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HD-2Dという罠

オクトラ(オクトパストラベラー)からの流れでドラクエ3、LIVE A LIVEとHD-2Dの作品が続々と出てきそうだ。未発表、開発中含めると同様のリメイク作品がこの先2,3年で増えるんじゃないだろうか。でもこの状況、僕は不安しか感じない。

■不安のわけ

僕が不安を感じるポイントは以下の通りだ。

・オクトラを越えるのが難しい
・技術面で伸びしろがない
・決して低予算ではない
・ドッターさんの確保が難しい
・安易なリメイクが増産され兼ねない
心配な理由

誰でも見れば分かる範囲では「オクトラに似てる」だと思う。そりゃほぼ同じ作り方だから仕方ない。いっそ、あの手法そのまま低予算でリメイクを作るのだ!って開き直っちゃえば潔いのに。

でも一番懸念しているのは販売元ではなく、これを作る開発会社の方だ。
開発にはやはり2〜3年かかる。もっと短縮はできるのだが、オクトラと差別化したいって無理な要望がきっと出る。そこで試行錯誤してしまう期間が発生して、だいたい3年かかるというオチだ。

残念ながらこの試行錯誤にあまり意味は無い。
なぜならあの表現、最初にやったもん勝ちだからだ。
結局、ドット絵をメインに考えたら絵的にも技術的にも伸びしろがほぼ無いと言っていい。せいぜいドット数の違いくらいが関の山だし、そんな高難度のドットを打つドッターさんを一挙に集めるなんて無理。
結果、オクトラと似る。
そりゃもう仕方ないよ…

■開発会社はあまりやりたくない

HD-2Dのゲーム開発は、開発会社の人間からすると敬遠したくなる要素が色々とある。

●ノウハウに将来性がない

まず開発会社の主力スタッフはHD-2D向きの人間ではない。ほとんどが3Dのアーティストで2Dアートもドットは打てない。ドッターさんをたくさん抱えた開発会社も今時ない。したがって開発会社からドッターさんに依頼しないと絵の主だった部分は進まない。

社内開発スタッフをあまりベタ付けしたくない。だって3Dの開発スタッフが開発に3年間従事してもモデリングやライティング、アニメーションも上達しない。なんならアニメーションはいらない。だってビジュアルの美味しいところはドットでできているから。
そんな開発をやっても開発面で得られる知見や将来性がどうも見当たらないのだ。だけどきっと楽な開発ではない。

その内に海外のハイエンドとの差は開いて行く。タイミング次第では一世代スキルセットがズレるなんてこともあり得る。となると下手に社内リソースを割きたくないプロジェクトってことになってしまう。

やるとすれば、実績として余程魅力的なIPかお付き合いかっていうくらいしか…

■安上がりな開発は無いよ…

似たようなタイトルが続けば、またガラパコスRPGとか言われてしまうかもしれない。

ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレードより

FF7のような大作リメイク、ちゃんとやれば売れますよ。
低予算で類似品がたくさん出回るより余程やる意義がある。HD-2Dで低予算リメイクつってもボリューム次第だけど何だかんだで10億じゃ済まないですって。結局は低予算じゃなくなっちゃうんだから…

やるならオクトラと全く同じでいいから低予算でやるっ!キリッ!って言える割り切りが無いと。

オクトラが出た時はインディーズでクオリティー高いの出たなって思った記憶がある。でもインディーズじゃなくて尖った表現の新作RPGだった。意表を突いた表現は新鮮なのに懐かしく心地良かったし本当に良くできた作品。でもそれはそれ。

海外のHD-2D的なタイトルも多く控えている。RPGもメトロヴァニア的に横スクロールアクションも凄く尖ったカッコいい作品は多い。もうHD-2Dに新鮮さはない。そろそろ居心地の良いHD-2Dから離れて新しいリッチな大作作りましょうよ。
尖ったドット表現は少数精鋭のインディーズ作品を待つとして、大手さんにも開発会社にも本当にやるべきタイトルがあるんじゃない?

じゃないと5年で日本のゲーム開発どんどん弱くてなっちゃいますよ。
予算通しやすい割安ゲームじゃなくて、売れる大作ゲーム作らないと。

続々と増えて行きそうなHD-2D作品を見て、なんてことを思てしまったのでした。


〜おわり〜

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