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トイレットペーパーを眺めていたら、子供の頃のおばあちゃんちに迷い込んでしまった

いつものスーパーでいつものトイレットペーパーを買おうと思ったら、新商品が出ていた。
一巻きで4倍長持ちとの謳い文句。シングルで225m。一つでどっしりと重たい。
そのトイレットペーパーを眺めていたら、なぜか昔の思い出が蘇ってきた。もう40年近く前の思い出が。

母方のおばあちゃんの家に遊びに行くと、トイレにはトイレットペーパーではなく、わら半紙が畳んで置いてあった。トイレに座ると、長方形に折りたたまれた紙の束が積んである。
廊下の突き当たりにあったそのトイレはなんだかちょっと怖くて、いつもお母さんに付いてきてもらわなくてはいけなかった。
汲み取り式だったかどうかは忘れてしまったが、わら半紙を使っていたということは、まだ汲み取りだった可能性が高い。
少し大きくなると1人でもトイレに行けるようになったが、その頃にはもうわら半紙はなくなっていたように思う。

トイレットペーパーをきっかけに、古い古いおばあちゃんちの記憶が蘇ってきた。
おばあちゃんの家は雑貨屋さんのような、今で言うところのコンビニのような小さな商店を営んでいて、取り扱うのは、食品や日用品、雑誌など、あらゆるものが置いてあった。

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お客さんの要望に応えていったらどんどん商品が増えいったらしい。下校時刻には小学生が駄菓子を求めにやってくるし、近所のちょっとした買い物は全てここで賄えるぐらいには便利だった。

子供だった私にとって、おばあちゃんちはパラダイスだった。
勝手に商品を持って行ったり食べたりしてはだめだし、お菓子を買える金額も決まっていたんだけど、駄菓子屋さんで寝泊まりできる子供の気持ち、わかる?

さらに大きくなると店番をさせてもらえるようになる。
高校生以上はレジ打ちもやらせてもらえるんだ!
私はいつかおばあちゃんちのお店で店番をしてレジ打ちをする日を夢見ていた。
たくさんのいとこの中でも2番目に年下だった私の出番は、なかなか回ってこないし、子供だった私は大きくなるのにものすごく長い時間を必要としていた。

そして、私の出番が来る前におばあちゃんは亡くなってしまった。


トイレットペーパーにはダブルとシングルがあって、関西はシングル派優勢、関東はダブル派優勢なんだそう。

私は兵庫出身なので実家はもちろんシングル派。そのおかげで私もシングル派。そんなことを考えていたので、シングルでもなく、ダブルでもなかったおばあちゃんちのトイレを思い出したんだと思う。

あの時のわら半紙は、シングルだったけど。

追記:「わら半紙」って書いたけど、友人から「わら半紙でお尻拭いたら切れる!」とツッコミをいただきました。正しくは「ちり紙」です。

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