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【ローソンPB】1ヶ月に及ぶTwitter上での議論を時系列で徹底解剖

初めまして。Twitter閲覧に大量の時間を費やす者です。ただ見ているだけではこの時間が無駄になってしまう気がしたので、これからアウトプットとして企業の炎上事例を中心に、解説記事を書いていこうと思います。

今回はTwitter上で物議を醸したローソンPB(プライベートブランド)について、拡散要因を踏まえながら詳しく書いていきます。

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議論の軸が移り変わりながら進行する様子をご覧ください。

5/17 火種となる投稿 ローソンPB炎上の始まり

緊急事態宣言で自粛が続いていた5/17。ローソンPBのパッケージデザインが不便だと書かれたこちらの投稿が拡散されました。

リプ欄には、以下のような一般消費者だけでなくローソン店員からの声も聞かれました。

「コンビニはあくまで短時間で買い物を済ませたいときに利用するもの。今は特に外出自粛もあり、できるだけ素早く買い物を済ませたい中で、このようにパッと見てわからないパッケージはいかがなものか。」
「品出しを行っていても見分けがつかず困っている。」

この投稿が拡散された要因として考えられるのは、誰もが訪れたこともある「ローソン」の画像付き投稿により投稿者の体験を「自分ごと化」できたからではないでしょうか。

また、パッケージ問題はとっつきやすい話題だからという要因も考えられます。

この投稿が火種となり、あらゆる視点でローソンPB関連の投稿が生まれます。

5/24 「英語表記」の分かり難さ

火種の投稿は「一目でわかりにくい」ことが反感の中心でした。しかし、今度は商品名が「英字表記」になっていることが反感を買いました。

火種となった投稿で述べたものの他に、この投稿が拡散された要因は2つあると考えます。

1つ目は、火種となった投稿でローソンPBへ世間の関心が高まっていたから。

2つ目は、ユーモアを交えた投稿文だから。具体的にこちらの投稿者(@WnWnO)の文章を抜粋させていただくと、

「NATTOって北大西洋条約機構か?」
「なんだよABURA AGEって エイブラ・エイジ?」
「ご報告があります。エイブラ・エイジをお迎えしました。NATTOとTOFUも売れ残りの烙印を押されていたので一緒に保護。あすの朝食まで大切に育てていきます」

このように、思わずクスッと笑ってしまうようなユーモアを交えた書き方をされています。ユーモアがあることで、拡散のハードルが下がり、ローソンPBの炎上に拍車がかかったことでしょう。

「英語表記」に関連して、実は4月の時点で、パッケージに「中国語」と「ハングル」があることに違和感を示す投稿もありました。

視認性とは異なる、言語の視点での議論は以前からあったようです。

5/26 コンビニの王者 セブンとの比較

それから数日後、ローソンの競合であるセブンイレブンにまでパッケージ議論が波及。ローソンとのパッケージ比較が始まりました。

この拡散要因はTwitter上の議論があのコンビニ界の王者、セブンイレブンがパッケージを変えるにまで至ったという「驚き」 または、我々Twitter民がセブンを変えたという「優越感」ではないでしょうか。(後者は筆者自身が深く考えすぎかもしれませんが...)

セブンイレブンとの対立構造も興味を惹きつける要因になり得るでしょう。

6/2 店員でさえも気づけないパッケージの差

パッケージがわかりにくいのは消費者だけでなく店員もであることが良くわかるこちらの投稿。"やっぱりローソンのためにもパッケージを変えた方が良い"という風潮が出来上がります。

6/3 デザイナーの私生活は"ミニマリスト"

ローソンPBは競合他社に波及しました。今度はなんと、パッケージをデザインした方の私生活にまで議論が及びました。

これにはこれまでと異なり、投稿者に対して、「デザイナー批判は良くない。なぜならデザイナーはあくまでローソンの指示に従っただけだから」「私生活まで晒してデザイナーを揶揄するのはおかしい」といった意見も多く見られました。

さらには、ミニマリスト自体を批判するような反応もありました。

6/9 ローソン社長がコメント 一部パッケージ変更へ

5月中旬から物議を醸していたローソンPBパッケージ。6月に入りついに、HUFFPOSTがローソン社長を直撃しました。

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ローソンの社長がハフポストのライブ番組「ハフライブ」に出演。

「お店で選びにくかったり探しにくかったり、色々なご不便やお手数をおかけしてしまっている。そのあたりは真摯に反省し、次に活かさなくてはいけないと思っています」

「意見を真摯に正面から受けて、そうした意見とともにPBを作り上げていきたい」

とコメントし、英字表記がわかりにくいとされた納豆や豆腐をはじめとする、一部商品パッケージを変更する方針を明らかにしました。

引用元: HUFFPOST ローソン社長、PB新パッケージを一部変更へ 賛否の声に「公共性あるコンビニとして解決していく」https://m.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5edf9828c5b6f05dc48aedca

パッケージ変更に伴うローソン側の損害はいくらになるのでしょうか...?

Twitterに投稿された1つの投稿が火種となり、大企業の方針までを変えた事例であることは間違いありません。

6/10 HUFFPOSTが仕掛ける#ローソンに思う 投稿数が最大に

ハフポストは、 #ローソンPBに思う というハッシュタグを用いて、活発な意見交換の場を作りました。

社長がインタビューを受けた翌日の6/10には、「ローソンPBに思う」がついたTwitterの投稿数が2000件を超え、大勢の人が自分の考えを述べました。

#ローソンPBに思うの投稿数  

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6/22 デザイナー佐藤氏へインタビュー 売り上げに影響なし

日経クロストレンドは、パッケージデザインを担当した佐藤オオキ氏へのインタビュー記事を公開しました。https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00414/?n_cid=nbpnxr_twed_new

記事によると、佐藤氏は、以下のコメントを行ったといいます。

「短期的な売り上げはもちろん大切だが、本当の狙いはそこにはない。ローソンの商品を通じて得られる体験を、パッケージを皮切りに根本から見直すことこそが一番大事なことだと捉えていた」
「『ローソンの商品なら生活を豊かにしてくれる』という体験を顧客が得られるデザインを心がけた」

さらにこの記事では、パッケージ切り替え後の売り上げについても記載。

切り替え後の売り上げは順調。同社によれば、例えば冷凍食品は全体で、切り替え後の5月は前年同期比で3割の売り上げの伸びを記録。牛乳や卵、納豆なども1割程度売り上げが伸びている。

外出自粛により売り上げが伸びた可能性は拭いきれないものの、少なくとも売り上げが落ちたわけではないとしました。

おわりに

「パッケージがパッと見てわかりにくい」という投稿が発端となり、「競合他社との比較」「ミニマリストにコンビニ商品のデザインを頼むことへの賛否」まで議論が波及。さらにローソン側は、お詫びのコメント及びデザインの変更を余儀なくされました。

Twitter上のたった1つの投稿からここまで議論が加速し、企業に影響を与えました。

しかし、事実ローソンPBの売り上げは落ちていませんし、Twitterを使っていない人やあまり記事を読まない人はこの問題さえ知らないでしょう。コップの中の嵐であるという認識は持っておかなければなりません。

また、リニューアルしたパッケージの方が温かみを感じる、かわいい、などと好感触な人も多数います。実際、Instagramにはこのようなパッケージの可愛さを活かした投稿も見られます。

RT数やいいね数が多いほど、我々はその投稿の考えを「正しい」と判断してしまいがちですが、その投稿に書いてあることはあくまで1つの考え方にすぎません。

これら一連の投稿を見る前にローソンに行ったとしたら、あなたはどのように感じるでしょうか。不便だと感じる方もいれば可愛らしいと感じる方もいるでしょう。もっと言うと、大半の方は何も思わないのかもしれません。

もしあなたが外国人で、日本語がわからなかったら、このパッケージは非常にありがたいものなのかもしれません。

自分なりに様々な角度からこのローソンPBパッケージデザインを考えてみていただきたいと思います。

[番外編] あのデザインは無印良品との匂わせだった...?

6/16、ローソンが無印良品と試験的に提携することが判明。ローソンPBのシンプルで統一されたデザインは、無印良品との"匂わせ"だったのではと話題になりました。

さらに、あの鬼ころしをローソンPBっぽいパッケージにした投稿まで...(アルコール15度とは思えない可愛さ...笑)

ローソンPBに対する一連の流れを知っていなければ、これらの投稿の面白みが理解できず、ここまでの拡散は起こらないでしょう。改めてローソンPBへの関心の高さが伺えますね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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