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痴漢を撃退したら思いがけずキムタク化してしまった話

こにちはぬん。ベビだす。
今日は一つ、昔話を語りたいと思います。

昔々、おベビが今よりお金があって小生意気にジムに通っていた頃。
そのジム(というかでっかいスポーツクラブの中にジムとかプールとか色々あった)はビルの8階だか9階だかに入り口があり、そこから入って目的の各フロアへ行くシステムでした。
当然、入り口まではエレベーターで昇降する。
行きも帰りも、エレベーター。

その日も運動をしようとジムのあるビルに向かって歩いていると、見覚えのある女性が同じビルを目指して歩いていました。
見たことある顔……ああ、あの人もスポーツクラブの会員だったっけ。
何回か見たことある気がするわ。
などと思いながらも、特に会話したこともなく会話する目的も無いのでお互いに目が合うとペコっと会釈し、そのままビルに入りエレベーターを目指しました。

タイミング的にエレベーターに到着するのが女性と重なり、どうやら二人でエレベーターに乗り込むことになりました。
その時、もう一人エレベーターを待つ人物に気が付いたのです。

それは薄茶色のジャンパーを着た、20代後半~30代前半と思われる男性でした。
その男性は手ぶらで、手荷物など持っていなかったため我々と行先は違うのだろうと思いました。
同じビルの、他の店舗を目指している人なのだろうと。
ただ、一緒にスポーツクラブを目指しているはずの会員らしい女性はチラチラと背後の「薄茶色ジャンパーの男性」を気にしているようでした。
エレベーターも密室には違いないから、気になる人は気になるんだろうな程度に思っていると、エレベーターが到着しました。

到着したエレベーターに女性を促すと、何故かやはり「薄茶色のジャンパーの男性」をチラチラ見ては気にしています。
薄茶色のジャンパーの男性はささっと乗り込むとエレベーター奥に位置取りました。
女性はその男の隣に行きたくないのか、しきりにベビに「どうぞ」と先に入る事を勧めてくるので、先に入り薄茶色のジャンパーの男性とベビが並ぶ形になりました。

そしてエレベーターが動き出し、しばらくした頃。

なんと、「薄茶色のジャンパーの男」が、

そ~~っと手を伸ばし、女性の臀部をひと撫でしたのです。


はあ!?



女性は固まっていましたが、おベビは瞬間的に薄茶色のジャンパー男に
「おい」と声を掛けていました。

そしておベビは。
「やめろ」と言うでも「何してるんだ」と言うでもなく、


無言で男の胸に正拳突きを一発繰り出していました。


まさか薄茶色のジャンパー男も、いきなり無言で正拳突きされるとは思っていなかったのでしょう。
おベビも思ってなかったよ。無意識に体が動いたの。


正拳突きされた男は非常なショックを受けたのか、大変うろたえた顔でエレベーターのドアの方へとよろめきました。
コノヤロー逃がさんと思ったその時!!

エレベーターがスポーツクラブ入り口の階に到着。
小気味よい音と共に、ドアが開いてしまったのです。


逃げるなら今だとばかりに、猛ダッシュでエレベーターから転げ落ちるようにして逃走する薄茶色のジャンパー男。
その時、咄嗟にベビの口から出た言葉は、まさかの


「ちょ、待てよ!!」



何故キムタク化した、ここでwwww

エレベーター正面にはスポーツクラブの受付が向かい合って構えており、本来ならばエレベーターのドアが開いた瞬間に「いらっしゃいませ」とにこやかな会釈で挨拶してくるはずの受付スタッフは、

エレベーターから転がるようにして逃げる男とその背後でキムタク化して叫ぶ人物を急に見せつけられ、挨拶どころか「コレどういう状況!?」となっていました。

更に被害者の女性が
「ち、痴漢です!!」
と勇気を以て発したはいいものの、受付スタッフは
「え・どっちが!?」
とその言葉のみでは断定できない様子。

「そいつ痴漢です!!」
追いかけようとしたがエレベーター内で固まる女性が邪魔になってすぐに出られないベビの声に、スタッフはやっと状況を理解した模様。
受付スタッフ数名が、男の後を追って走り始めた。
たぶん、この間ホントに数秒。
2秒あるかないか、だったと思う。


追いかけるのを受付スタッフに任せ、おベビと女性は残った受付スタッフに事情を説明し、ヤツが捕まったかどうか結果を待ちました。
なんと痴漢男はフロア内の構造を予め知っていたのか、階段と別エレベーターを駆使して逃げてしまったとのこと。
カメラに映像が残っているはずなので警察に連絡しますか? とスタッフから訊かれた女性は、当然ながら「お願いします」と頼んでいました。

女性と少し話をしましたが、女性はこの日バスでスポーツクラブに来ており、バス乗車中の時から薄茶色のジャンパー男がずっと自分の近くをウロウロしているので気味が悪いと感じていたそうです。
バスから降りる際に男もついてきたため、不審に思ったがその時は何もされておらず、
「たまたま降りる場所が同じだったのかもしれないし、それで疑うのは良くない」
と思っていたのだと。
しかし目的のスポーツクラブがあるビルまで男がついてきた事で、「コイツは怪しい」と確信したのだとか。

だからエレベーターに乗る前、あんなに気にしていたんだなあ。
エレベーターを遅らせたら良かったのに……と思いましたが、それを後で言っても酷なだけなので、それは言いませんでした。


女性は「ありがとうございました」とベビに礼を述べましたが、ベビとしてはむしろ申し訳ない気持ちでした。
未然に防げたならともかく、女性は実際に触られて被害を受けています。
それ以上を止めたとはいえ、未然に防げなかったことに対して礼を言われることの申し訳なさの方が勝っていました。

しかもキムタクの名台詞まで聞かせてしまって。


ただ女性は「痴漢されたこと・ベビが痴漢を殴って止めたこと・痴漢が逃走した状況」これらで頭がいっぱいだったのか、キムタク部分は特に記憶に残っていなかったようで良かったです。


皆さんも、気を付けて下さいね。
電車など乗り物の中だけでなく、変な奴は場所を選ばないので。
怪しい奴だなと思ったらルートを変えるとか、わざと時間差を作るとか、そういうこともしてみましょう。
ほんの少しのその場の対策でも被害を避けられたり、対峙することを避けることが出来る可能性が生まれると思います。
女性だけでなく男性もね。

以上、痴漢を撃退したら思いがけずキムタク化した話でした。

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