教科書の物語文は記憶に残る-「ごんぎつね」から「帰り道」
国語の教科書に載っている物語文で一番印象に残っているものは何でしょうか?小学校であれば「ごんぎつね」「大造じいさんとガン」、中学校であれば「走れメロス」「山月記」、高校は・・・すみません。覚えていません。いずれにせよ、皆さんそれぞれ記憶に残る作品があるのではないかと思います。
私は「ごんぎつね」が一番記憶に残っています。物語の終わり方が切なく、小学生の自分でもこれは悲しい物語だということがはっきり理解できました。「ごん」「兵十」どちらにも感情移入してしまい、授業後は涙が出そうになりました。
教員になってからもごんぎつねは身近にありました。多くの先生が研究授業で扱うこともあり(特に聾学校では研究授業の定番教材のようになっているように思います)国語といえば「ごんぎつね」となっているように思います。
※教員以外の方は研究授業って何ですか?と思いますよね。研究授業は、スーツを着た先生がたくさん見にくる授業のことです(嘘みたいな説明ですが一番伝わりやすいかなと)
先日、近所の本屋で見つけました。「ごんぎつねの夢」です。ミステリー小説なので内容の詳細は伏せますが、ある事件をきっかけに、ごんぎつねの続きが書かれている原稿を探すことになった主人公。原稿を無事見つけることはできるのか、はたまた・・・。といったところでしょうか。気になる方はぜひご購入を。この本は、ごんぎつねの内容や、ごんぎつねの作者、新美南吉についてかなり丁寧に描かれています。途中からミステリーを読んでいるのか、ごんぎつねの解説本を読んでいるのかわからなくなってしまいそうでしたが、読後感は良かったです。何より、本当にごんぎつねの続きがあるのか!?としばらくインターネットの沼の中を必死に泳いでしまいました。
ごんぎつねもそうですが、小学校や中学校の時から宮沢賢治や太宰治、夏目漱石といった日本を代表する作家の方々の文章に触れることの価値は、はかりしれません。ところが、現代を生きる子どもたちの中には(現代を生きる子どもたちに限らないかもしれませんが)、やや古めかしい描写にアレルギーがあるという子も少なくないようです。
そんなこともあってか令和2年から光村図書(6年生)に「帰り道」という題材が登場しました。
教科書をめくっていると挿絵にグッときました。教科書ではあまり見ない「今っぽい」挿絵です。作者は森絵都さん。直木賞作家です。
同じ出来事でも律視点から描かれる内容と周也視点から描かれる内容では違いがあります。一方で、ところどころ共通した部分も見えてきます。両者の性格の違いを感じながら、「自分はどっち(律と周也)のタイプだろう?」と、登場人物に自然と自分を重ねてしまうような心地良い読みやすさがあります。物語の終わり近くで、どちらが「〜〜〜」のセリフを言ったかを考えるという点は、推理小説を読んでいるかのようです。読み物として純粋に面白く、この作品を通して小説が好きになる子どもも多いのではないかと思っています。(著作権の関係からこのnoteに「帰り道」を掲載することは叶いませんが、インターネットで調べていただけるとより細かいあらすじなどが見れると思います。)
ちなみに、「ごんぎつね」と「帰り道」の共通点は視点の入れ替えです。「ごんぎつね」は最終段落まではごん目線で、最終段落は兵十目線で描かれています。「帰り道」は同じ内容を律と周也それぞれからの視点で描いています。
最初に紹介した「ごんぎつね」は不朽の名作として国語の教科書に残り続けると思いますが、これからは「帰り道」のような作品が子どもの印象に残るようになる日も近いのではないかと1人感じています。
さて、何でこんなことを書いたかというと、現実逃避の真っ最中だからです。
やらなくてはいけないことがたくさんあるのに、なかなか気分がのりません!そんな時に小説ばかり読んでしまうのは良くも悪くも私の癖です。
私が小学生の時、「川とノリオ」という国語の題材がありました。やんちゃな友人が「ノリオ」の「ノ」をいたずら書きして「マ」にしていました。(しかもハイクオリティ)
参観日の日、彼が1番手の音読担当でした。彼は緊張しながらもはっきりした声で「川とマリオ!」と読み始めたのを覚えています。教室は保護者を含め大爆笑に包まれました。先生は少し困った顔をしていましたが、あれはみんなの緊張をほぐす絶大な効果があったと感じています。
今週もお読みいただきありがとうございました!もし皆さんも印象に残っている国語の教科書に載っている作品があれば教えてください🌸それでは良い週末を!今日は忙しい1日になりそうです。
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