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あの日僕は野球に出会った

僕はこの世に"オギャー"と生を受けてから27年になる。

27年の間、僕は実に10年は野球をしていた。

人生の約4割。


バチョフという人間が何で、どうやって形成されたかを考えた時に、ほぼ野球によって育まれたと言っても過言ではない。

たぶん8割、いや9割は野球で学んだ事。

そんな野球との出会いの話。

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見渡す限り、山、川、そして田んぼ。信号機も無ければ、外灯も30メートルに1つ。夜になれば、真っ暗になり、蛙と虫の大合唱。いや、そんな生優しいものじゃない、パンクロックのような鳴き声が響きわたる。空を見渡せば満天の星空。そんな町のアスパラ農家に僕は産まれた。


小さい頃から遊びといったら、かけっこ、虫取り、釣り、裏山で秘密基地を作る…など。原始的ではあるが、夢中になって遊びまわった。


島根県出雲市上島町。


ヤマタノオロチ伝説で有名な斐伊川のほとりにある人口1000人にも満たないこの町にも小学校がある。

名前は上津小学校。

全校生徒は当時約100人で1クラスの人数で言うと15人。

言わずもがなの過疎地域なんだが、

『カソなのにカミツなんだね』
そんな冗談あったような無かったようなこの学校にもクラブチームがあった。


この地域の小学校はクラブチームに入れるのは3年生になってからなので、1、2年の時は、同級生と3年生になったらクラブ入る?なんて話をするのが恒例行事であるのだが、ここで一つ問題になってくるのは、クラブチームが男はサッカー、女子はバスケという2つしかない。

なので自動的に、サッカークラブに入るか、入らないのかと言う話になるのだ。

2年生の終わりの頃には、同級生の男子の6人の内、ヤッチャンを除く4人がサッカークラブに入ることを決めていた。

なので、昼休みにする事と言ったら、サッカー。

雨が降っても室内でサッカー。

この時によく、クラスで1番「はい!元気です!!!」の声がデカいマーちゃんが休み時間に、

「今からサッカーする人集まれーーーー!!!
あっ、ちなみに、サッカーするのはサッカークラブ入る人だけだからなー♪」

なんて事を言うもんだから、自動的にクラスで6人しかいない男子の内4人が取られてしまう事になるので、休み時間に遊び相手がいなくなるのは嫌だと思った僕は何も考えずに周りの皆と一緒に、

『サッカークラブ入るーー!』

なんて言って遊びに参加していた。

ちなみにヤッチャンはこの時、読書をしていた。笑


そんな事あってか、たぶんサッカークラブに入るんだろうなぁと思って日々過ごしてと思う。


3年生にもなり、ほとんどサッカークラブに入る意思が固まった僕だったが、ある日親から「あんた、お兄ちゃんの練習見に行くわよー!」と言われ車に乗った!

僕には一個上の兄がいる。

兄がいた為か、一個上の学年の人達とよく遊んでたし、良くしてもらってた。

兄には、大の仲良しで家がお寺のコウジュっちボンバーがいた。


当時一個上の学年では、女の子には〇〇っピー、男の子には〇〇っちボンバーと着けるのが何故か流行っていて、

コウジュっちボンバーは名前がコウジュなので、コウジュっちボンバーなのだ。

ちなみに、兄は、タイヘイという名前だから、タイヘイっちボンバー。


今思えば"なんそれ"である。


そんなコウジュっちボンバーの家はお寺なのか、お母さん、お父さんが超アクティブだからかわからないが、10キロ程離れた隣町の小学校のクラブチームに入っていた。

僕の兄はコウジュっちボンバーと仲良しだった為、3年生になると一緒に隣町のクラブチームに入った。


それが野球チームだった。


それまで隣町のチームに行くなんて前例も無かったし、隣町に野球クラブがあるなんても知らなかった。

だから、兄がそのクラブに入った時も、僕は"異世界の話"ふーん。くらいに思ってた。


そんな野球クラブ「大津スポーツ少年団」の練習を見に行った。

練習が始まり、その日はそりゃめちゃくちゃ晴天で、暑い中でランニングが始まった。

監督は色付きメガネ?いや、サングラスをかけていて、肌は色黒。もう"仁義なき戦い"に出て来そうなイカにもな風貌である。


僕は「ひぇー!良くやるねぇ!」なんて思いながら、校庭の隅のイチョウの木の横にあるウンテイで暇をつぶしてた。

ウンテイをするのにも飽きて、一息ついてるとそこにボールが飛んできた!

ボールを拾い、顔を上げると、そこに太陽の光に照らされた大きな大人が満面の笑みで立っていた。



『君、野球やらない!?

今おれがいるからめっちゃ楽しいよ!』




一瞬で風が吹き抜け、イチョウの葉が舞った。




「はい!やります!」


脊髄反射より速いスピードだっただろうか。無意識の内に僕はこう答えていた!


そして、ふんわりと投げ返したC球が"カワカミコーチ"の手に返った。


この日僕は野球に出会った。




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僕は今でも草野球を続けている。
あの日僕に声をかけてくれたお礼をいつか言いたいと思ってたけど、それはもう叶わなくなった。

今僕は野球で鍛えた上腕二頭筋とハムストリングを使って毎日している。



チョフチョフ!ミーーーー!を。



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