っていることを匂わせる。先ほどのニュースの件、救急車が搬送するのは病院だか、病院に着いて患者を診察するのは救急救命医である。救急車で搬送される患者の場合、(救急車をタクシー代わりにするような人間を除き)多くは急を要する容態の場合が多く、搬送中、治療中に亡くなるケースもある。その場合、他の科に比べ医療訴訟を起こされることも少なくない。
また、24時間受け入れなければならず、深夜帯に働くことを余儀なくされる。

そんな状況の中で、医師を志し、どの科に進もうかと考えた時に救急科を選ぶ人は少ないだろう。

このようにして、制度による全体的な医師不足と、救急科特有の性質によって救命医は少ないのである。

救命医を増やす方法はいくつかあるが、①母数を増やす②環境を整えるの2つがすぐに浮かぶ。

今回は①に触れていく。

①の母数を増やすというのは、医師全体の数を増やすということだ。
どうすれば増えるのか。医学部の入学定員を増やす、医師国家試験の合格者を増やす、医学部を志す人を増やす、の3つがある。
入学定員に関しては国が決定することであろう。
国家試験の合格者を増やすというのは、医師のレベルが下がってはいけないのでなんとも言えないが、変えることはできると思う。
問題は医学部を志す人を増やすことだ。

医学部には6年通わなくてはならないが、国立大学の場合、学費が350万円ほどかかる。これが私立大学になると3,300万円までに膨れ上がる。
果たしてこの学費を払える家庭がどのくらいあるだろうか。もちろん奨学金制度はあれど、やはりハードルは高くなる。ここをなんとかできないか。

一般的に高齢者は自己負担1割で医療機関を受診できるが、それを3割にして、その分のお金を医学部の学費補償にあてるのはどうだろう。

このように、安直な考えではあるが、策は出てくる。大事なことは国民一人一人が医療のことに関して関心を持ち、それを政治に反映させることではないだろうか。将来の自分が面倒をみてもらうことになるのであるから、もう少し他人事ではなく、問題意識を持つべきだと僕は考える。

参考

https://medicalforest.com/column/681/

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_3_2_2.html

https://doctor.mynavi.jp/column/shortage/

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