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情緒Part1



アブストラクト的記憶とスポットライト型記憶

 アブストラクト的記憶とスポットライト型記憶という単語は造語ですが、記憶するまでの過程を表しています。

 私が記憶と想像力を検証しようと思った理由は、情緒が記憶に大きな影響を与えると知ったからです。それなので、情緒と記憶の関係を調べました。

 結論は「記憶(データ)=過去」ということになりましたが、刺激が記憶として蓄積されるまでには、自らの取捨選択、そして蓄積過程での刺激の褪色を経なければならなかったのです。



アブストラクト的記憶とは

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この記憶は、視覚・聴覚・嗅覚など、互いに異なった知覚領域と関わる数個のヒエラルキーが相互に連結しあった上で成り立つ記憶やいくつかの知覚が、それぞれを認識したものを総合的に抽出されたカタチで貯蔵されたものである。

「ホロン革命」より抜粋

 つまり、感覚器官を通して知覚した情報が抽象化されたあと統合し、貯蔵したものがアブストラクト的記憶ということになります。

 ということは、記憶に関して「先生の教え方が重要」で「先生が書いた字が上手か下手かは関係ない」ということだと思います。

 そして繰り返すことで、短期記憶から長期記憶になる。洗脳に利用するのは、この原理だと思います。

子供の心は暗示そのものとなり、それが成人の心でもあり、生涯通じてそうコントロールされる。

「概念の刷り込み」より


スポットライト型記憶とは

ほとんど幻覚的といえるほど鮮明に、情景やディテールを想起させる記憶で、合理的な見地からすれば些細な事が多いが、記憶にきめと香りを添え、気味が悪いほど記憶喚起能力を備えている。

「ホロン革命」より

ということは経験時の感情が一緒に記憶されていると思います。要約するとアブストラクト的記憶は一般化と組織化の作業で、スポットライト型記憶は特殊化と凝固化の作業を行っているのだと思います。

 つまり、日常生活における習慣的なことは、主にアブストラクト的記憶に基づいて情報処理効率を高めるために用いられ、スポットライト型記憶は日常生活に感情を彩り、行動による経験をトラウマにしたり成功させたりすると考えています。

 それなので、フラッシュバックを引き起こすのはこのスポットライト型記憶が強く関わっていると思います。そして情緒には自己主張傾向統合傾向という二面性があるようです。



自己主張傾向

内に向いているときの人間は、一個の自己完結的な独立の存在だが、外に目を向けていると自然や社会環境の従属的な部分になる。

人間の自己主張傾向は、個性の動的な表現に基づく。抑圧された自己主張傾向から生まれる情緒はアドレナリンが関与する攻撃的=防御的情緒である。飢え・怒り・恐怖・性欲・愛情や所有欲がここに該当する。

「ホロン革命」より


統合傾向

 統合傾向に由来する情緒は、共同体・宗教的信条・政治的イデオロギー・自然と自分・芸術・スピリチュアリティ等包括的な全体に所属する欲求が該当する。

所属の欲求・自己超越の傾向が適切な吐け口を奪われると、欲求不満になった人間は自己批判の能力を失い、損得かまわずに何かを妄信的に崇拝したり、ある種の大義名分に狂信的に身を投じる。

「ホロン革命」より


破壊的傾向

人間の残忍な破壊的傾向が自己主張に由来するのではなく、じつは統合傾向に由来するというのは人間の条件の皮肉のひとつである。

「ホロン革命」より

そうなんです。逆だったんです。確かに、過去の経験や出来事を振り返ると、受容できない自分に対する不甲斐なさや自己嫌悪に陥っている時、攻撃的になっていました。

 私はこれまで、自己主張(エゴ)が強いから暴力的で攻撃的な面があるのだと思っていましたが、過去の経験を振り返ると、自分が受け入れられない人や出来事への対処が下手で、我慢して問題を先送りし続けてきたことが生きづらさの原因だったと気づきました。

 そこで、自己主張傾向とは「思考による二つの知」で、統合傾向は「心による一つの知」にあてはめる事が出来ると思いました。



こうして愛は目と目を通して心に至る。目は心の斥候だから心が捕えて喜ぶものを探して回る。

そして二つの目と心とその三つが和解し、しっかりとひとつの決心を固めるとき、そのとき目が心のために喜び迎えたものだから完全に愛が生まれる。

愛はそうやってしか生まれないし、本心から動かされぬかぎり、愛がはじまることもない。これら三つの恵みと命令によって、またその喜びから愛は生まれ、その美しい希望が友達を慰めに行く。

ほんとうに愛し合っている人ならみんな知っているように、愛は限りない親切だからだ。そして、それは疑いもなく心と二つの目から生まれる。目は愛の花を咲かせ、心は愛を養い育てる。

自らの種から生まれた実にほかならぬ愛を。

ギラウト・デ・ボルネーユ


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