セラピストの専門性を決めるのは我々ではなく消費者である
今日は、大変有難いことに、第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会のシンポジウム1「セラピストに求められる専門性について」のシンポジストとして声をかけて頂き、発表させていただく機会を頂戴しました。
学会運営事務局の皆様、座長の松林先生、シンポジストをご一緒させていただいた藤本さん・渡辺さん・北村さん、そして聴講いただいた皆様に感謝申し上げます。
参加できなかったセラピストの皆さんに今日の内容を伝えたいので、noteにしました。より多くのセラピストの皆さんに伝われば幸いです
「専門性」の主語は誰か
我々の業界だと、「専門性」と考える際に、無意識で「”セラピスト”の我々の強みは◯◯だ」というように、自分たちが主語になりがちです。しかし、消費者からすると「それで?」となることが多々あり、それは全く必要なく、勝手に強みと勘違いしているだけで、それに気づいていないだけかもしれないという、本質的な問いを、トップバッターの藤本さんが、聴講者の皆さんに投げてくださいました。
「自分の強みは◯◯だ!」ということも目の前の人が、それを必要としていなければ、意味がなくなってしまいます。そういう意味から、消費者目線でセラピストの専門性を考えたほうがいいのではないかというメッセージには大共感でした。
デジタルヘルス領域におけるセラピストの役割は「寄り添う」スキル
私からは「デジタルヘルス領域におけるセラピストの役割」というテーマでお話をさせて頂きました。
COVID-19の流行により、社会構造や国民の価値観、健康意識などが大きく変わった今、そしてアフターコロナの世界を考えると、予測が容易ではない社会がくるということは予測ができるかと思います。そんな社会の中でセラピストが身につけると良い専門性として、「寄り添う」ことかと考えています。
社会に寄り添い、組織に寄り添い、人に寄り添う。
寄り添うことで専門職として何が必要とされているか、どんなスキル・知識を提供すれば、「セラピストの◯◯さんだからできる強みだよね!」と評価されるのかは分かってくると思います。
今後のセラピストに必要なのは、正解のない世界・急激に変化する世界において、必要とされていることを見つけ出す能力なのかもしれません。そのためには徹底的に寄り添うスキルが必要です。
セラピスト業界のDXが進む先の世界とは
DX(Digital Transformation)とよく耳にするようになってきていると思いますが、デジタルヘルスをただの「ITツールを使う」という意味で解釈しているセラピストが多いかもしれませんが、我々の業務や働き方までもが大きく変わるのがデジタルヘルス/DXです。
DXで最も重要なのが、その進む先には必ず「変革の痛みが伴う」ということです。「セラピストの業務がAIに取られるのではないか」「僕らがこれまで受けてきた教育や専門的なスキル・経験はどうなるんだ!」「セラピストの専門的な評価・介入がテクノロジーで代替されるもんか!」こんな痛みを乗り越えないと我々の進む先に道はありません。
例えば、「評価」という場面だと、ROM計測や動作分析などは既存のテクノロジーで容易に評価ができる世界です。もしかしたら人より再現性が高いかもしれません。私が臨床実習をしていた時代は、正しいROMの測り方をすごい練習したものです(笑)動作分析も意味不明でレポートを夜遅くまで書いていましたが、その必要性は今後なくなります。データがすぐに可視化してくれます。
Googleが最近、新しい技術を公開しておりますので、コチラにアクセスいただき、モーションキャプチャーがいかに簡単にできるか試してみてください。OpenPoseなどの技術も三次元動作解析(VICON)とのバリデーションもされていたりします。
顧客接点という視点でも下記のような変化がすぐ目の前に来ることが予想されます。
■病院に来ていない層にアプローチできるようになる
■出会う場が”医療機関”から”生活の場”へ
■1対1という関係性から1対nの関係性へ
働き方も、医療機関での勤務は週3、オンラインでの勤務は週2で働くというように変わっていくでしょう。こうなると臨床実習も、オンラインで勤労者にアプローチする実習とかもでてくるかもしれませんね。
実際に当社のポケットセラピストでは、そのような働き方に変えているセラピストが出てきていますので、ぜひポケットセラピストに興味がある方は、下記をチェックしてみてください。
正解がない世界でのセラピストの生き方
私たちはこれまでの教育において、物事には正解があるという前提で生きてきました。しかし、今、我々が生きているのは明確な正解がない世界です。
質疑応答でも「デジタル化が進んだ世界で必要とされるセラピストとしての専門性についてもう少し詳しく聞きたい」という質問を頂きましたが、それは社会・組織・人という消費者が決めることであり、我々の専門職が決めるべきことではないので、明確な答えはないと感じました。
そんな時代の中では、時代の変化に合わせて変化する生き方が重要だと考えています。もし、これまでどのような勉強・経験をしてきていようが、消費者に評価されなければ意味はないということです。
ダーウィンも「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。」と言っているので、我々の業界が生き続けるためには、変化し続ける集団であることが重要です。それはn=1、つまり、この記事をここまで読んでくださっているあなたの行動から社会は変わっていくのです。
消費者目線での専門性を全国のセラピストが考え、社会に価値を提供し続けられる集団になれば、未来は確実に明るくなる。
その明るい未来を信じて、目の前の変革の痛みに耐えながら、進んでまいりましょう!
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