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雪に願いを


小さい頃、11月の終わりになると雪が降った。


「今年の初雪は11月かぁ。」


なんて、はしゃいでると朝から周りの大人たちはせわしく動いている。

『大人になると、雪は嫌になるんだよ。』なんて事を聞かされながら、準備をして、学校に向かい、授業中に窓の外を見たら、『吹雪だ!』なんてみんなではしゃぎ、先生に怒られた。


ベランダに干してる切り干し大根に雪が掛かってるのを、縄跳びしながら眺めて、先生にいつ食べれるのー?なんて聞きながら鼻水垂らしまくってた。


家に帰ったら、雪かきがてら雪だるまを作って遊んで、庭の真ん中にデッカいかまくらを作っては、『かまくらの中って意外とあったかいなぁ』なんて妹と話しながら、やっぱり寒くなって家に入ってストーブの前で震えながらみかんを食べた!


近所のこうじゅくんの家がお寺で、お寺の屋根から落ちる雪の量が普通のそれと違う事に興奮して、大量の雪で雪合戦したら、それが本堂とかに当たっておばちゃんに軽く叱られた。それでも雪合戦を続け、雪玉が扉に当たるたび軽ーく逃げたりした。



そんなこんなで日々は過ぎて、中学高校と進むにつれて、初雪の時期が、12月、12月中旬、クリスマスなんてどんどん遅くなったけど、いつでも雪が降った日にゃテンション上げまくって、興奮して、ルンルン気分で学校に行ったなぁ。


高校の時は、野球部の冬季練習がランニングばっかりでキツ過ぎて、雪が降ると皆んなが軽くガッツポーズ!


でも、雪って雨と違って、なんだかんだ練習が出来ちゃうから、室内練習にならなくて、走りまくった。


たまーにトレーニングの一環で野球部なのに、サッカーの試合やったりして、雪が降らないと起きないスペシャルイベントだから、雪降って良かったー!なんて。


受験期には、教室に昔ながらのスートブがあって、そこにタライでお湯が沸騰してるもんだから、よく自販機で冷たい午後の紅茶の缶のデカいやつ買って、それをタライの中で温めて飲んだ。


自販機のあったか〜いやつは量が少ないから、そうしてたら皆んなが真似し始めて、それから弁当の時にレトルトカレーを温めるやつも出てきて、外見ると雪なのに、その対比でクラスが凄くあたたかく見えた。

弁当の時ストーブの取り合いしたり、ちょっと制服溶けたりなんて、AKBの話しして、指定校で受かったクラスメートがストーブの陣取ってモンスタハンターしてる事に、ふざけんな!みたいな事も言ったり言わなかったり。


大学の時、広島の西条という盆地に住んだ。


盆地に住んだせいで、冬が死ぬほど寒いかった。

いや、冬だけじゃなくて、春も秋も寒暖差凄すぎて、朝と夜寒いのに、昼暑いみたいな!


だから、雪も沢山降った。


二十歳になった時、バイト仲間のサード石丸の家で、冬なのに業務用のファミリア食べながら、誕生日を迎えた。


誕生日になる10分前くらいから家で

「二十歳になりたくない!やだ!!!子供のままでいたい!!!やだ!!!」

って喚きまくって、外出たら雪が降ってた。


そのまま二十歳になる瞬間、謎にジャンプして

「二十歳の瞬間、地球に居なかったぜ!!!」

なんてイキリ散らかした。


初めて人とお付き合いした時、バイト前日、バイト先から遠くなるのに相手の家に車で行って、泊まったら寝坊しちゃって、朝社員さんから電話かかってきて、


「すぐいきまーす!!!」


って焦って家出たら、大雪で、中古で買ったフィットのフロントガラスが雪だらけ。

慌てて、雪をかき分けるわ、かき分けるわ、全然取れない。

バイト先に着いた頃には、手も冷え冷えだわ、怒られるわでてんやわんや。


それでも僕は、雪の事を嫌いになることはなかった。




28歳になった、東京に来て、もうすぐ5年になる。


もう2年ほど雪を見ていない。


春は来るのに、冬が来ない。


冬が来ないと、春が来た楽しさも薄れちゃう。


早く冬よ来い。


僕の冬はいつ来るのだろう。


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