君にとっての世界は、夢のような世界であってほしいから【happyなbirthday】
こにちはぬん。ベビだす。
しぶちゃんが本日三才になりました!
そしてぬんちゃん(猫の琥珀)も六月七日で晴れて六才です!
ということで、カリブ海からはるばるやって参りました。
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しぶちゃんってね、本日で三才になるんだけども、赤ちゃんの頃と変わっていない部分があります。
それは「表情」。
他の猫たちや犬たちは大人になるにつれ、瞳の奥が変わって来るんです。
人間において「目は口程に物を言う」と言いますが、犬や猫の瞳にも感情は大いに表れています。
やはり精神的に成熟してくると、ただただ無邪気だった瞳が周囲を静観するような大人の瞳に変わって来るんです。
が、しぶちゃんにはその変化が一向にない。
いつまでも「きょとん」としていて、「あどけない」。
姿かたちはすっかり大人の猫なのに、どこか赤ちゃんくささが抜けないのは何と言ってもこの「表情」にあると感じています。
本当の意味で、無垢なんです。
怖いものや、不安や、脅威といった「幸せを削ぐ理不尽なもの」を経験したことがない目をしているんですよね。
もしかしたらしぶちゃんにとってはそれらの存在すら感知したことが無いかもしれない。
しぶちゃんにとっては、安心や愛情といったものだけで世界が構築されていて、平穏で愛される毎日イコール世界なのだという認識なのかもしれない。
生きるために敵と戦うとか奪い合うとか、命のために危険を冒すとか命のために利を捨てて逃げるとか、そんな事柄があるなんてことは本能に刻まれていても遭遇した経験がない以上は異世界の出来事だろうし、そんな想像すらしぶちゃんはしたことが無いと思います。
私の使命は、その「しぶちゃんの世界」を守り抜く事です。
一歩外に出れば、過酷な環境で生きる猫もいます。
食べたいときに食べられるわけがなく、やっと見つけた食べ物も自分より強い生き物に奪われたり襲われたりすれば、諦めざるを得ないでしょう。
雨風や、暑さや、寒さから身を凌げる場所は限られており、更にその場所が外敵に襲われないとも限りません。
些細な気配にも敏感でないと命を落とすことを考えれば、生涯の間で熟睡できる機会がいったい何回あるでしょう。
しぶきは、それらの現実を知らないのです。
しぶきは、それらが「存在しない世界」で生き、三才になりました。
私は、しぶきが生涯それらを知ることが無いことを、望みます。
しぶきの知る世界には安心や安堵や愛情が常にあって、空腹も暑さも寒さも存在せず、眠たくなったら場所を気にせずにコロンと横になり手足を放り出してスヤスヤ熟睡することが出来る。
そばを誰かが通っても、窓の外から強い雨音が聞こえても、車のサイレンなどの大きな音が聞こえても、慌てて飛び起きることなくスヤスヤと心地良い敷物の上で眠っていられる世界。
それが、私がしぶきに約束した世界です。
絶対に絶対に、崩壊させてはならない世界です。
世の中には、過酷な環境で生きる子らがたくさんいます。
我が家に来た子らの中にも、そういう環境にいたと思われる子がいます。
でもしぶきは、そんなことは生涯知らなくていい。
「世界って、気持ちよくて、美味しいものがあって、僕を可愛がってくれるおかんと家族がいる所」
しぶきが「世界」を説明できたなら、きっとこう述べるでしょう。
その通りですよ、しぶき。
あなたにとって世界は、最初から最後まで幸せのみで構築された所なのです。いつかあなたが老いて、体が思うようには動かなくなっても、どこか痛いと感じる場所が生じるようになっても、それでもあなたを取り巻く全てのものはあなたに優しくあり続けます。
しぶちゃん、大事な瀑、大切な瀑。
子どもを「授かる」と表現する意味が、私は自分なりによく解ります。
二日後には、琥珀の六才の誕生日です。
六年前に近所の橋の段差に迷い込み、段差を登れず右往左往していた仔猫が琥珀でした。
そのうちにそこを縄張りとする大人の猫がやって来て、仔猫の琥珀が逃走出来ないよう橋の左右を二匹で取り囲むように封鎖し、にっちもさっちもいかない仔猫の琥珀は半日以上その場に留め置かれました。
仔猫の体では登り切れない段差に、場所は橋であるため下は川。降りることも出来ない。何とか段差を登ろうと小さな体でもたついていると大人の猫がすぐさま飛んできて、頭上から仔猫の琥珀を脅かし、仔猫は諦めまた段差の下に戻る……。琥珀はこれを繰り返していました。
助けに来るような親猫は現れず、やがて日も暮れそうになり、夜の天気予報は雨を報せていました。
そんな琥珀にまっさきに手を差し出したのは私ではなく、私がグレコと勝手に呼んでいた近所に住む一匹の雄猫でした。
人助けならぬ、猫による猫助けです。
我が子ならともかく、見知らぬ仔猫を、母猫でもない近所の雄猫が救出しようと向かったのでした。
その一部始終と、その後我が家にやって来た琥珀、そして琥珀の親類縁者であろう一族の辿った運命が、私の本『リキ~9つの命を繋いだ運命の犬~』上巻に記してあります。
上巻巻末には、琥珀を助けてくれた心優しい雄猫・グレコに捧ぐための創作短編を収録しました。
琥珀をまっさきに助けてくれたこの心優しい雄猫には、その後残酷な運命が待ち受けていました。
琥珀を救ってくれたこの雄猫に、せめて物語の中で幸せになってほしいと思い書いた短編創作です。
仔猫だった琥珀を私のもとへ導いてくれた名も知らぬ猫。
私が勝手にグレコと呼んでいた、心優しく哀しいヒーロー。
彼についてリキ本の中で記し、彼のために短編創作を収録しました。
琥珀を助けてくれたこの猫が、私の記憶の中だけで終わらないように。この猫がいたことを、世界の誰かに伝えられるように。
あの時、君が助けてくれたあの仔猫は、六月七日に六才になります。
君が助けてくれたあの日から、六年が経ちました。
人間の子供でなくとも、時間の流れは違ったとしても、今日もこの子達と共にかけがえのない時間を過ごせています。
寝起きのしぶちゃんが私を求めて「なうー、なうー」と言いながらやって来る時。見つけた私の姿に目を細めて、小さな手を懸命に伸ばしている時。抱っこすると目を閉じて、自分の額をコツンと私の顔にくっつけてはじっと離さない時。「いつものおかん」を存分に確認した後、そのまま膝の上で二度寝しようとする時。
全ての行動に、この子からの愛を感じます。
琥珀はいつも甘ったるい声で話します。
いたずらをしようとしている時に強めの口調で「琥珀!」と注意すると、「えあーん!」と反抗的な声を返してきます。優しく呼びかけるように「琥珀」と注意すれば、「えあ~ん……」と同じテンションを返してきます。
優しく窘められたことに対し「だって……いたずらしたかったんだもん……」と可愛らしく言い返してきます。
私がパソコン前に座っている時、膝の上に飛び乗って来るのは琥珀だけです。しぶちゃんは椅子の下から可愛らしく手をちょんちょんとし、持ち上げて抱っこしてもらう事をねだりますが、琥珀は「えあ~ん(膝に飛び乗らせて)」と私に話しかけ、私が膝をポンと叩くとそれがOKのサインと理解しているため、ポフッと膝の上に乗ってきます。
そのまましばらく膝上で寛ぐときもあれば、「ちょっと乗りたかっただけやねん」とばかりにすぐに降り、中継地点のように扱われる時もあります。
リキから始まり、瀑で十匹目の子供です。
こんなにもたくさんの愛し愛される存在と巡り合えた私は、「世界」をこう述べて締めようと思います。
「世界とは理不尽なものだ。だが愛する存在があれば、それら全て帳消しに出来るスペシャル機能が実装されている、救いのある場所さ」
2024/6/5 琥珀ベイビー
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